英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

有事にリーダーの能力は白日の下にさらされる  コロナは各国の指導者を試験する

2020年04月28日 10時13分39秒 | 時事問題
 新型コロナは世界の指導者を試しているようだ。われわれは現在、各国のリーダーの決断力、意思力、想像力、実行力、予想力(たとえ後で間違っていようとも)、長期的な展望、責任を負う覚悟、判断力などを理解できる立場に立っている。
 アメリカのトランプ大統領の無能ぶりは目を覆いたくなる。漂白剤(家庭用消毒)を注射すればコロナが撲滅できると表明した。私は耳を疑った。日本国民程度の民度があれば、誰でもトランプの言葉に従って注射すれば死ぬことは明白だとわかる。
 世界最強の国のリーダーがこんな馬鹿げたことをいう。だから100万人近くのアメリカ人が感染し、1万8千人以上が亡くなっている。イギリスのリーダーも褒められない。ジョンソン首相は自らコロナ感染生還者だが、その最初の政策はイギリスの政治家らしくなかった。現実を軽視した政策だった。 
  これに対して、韓国の文在寅大統領はコロナに関しては見事な差配だった。国民の目を気にしないで果断に対処した。私は文大統領の対北朝鮮政策を批判し、彼の共容思想に顔をしかめていたが、コロナに関しては絶賛せざるを得ない。
  オーストラリア、ニュージーランド、デンマークなどの指導者もすばらしい。彼らに共通しているのは、新型コロナが発生したとき、未来を見つめ、最悪を想定して果断に対処し、勇気を持って国民の批判を恐れずに実行したことだ。それが実を結んでいる。
 それでは日本の指導者、政治家はどうか。2月初旬、ダイアモンド・プリンセス号の船内で船内感染が広がった。そのころ、中国、特に武漢でコロナが広がり、手の施しようがないにもかかわらず、共産党政権はその強権を持って対処していた。
  それから2カ月半が過ぎた。未だにPCRコロナ検査器が不足して、敵(コロナ)の戦力が分からず、感染者に自宅待機を政府は促す。その間に、女優の岡江久美子さんら待機していた患者は容体が急変し亡くなっている。
  尾身茂・政府対策会議副座長が3月初め、「発熱してから4日たったら保健所か帰国者感染センターへ連絡することというのは、コロナ検査器や集中治療室が不足していることによる医療崩壊を防ぐ措置だ」と話した。それから1ヶ月半たってもまだコロナ検査器が足りないというのはどういうことだ。韓国の文大統領はコロナ対策を半月で完成した。
  なぜ、日本のリーダーや、有能と言われる官僚がでできないのか。韓国以上の科学技術力がある日本ができないのは、日本の指導者と官僚の目が曇っているからだ。厚生省の医療官僚の官僚丸出しの対応と、何事においても完全を求める非現実的な対応。ドライブスルー検査は確かに正確さは欠くが、それでも緊急時にはこれを使うという発想がないのだ。要するに官僚特有の「勇気のなさ」「果断力のなさ」「手続き最優先の姿勢」だ。平時ではこれでよい。有事では致命的になる。
 一方、安倍政権はプリンセス号で乗客が感染した2月上旬、中国のトップ、習近平の訪日を控えていた。習総書記の訪日という目の前の出来事に囚われていた疑いがある。小池東京都知事は東京オリンピック開催を念頭にコロナ対策に果断だ処置をしなかった疑いがある。
  安倍首相は中国の感情を害してもコロナ対策を果断にすべきだった。小池都知事も五輪返上の覚悟をしてでも、それに伴う大多数の日本人の反対を押し切ってでもコロナに対して果断な決断をすべきだった。日本の政治家は、与党野党とを問わず、たいした政治家ではないことが、コロナ試験で理解できる。
  一方、日本国民はどうか。過半数以上の国民はこの危機的事態を理解した行動をとっている。政府が個人事業主や中小企業への保証をしぶる愚挙を犯していたときでさえ、個人経営者の多くは苦渋の決断をして休業した。それでも海岸や行楽地に行き、パチンコ店に行く少数者がいる愚かな連中がいることも忘れてはならない。要するにスペインの哲学者オルテガの言う「事故犠牲ができない大衆」なのだ。
  第2次世界大戦初期、ナチスドイツがフランスを蹂躙した。そのときのフランスの、政治・軍事リーダーは現在の日本のリーダーと同じだった。急速に変化する現状や時の流れを追認するだけだった。起こったことに対処するだけ。これでは有事に勝てない。
  日本人は歴史から学ばない。そうだろう。中高の授業で、暗記教育しかしてこなかったのだから。こんな状況で、コロナ禍がこの程度などは奇跡に近いと思う。コロナを撲滅する未来に光が見えない。それどころか、将来、独裁国の中国がアメリカに代わって世界の覇権を握ったとき(30~40年単位で判断すれば、その公算は大きい)、日本人はどうするのだろうか。そのとき、英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルのような有能な指導者をいただき、民度の高い日本国民がいてほしいと願うばかりだ。

コロナとの戦いに敗北するのか? 与野党ばらばら 多くの国民はバラバラ

2020年04月18日 10時21分02秒 | 時事問題
 安倍晋三首相は緊急事態宣言を全国に拡大した。その目的はゴールデンウィークに国民の県域間、県を越えた移動を阻止するのは明らかだ。私は強く支持する。ただ、こんなことをしなくても半世紀前の日本人は将来を推察し、行動を控えた。「Stay Home」した。日本人の民度が低くなったのだろうか?
 「未来を予測できない者は愚かだ」「最悪のケースを想定して行動する者は賢者だ」とはどこかの国の偉人が言った言葉だ。私もそう思う。
  コロナに襲われ、はじめてコロナの恐ろしさを知る。こんな人間は愚か中の愚かだが、現在の電車の混み具合を、報道で見ていると、この言葉が果てはまる。
  このコロナ禍の猛威吹き荒れるに至っても、野党は安倍政権の足を引っ張っている。枝野党首は何を考えているのか。愚かの一語だ。確かに安倍首相は有能でリーダーシップを発揮する名宰相だとは私も思わない。しかし、国民と国家の危機に際し、今は安倍首相を助ける。コロナとの戦争に勝利してから、安倍首相を理路整然と批判すればよいではないか。与野党バラバラ。国民もバラバラ。
 1940年5月から6月にかけて、ナチス・ドイツに翻弄されたフランスの与野党政治家と100%同じパターン。これではコロナに敗北するのは必至。1カ月後にコロナが日本を席巻して医療が崩壊、バタバタ人々がなくなることを恐れる。杞憂でなければよいのだが・・・。
  現在、恐怖におびえながら電車に乗っている通勤客はたくさんいると思う。会社のトップは英断を下し、従業員や社員に自宅待機を命じるべきだ。そして政府は自治体と協力して零細企業や個人小売店に金銭的な補償をする。一カ月間だけ国民全員が、スーパーに買い物に行く以外、家にいる。これがコロナとの戦いで勝利する方程式だと確信する。
  この戦争は長期戦を覚悟しなければならないが、今月末から来月初めのゴールデンウィークの戦いは持久戦では勝てない。コロナの中枢部をたたくには、全員が家にいること。それがコロナとの戦争勝利の第一歩だ。日本国民の民度が今から5月6日まで試される。

致命的な安倍政権のコロナ戦略 1カ月後に日本は絶望的なコロナ戦争を強いられている?

2020年04月14日 21時15分51秒 | 時事問題
 安倍晋三首相のコロナでのハンドリングを見ていると、リーダーの不在を感じるのは、私だけだろうか。 
 読売新聞と共同通信社の世論調査では、緊急事態宣言発令自体を評価している人は80を超えているが、「発令が遅きに失した」と思っている人も80%いる。
 私は緊急事態宣言が発令さレル前、「遅きに失した」とは思わなかった。時間稼ぎをしながら、脆弱な医療体制を構築していると考えていた。しかし事実は違っていた。この2カ月政府は何をしていたのか?
 東京や大阪などの大都市で、新型コロナウィルスが猛威を振るい始めた今日になっても、東京やほかの大都市の集中医療室のベッド不足している。集中治療室のベッド数は日本に比べてドイツは6倍、医療崩壊を起こしたイタリアでさえ日本の2倍だ。また呼吸器も人口心肺装置(エクモ)も足りない。それを取り扱うことができる医者も医療技術者も足りない。ないないずくしで、どうして手強い敵と戦えるのだろうか。
 さらに憂慮すべきことは、コロナ検査(PCR検査)は欧米や韓国に比べて極端に少ない。4月13日現在、検査数は世界で31番目、人口100万人当たりの検査人数は何と115番目なのだ。
 日本は今まで、クラスター(集団発生)を早期に発見し、その周辺については徹底して検査を実施し、次なるクラスターが発生しないように封じ込めるという戦略です。感染患者が激増しなあいうちは、これが功を奏してきた。それは認める。しかし、ここまで感染原因が分からない感染者が増えてくれば、この方法は使えなくなる。感染しても30~50%は無症候 敵は忍者だ。
 ノーベル医学生理学賞受賞者の本庶佑・京都大特別教授(分子免疫学)は4月6日に緊急提言を発表した。「感染者を検出するPCRを毎日1万人以上に急速に増やす。そして無症状、軽症、重症の振り分け」。東京都はすでに実施している。
 「東京圏、大阪圏、名古屋圏の1ヶ月の完全外出自粛により 満員電車での通勤をやめる。その結果、医療崩壊を防止 する。全国へのコロナの蔓延を待つべきではない (今はすべてを犠牲にしてコロナを壊滅させる)経済保障はそのあとで考えるべき。野戦病院での戦いであることを自覚しなければならない」
 「戦争勝利の必勝策は、 敵がどこにどれだけいるかを知ることだ」と本庶先生は言う。このためには、PCR検査を猛烈にふやすしかない。韓国のようにドライブスルー検査を行うことだ。あらゆる手段を使って検査件数を増やすことだ。
 本庶教授は主張する。「戦争は長期戦だが 、持久戦では勝てない 先手必勝。戦いの中心地は日本の主要都市 (東京、大阪、名古屋圏)敵をこの中に包囲して動きを封じることで 勝利可能だ。今は戦いの分岐点。医療崩壊を防げるかどうか。これが起こると人命と共に 社会経済に不可逆的損害の恐れがある」
 私は本庶先生に100%同感であり、「医療崩壊を回避するため、コロナへの電撃的な攻撃こそが、経済の早期回復につながる」。持久戦は戦力の消耗をきたし、コロナに敗北する。
小池東京都知事は7日の宣言発令に合わせ、外出自粛に加えて幅広い業種への休業要請に踏み切る方針だった。ところが、政府は経済活動の停滞を懸念した。対象範囲を狭めることや、外出自粛の効果を見極めるまで要請自体を先送りすることを求めた。コロナが総攻撃をかけているときに、「見極める」という致命的な間違いを犯しているように見える。
 小池さんが正しい戦略を示しているように思えてならない。持てる力を、持てる資源を、持てる金をすべて使ってコロナを短期間で壊滅させる。地方自治体と協力して、小売店や零細企業などに資金援助し、生活保障し、1カ月だけ操業停止してもらう。それが経済回復の一番の近道だ。
 この状況を見て、思い出すのは1940年5月10日から6月22日までのフランスだ。フランスはドイツの大軍と大戦車部隊の前に、マジノ要塞線に全面依存した。そして軍を小出しに、予備戦力を使いすくし、ナチス・ドイツに敗北した。日本政府が「クラスターつぶし対策」に依存し、経済崩壊をしたくないという考えでいれば、コロナに無条件降伏するだろう。
 安倍首相はじめ閣僚の多くは、イニシアチブをとらず、責任を回避しているようだ。政府は自治体が金を出したければどうぞ、ドライブスルー検査をしたければどうぞ、と言う姿勢だ。政府は関知しないという態度だ。もし緊急事態宣言を文面通りに行うのなら、そういうことになる。しかし、1カ月後に「厳しいしっぺ返し」と「1940年6月のフランス政府のような大混乱になる」可能性が大きい。