英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

丸川環境相の発言に思う   質問する民主党議員にも苦言したい

2016年02月22日 15時21分42秒 | 日本の政治
  22日の昼のワイド番組は、元テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代環境相の話を取り上げていた。丸川環境相は「いじめ」とも取れる連日の集中砲火にさらされているのかと感じた。  
 環境相は23日午前の衆院予算委員会で、民主党の後藤祐一氏の「環境の日は何日か知っているか」との質問に対し、「6月1日でございます」と答弁した。
 後藤氏から「6月5日ではないか」と指摘され、丸川氏は「申し訳ございません。6月5日でございました」と答弁し直した。
 後藤氏は「(丸川氏が)知らなかったことが明らかになった。(環境の日は)大変貴重な日だ」と指摘した。
 6月5日の環境の日は、1972年にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められた。国連も「世界環境デー」と定めている。
 丸川氏は環境相として「適性を欠いている」と、後藤氏は指摘したかったのだろう。それだけを取り上げれば、そう思うが、環境大臣としてそれだけで適性を欠いているとは思わない。
 こんな質問を真面目に取り上げる民主党の代議士も代議士だ。「揚げ足取り」の質問だと思われても弁解の余地がない。もっと国民をうならせる政策などの真面な質問ができないのかと、筆者は後藤氏に申し上げたい。
 環境問題をめぐる政策テーマの中で、枝葉末節な質問として取り上げるのならまだしも、「環境の日は何日か知っているか」というようなテレビのクイズ番組まがいの質問が国会審議の主題になるのは言語道断だ。
 中学生が質問するような質問をしてもらうために、有権者は高い税金を支払っているのではない。
 筆者は丸川環境相を弁護しているのではない。環境相も講演で、東京電力福島第一原発事故への対応で国が追加被曝(ひばく)線量の長期目標として示している年間1ミリシーベルトについて、「何の科学的根拠もない」などと発言。発言を撤回し、「福島の皆様には誠に申し訳ない」と陳謝した。
 陳謝するぐらいなら発言するなと言いたい。問題は、年間1ミリシーベルトについて「何の科学的根拠もない」という発言ではない。発言するなら、その根拠を資料で示して説明すべきだ。そこが欠けていたのが問題なのだ。
 また丸川氏がメディアについて「自分の身を安全なところにおいて批判していれば商売が成り立つ」「文句は言うけど何も責任は取らない」などと発言した。丸川氏は「批判をされることを問題視しているわけではない。客観性に基づいた指摘、報道は大変重要な、国民の知る権利に奉仕する機能」などと答えた。
 「メディア発言」は発言する必要もない発言だ。なぜ、発言したのか理解に苦しむ。自分の感情を吐露したにすぎないと思う。相手方から攻撃されると予想される発言にはその根拠を明確に示さなければならない。
 この頃、政治家の腑に落ちない発言や行動が目に余る。丸山和也氏がオバマ大統領に関し「黒人の血を引く。奴隷です」とした発言。民主党の中川正春元文部科学相が党代議士会で飛び出した配慮を欠いた発言。この発言は読者の中には知らない人もいるかもしれないので産経新聞を引用する。
 高木義明国対委員長が、睡眠障害で1カ月間の自宅療養が必要だとする診断書を提出した甘利明前経済再生担当相について「証人喚問を要求したが、きょうになって睡眠障害」と批判した。これを受け、代議士会長である中川氏が次のように呼び掛けた。
 「これからいよいよ攻勢を掛けていきたい。首相の睡眠障害を勝ち取りましょう」さすがに「認識や配慮に欠ける部分があったとその場で思った」という枝野幸男幹事長は、直後の本会議中に「軽率な発言だ」と注意した。中川氏は反省して発言を撤回したという。
 とにかく与野党の区別なく、国会議員や地方議員の常識のなさ、発言や物事の適、不適切を分別できない子どものような幼稚さ、政治能力の低さを筆者は嘆く。国会や地方議会の議場でまともな仕事をしているのか、疑いたくなる。 
 選挙の当落ばかりを考え、地元の支援者のどうでもよい「お願い」ばかり聞いているために当然起こる結末だろう。有権者にも責任はあるのは確かだ。民主主義とはなんの縁もゆかりもない。
 新聞記者で第55代首相だった石橋湛山は地元の支援者の個人的な陳情に取り合わなかったという。政策立案と国家・国民のために日夜頑張っているのに、そんな些細な支援者の陳情までやっていられるかというのが彼の言い分だった。
 政治家はこうあるべきだ。またこの陳情した人も偉い。次の選挙でも石橋に票を入れたという。
  現在の日本の政治家は、深い知識を背景にした独善的な発言さえできず、幼稚な発言に終始する。選挙活動をする前に、もっと有権者を納得させるぐらいの知識を身につけてほしいと願う。

(訂正とお詫び)丸川氏を丸山氏と書き間違えた箇所がありました。訂正しお詫びします。