英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

分別ごみ出しは辟易  日本社会に馴染めずホームシックの中国人女性

2019年05月04日 22時03分39秒 | 日中関係
 中国人女性が日本人と結婚生活をはじめて1カ月もたたないうちに「仕分けごみ」が原因で帰国したくてたまらなくなった、と日本語の中国サイト「サーチナ」がこのほど、中国メディア「捜狐」の記事を転電して報じている。
 日本を旅行中に日本人男性と知り合い結婚した中国人女性は「交通は便利で、生活環境もよく、健康被害を心配させる公害などがなく、社会規範も整っている」と感じたが、日本社会で生活を初めて1カ月で「不便を感じた」という。
 「捜狐」によれば、中国人女性は「ごみの分別」に苦労し、生ごみや不燃ゴミ、ビニールなどを指定された日時に出すのに嫌気がさした。
  彼女は日本で生活してみて、日本旅行中に感じた日本社会の清潔さが「すべて住民の犠牲のうえになりたっている」と思ったという。
 中国でも日本同様、ごみは指定された場所に捨てられるが、時間、ごみの種類についての厳しいルールがない。
  中国人女性は日本のごみ処理ルールに辟易し、中国への里心がどうにもならなくなったようだ。
  「サーチナ」の編集を担当する村山健二氏は「これは極端な例だと言えるが、日本人からするとたかが『ごみ分別』と思ってしまうが、中国人によっては帰国を考えるほどの理由になるならば、かれらにとっては決して些細なことではないと言えるだろう」と結んでいる。
 私は日本人がこの手の「ルール」を嫌だとは思わないと推察する。たとえ「めんどくさい」とおもっても日本人のDNA(国民性)が「ルール」を実践させるのだろう。日本人ほど規則を守る点では秀でた国民はいない。英国人も規則を守るが、日本人ほどではないと思う。
  旧帝国陸軍の梅田謙吉大将が大東亜戦争(太平洋戦争)や日華事変(日中戦争)を反省した寄稿文で、中国軍は日本軍と違って統率がどうしようもなく低かったという趣旨のことを語っていたのを記憶する。日本人は、遺伝かどうかはわからないが、集団やチーム、組織で力を発揮する国民。中国共産党幹部が日本人を恐れているところもここらあたりではないかと推察する。

中国はどこへ行く      大国の未来を見据え、日本人はいかにすべきか

2017年10月27日 10時17分07秒 | 日中関係
  5年に1度の中国共産党大会が終わり、習近平総書記の権力が著しく強化された。われわれ日本人にとっても「対岸の火事」のような気分で中国の内政を見ていてはいけないと思う。長期的な視野から中国を観察する必要がある。
 この”超大国”が目指す未来は何か。強固な一党独裁と国家資本主義を推し進める中国共産党。習氏は党の最高権力機関「政治局常務委員会」を構成する7人(習氏を含む)を選んだが、後継者を示唆する人事はなかった。
 24日に閉幕した党大会では、習氏の政治理念を「習近平思想」として党の憲法に相当する党規約に盛り込む改正案が承認された。
 習氏は明らかに、新中国建国の父、毛沢東や経済建設の礎を築いた鄧小平に並ぶ地位を確立し、個人的な独裁を強め、中国を米国と並ぶ二大強国にしようと狙っている。彼は「社会主義現代化強国」を実現すると宣言する。
 習氏がこの宣言をする裏には、矛盾した内政問題があると思う。「一人っ子政策」を撤回したと言え、子どもはさほど増えていない。日本と同様、労働人口の減少が間近に迫っている。
 国営企業の民営化は、既得権を持つ共産党員に阻まれ、スムーズには進んでいない。国営企業のシンボルとも言える鉄鋼など重厚長大産業が不況から脱したと言え、借金を重ね、非効率投資で大きくするやり方を変えていない。これでは持続的成長を見込めない。
 10月27日付朝日新聞の朝刊で、現代中国研究家の津上俊哉氏はこう述べた。「30年以降は高齢化による年金の負担が爆発的に増大する事態が待っています。その手前の段階で、すでに公共投資の債務が積み上がっています。国際通貨基金(IMF)は、22年には中国の政府、民間を合わせた債務が対GDP比で300%近くに達すると警告しています。厳しい未来がはっきりしているのに、習氏の報告に抜本的な対策がない」
 すべての権力を集中させようとしている習総書記は、2049年の党建国100周年までには、中国を世界一の強国のする夢を描いている。彼はそれを「中華民族の偉大な復興」と呼んでいる。さらに、共産党の政治報告で、35年という節目を設定した。その年には習氏は82歳になる。
 早稲田大学現代中国研究所所長の天児慧(さとし)氏は「(習氏の82歳は)毛沢東が死去した歳。鄧小平が1992年に南巡講話に赴いたのは87歳の時でした」と話す。
 習氏はいかなる手段を弄しても、自分が亡くなるまで、中国の政治に大きな影響力を行使したいと考えている。あわよくば終生、最高権力者の椅子に座っていたいと望んでいるようだ。
 習総書記は「外国の政治体制を機械的にまねるべきではない」と主張し、西洋の民主主義体制に敵愾心を抱く。
  習近平思想」とはどんなものなのか。

 ◾「完全で深いレベルでの改革」や「新しい発展のアイデア」への呼びかけ
 ◾「人間と自然が調和する生き方」の約束。これは環境保護の向上だけでなく、国内の電力需要の大きな部分を再生可能エネルギーが担うようにするという従来の方針を意味するかもしれない
 ◾「人民軍に対する共産党の絶対的な支配」の強調。同時に現代中国史最大の規模だと専門家らが指摘する軍幹部の入れ替えが実施されている。
 ◾「一国二制度」を経て、本土との統合の重要性。これは明らかに香港と台湾を念頭に置いているとみられる。

 最初の2項目は民主主義制度の中でしか実現できない、と私は信じる。「新しい発展のアイデア」は自由な民主主義制度のなかでしか育むことができない。上意下達の国家主義経済と独裁の中では実現不可能だ。上からの指示では、必ず破綻をきたす。
 「一国二制度」もいずれ、独裁国家、ましてや個人的な独裁を強める習氏の指導体制では行き詰まるだろう。
 そのとき、習氏の目指す「中華民族の偉大な復興」は暴力的な色彩を強めよう。政治学のイロハだが、古今東西、内政で行き詰まった国は、国民の目を国外に向ける傾向が強い。独裁国家なら尚更だ。
 中国の内部矛盾が爆発しかけたとき、台湾問題、尖閣問題が東アジアの「バルカンの火薬庫」になる可能性が強い。そのとき、日本の政治指導者はどうするのか。今の国内政治を見ていると心配だ。
 民進党や希望の党に見られるように、国政選挙で議席を減らせば、党首を罵倒し、首を切れと絶叫する。そこに困難の中で一致団結する精神は微塵も見られない。一方、与党の自民党は、特に安倍政権に言えることだが、国家の大方針を議論もしないで「仲良しクラブ」だけの人々で決める。国会での議論をなおざりにしている。まさに権威主義的な独裁的手法だと断言できる。独裁とは言わないが・・・。
 1940年6月22日、フランスがドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーに敗北し、世界中で英国一国だけがこの強大な独裁国家と闘う事態になったとき、賢明な英国民は一致団結した。一人の偉大な指導者チャーチルのもとにに集まり団結し、英国と民主主義を死守するため、「死しても戦う」と宣言した。
 日本国民も英国民同様、一致団結し、どんな苦境にも耐える民族だ。万一、中国がなりふり構わず襲いかかってきたとき、すっくと立ち上がる偉大な民族だと信じたい。しかしそのとき、日本にもチャーチルのような賢明な指導者が現れるのだろうか。
 北朝鮮を利用し「国難突破解散」と有権者を煽り、それでいて政敵と真摯に「議論」もせず、「北朝鮮に圧力を」と叫ぶ安倍政権と自民党。選挙に負けたら党首を引きずり降ろそうとする野党議員。国家や国民の遠い幸せなどどうでも良いとしか映らない、そこには、「失職させないでくれ。明日から路頭に迷わせるようなことはしないでくれ」と有権者に懇願する多くの政治家がいる。中国共産党大会と日本の総選挙を見ていると、こんな思いが私の胸中を巡り巡っている。
 
写真:党大会の初日に演説する習総書記。

 
 

安保関連法と中国の民族主義者と共産党政府に思う 

2015年09月20日 12時45分35秒 | 日中関係
 昨日に続いて安保関連法について、中国共産党の見解と、それに対する意見を述べたい。中国共産党政府と民族主義者は日本の安保法成立をめぐる日本世論の対立をどう見ているのか。
 中国政府系シンクタンクに所属する日本問題専門家は、「9月3日の北京での軍事パレードに招待されたにもかかわらず、安倍晋三首相は来なかった。その直後に中国の国民感情を刺激する安保関連法を強引に成立させたことで、中日関係の回復は当分難しいだろう」と分析した。
 中国の官製メディアは安保法成立まで、「戦争準備のための法案」「日本が南シナ海に介入するための法案」と警戒していた。
 中国外務省の洪磊副報道局長も18日、「戦後日本の軍事・安全保障分野でかつてない行動だ」と警戒を呼び掛ける談話を発表。「日本は軍事力を強化し、専守防衛政策を放棄するのではとの国際社会の疑念を引き起こしている。日本に国内外の正義の叫び声を聞き、歴史の教訓をくみ取るよう促す」と述べ、歴史問題と絡めて日本を批判した。
 中国国営通信、新華社(英語版)は19日未明、安全保障関連法の成立を「日本は戦後の平和主義を破棄した」と速報した。これに先立ち「日本が戦後国際秩序に挑戦していると思うのは理にかなっている」との論評も配信した。
 英国のリベラル紙「ガーディアン」によれば、中国外務省は「われわれは安保法反対デモに参加した人々に共感する。日本政府は内外の正義の訴えに耳を傾けるべきだ。歴史の教訓を学び、平和的発展の道を堅持すべきだ」と発表した。
 中国政府と官制メディアは日本へのけん制と、中国国民への「日本に対して警戒心を抱き続けよ」というメッセージを伝えることで、共産党統治を正当化することにあると思う。
 毎年雪だるま式に膨れ上がる中国の軍事費は増大し、南シナ海の岩礁に軍事基地が建設された。東シナ海でのガス田の一方的な開発もある。またガス田をレーダーサイトにも使うとの情報がもたらされている。これらの事象は安保関連法成立に対する中国政府の批判との大きな矛盾を露呈する。
 中国政府とって自国の国益と今後のアジア・太平洋政策に利することに対しては「共感」と表明し、利さないことに対しては「反対」を叫んでいる。
 中国政府が安保関連法の反対デモに「共感」を表明しているのはあくまで中国の長期戦略に沿っているからだ。そして安保法をめぐる日本世論の対立を日本の弱さと判断するだろう。それを共産党の維持に生かすだろう。
 確かに安保関連法をめぐる対立は中国に隙を与えた。しかしそれは短期的なことである。民主主義国家と国民が対立を乗り越えて一致団結した時、民主主義制度の強さは最強の武器になる。
 古今東西を問わず、独裁国家はその形態がどうであれ、民主主義制度を「弱さ」と判断するか、「自国の人々には合わない制度」だと断言してその制度を忌み嫌う。ドイツの独裁者ヒトラーも、イタリアのファシストのムソリーニにも、旧ソ連のスターリンも、中国共産党政府も、独裁の中味は違っていても、ものの見方は同じである。
 これに対して、民主主義制度を固く信じたチャーチル首相は1940年夏、ナチス・ドイツにより存亡の危機にあった英国民の心意気を「第二次世界大戦回顧録」で、こう表現している。
「(軍需工場の)職工は熟練工も非熟練工も、男も女も、あたかも活動中の砲台であるかのように、鉄火の下で旋盤を離れず、工場を運転した。否、否、彼らは活動中の砲台そのものであったのだ」
 1930年代のヒトラーへの見方で世論が分裂した暁の団結であり、チャーチル首相の回顧録の中に「鋼の民主主義」を見ることができる。英国民がナチスという民主主義を否定する勢力に勝利した源を見つめることができるのである。
 産経新聞に9月15日に寄稿した京都大学名誉教授の中西輝政氏は「現代の世界では、国民の安全を守るための最も重要な手段は依然として軍事力をはじめとする国家のもつ力(パワー)に依存せざるを得ず、今のところその各国家の力を互いに均衡させることによってしか平和は保てない」と述べている。
 中西氏の見解に一部分は同調するが、日本を守ることができる手段は軍事力だけではない。軍事力、外交能力、世論の団結が三位一体になった時に、日本の安全はより確かなものなる。
  独裁国の中国には強大な軍事力や巧みな外交力はあっても、民主主義に基づく世論はないし、形成されない。たとえ偏狭な民族主義や熱に浮かされた国民主義が横行していても、それは一時的なことであり、共産党の衰退とともに消えてなくなる。
  このことは、かつて軍国主義にり患した日本人が一番理解している。安倍首相と与野党の政治指導者、与野党の政治家は、習近平を頭とする中国共産党幹部が決して理解できない民主主義制度の強さを信じ、安保関連法を再度国民とともに議論し、アジアの平和と安定に資してほしい。

「日本は中国のひとつの省ほどの力しかない」  はたしてそうなのか?

2015年08月30日 12時35分52秒 | 日中関係
 ドイツメディアの「Der Freitag」がこのほど、「中国のアジアでの経済・軍事的な勃興はもはや抑えることができず、中国の周辺国は中国を押さえつけようと望んでいるが、日本やベトナムはもはや中国の1つの省ほどの力しかない」と伝えた。
 この記事を紹介した中国メディア「BWCHINESE」は「日本と中国の力の差は極めて大きい」と論じた。 英国の調査会社「YouGov」が米国人を対象に実施した調査を引用し、調査対象者の42%が「米国は中国と友好関係を保つべき」と回答、「日本と友好関係を保つべき」との回答が25%にとどまったことを紹介した。
 サーチナからこの記事を転電したが、この記事に少なからず疑問を抱く。国家の総合力は経済力や軍事力だけでは決まらない。確かに軍事力、経済力が国家の総合力に占める割合は大きいが、決定的な要因ではない。
 有名なスペインの作家、オルテガは「大衆は目の前で起こったことしか理解できず、大局を分析できず、愚かだ」と述べたと言う。筆者はその言葉に全面的な賛意を示さないが、その側面もあることを否定できない。特に大衆の民度が落ちて、衆愚民主主義になったときに顕著に現れる。 
 国家の総合力は、技術力、科学レベル、国民性、士気、道徳観、政治制度など多くの要素から成り立っている。
 1940年6月、フランスがナチス・ドイツに降伏した後、英国一国だけがヒトラー・ドイツと戦うことになった。世界中の人々は英国が数カ月以内に降伏し、ドイツがヨーロッパを支配すると信じていた。米国のフランクリン・ルーズベルト大統領さえ英国が持ちこたえられないと考えていた。
 しかし英国宰相のウィンストン・チャーチルはそうは考えていなかった。チャーチル以上に英国の勝利を信じたのは英国民だった。彼らは民主主義制度を守ろうと決意していた。「民主主義の死守か死か」。選択は二つに一つ。それしか考えていなかった。
 英国のナチスに対する勝利は英国民の決意だけでは実現しなかったが、民主主義の国民が一たび団結すれば、独裁国家を打ち破るエネルギーを持ち合わせていることを実証した。チャーチル首相でさえ、自国国民の団結と闘争心に驚いていたという。
 中国は共産党の一党独裁によって支配されている。共産党幹部は「人民の団結」を何にもまして恐れている。だからメディアを統制し、自らに不利な出来事を隠蔽する。
 中国・湖北省のショッピングモールでこのほど、母親がエスカレーターに巻き込まれて死亡する悲惨な事故が発生した。子どもを何とか事故から救い出し、自らはエスカレーターのチェーンに吸い込まれて死亡した。母親が昇り切ったところで一歩足を前に出したところ、鉄の板が抜け落ちて踏み板が無い状態だった。警察が事故調査にあたったところ、踏み板のボルトが緩んでいたことがわかったという。人命軽視の手抜き工事だったことは明らかになった。
 中国紙「中国日報網」は国内のエスカレーター事故の続発を憂い、この事故を報道したが、自国のエスカレーター事故の実態を報道できないでいる。中国を独裁下に置く共産党が実態を公表していないからだ。共産党は自らの支配に不都合な事実を公表しない。
 一方、日本でもエスカレーター事故が年々増え問題になっているが、政府は事故原因を究明し、法律を改正までして人命を重視している。何よりも、事故の実態を公開している。民主主義国家と独裁国家の際立った違いがそこにある。
  さらに2000年にも及ぶ「一君万民」から、中国人は時の権力者を信じない。そして役人の汚職がはびこり、人々は親戚の壁を越えれば、何をしてもかまわないという国民性がある。これも民主主義国家に暮らす人々との大きな違いであり、共産党下の中国人にとっての弱点である。
 毎日経済新聞は8月7日、中国には日本の「サンヨー」ブランド(サンヨーはパナソニックに吸収合併)とは無関係でありながら、「三洋」の名を冠したエスカレーター製造会社が多数存在すると報じた。日本の製造会社の名前を勝手に使い、売り上げだけに狂奔する中国人の姿がそこにある。商標権や特許を無視する中国人が多数いるのは今に始まったことではない。その違法行為を悪いとも思っていない。当然なことだと考えている。
 塀の内にいる親兄弟や親族一同とは協力し、塀の外にいる他人には何をしてもかまわない、という悪習が中国には世紀を超えて続いている。塀の内にある親族や親兄弟との絆が強いため、汚職がはびこる。塀の外の他人には有名ブランドの模造品をあたかも本物のようにして売る。
 中国のエスカレーター事故の続発も中国の国民性に起因している。湖北省のショッピングモールでの母親の死亡事故では、事故の30分前に、ショッピングモールの店員がエスカレーターの不具合に気づいていたが何もしなかったと伝えられている。公徳心がないのだ。公共精神がないのだ。日本の百貨店の店員なら上司に直ちに報告し、エスカレーターを止める措置をとっただろう。
 20世紀の著名な中国文学者の林語堂は中国人の公徳心のなさは長い間の歴史を分析すれば一目瞭然だと述べている。旧陸軍の植田謙吉大将も生前、「日本軍は弱い中国軍とばかり戦っていたから自分は強いと過信し、また増長もして、国家の総合力で圧倒的に勝る米国に敗北した」と述べている。
 植田陸軍大将は中国軍の士気が低かったことや、何よりも政府を信用していなかったことを問題にした。前線に立つことを誰一人として好まないのは当たり前だが、それでも日本軍には公徳心と公共の精神、国家への義務が中国軍よりかなり勝っていたと述べている。つまり犠牲の精神が日本軍将兵に存在したのだろう。
 新中国の最高指導者だった毛沢東は「鉄砲から政権が生まれる」と述べ、政治や社会の多様性を認める民主主義を軽蔑した。現在の中国共産党幹部がそう考えているのなら、大きな間違いだ。
 民主主義制度はひ弱な草のように見えるが、ひとたび、この制度の下で国民が鋼の団結を示すなら、独裁者や独裁国家を打ち破ることができる。共産党独裁下の中国がいかに強くなろうとも、民主主義制度下の人々を屈服させることはできない。これを歴史が証明している。チャーチル首相と英国民は第2次世界大戦で、民主主義の「鋼」のような強さを示した。「日本は中国のひとつの省ほどの力しかない」は明らかな誤りである。

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日米首脳会談と中国        長期的展望からわれわれの道を探る         

2014年04月24日 17時38分59秒 | 日中関係
  安倍首相とオバマ米大統領は24日、東京・元赤坂の迎賓館で約1時間40分会談し、オバマ大統領は沖縄県の尖閣諸島について、対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であると明言した。米国は尖閣諸島防衛を明言したことになる。これに対して中国政府は激しく反発している。外交部の秦剛報道官は定例の記者会見で「中国の領土の主権と正当な権益に損害を与えるべきでない」と反ばくした。
  日本の運営サイト「サーチナ」によれば、秦報道官は、尖閣諸島について「中国の釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)についての立場は明確で一貫している。釣魚島は中国の固有の領土だ。中国は争う余地のない主権を持っており、日本による釣魚島の侵入・占拠は違法であり無効だ。日本側の釣魚島についてのあからさまな挑発行為は道理が通らない。何者といえども、われわれの国家領土の主権と海洋権益を守る決心と意思を揺るがすことはできない」と、従来の主張を繰り返した。
  中国や韓国は、日本の防衛力や歴史認識について敏感に反応することが多い。秦報道官は「歴史上の原因により、日本の軍事安全分野の政策は一貫して、この地域と国際社会の注目を集め続けている」と表現。中国の日本に対する厳しい姿勢について「このところ、日本は歴史と領土主権の問題において、一連の誤った挑発的な言動を続けている。われわれは日本の軍事安全分野の動向について、強く警戒しつづけている」と述べた。
  きょうの日米首脳会談は、東アジア・太平洋をめぐる長期的な戦略展望に一石を投じた。米国は尖閣を守ることを鮮明にした。オバマ大統領は中国をにらみ、日米韓の結束を訴えている。ただ、オバマ大統領は中国を敵だとは見ていない。中国を何とかしてアジア・太平洋の国際秩序に引き入れようとしている。はたしてうまくいくのか?立ちはだかる壁は大きい。
  中国は日本との歴史問題などありとあらゆる問題を自国の国益の増進に結び付ける。マレーシア航空の行方不明事件を観察すると、中国がはたして国際秩序の中で協力してやっていけるかどうか不安だらけだ。また韓国旅客船沈没事故を観察していると、韓国政府と韓国民が小異を捨て大同につくかどうか疑わしい。
  産経新聞は4月22日付「日々是世界」で、「マレーシア航空機の行方不明から1カ月以上が経過し捜索が長期化する中、中国政府や中国人乗客の家族の対応が、各国メディアから批判され始めた。捜索に参加する中国当局の協調性の低さや怒りにまかせた家族の対応が、国際的な常識を逸脱しているとみられているようだ」と述べている。
  米紙ニューヨーク・タイムズ傘下の国際紙インターナショナル・ニューヨーク・タイムズは16日、「航空機捜索で中国は助けになるより障害だとみられている」と題する記事を掲載した。記事が問題視したのは、中国の巡視船「海巡01」が4、5の両日、不明機の「ブラックボックス」の可能性がある電子信号を探知したとする出来事だ。この事実は5日、中国国営新華社通信の報道で明らかになった。捜索を主導するデビッド・ジョンストン豪国防相(58)は5日、「(中国側から)報告は受けていない」と述べた。
  このため英海軍艦艇は事実を確かめるために現場に急行。貴重な時間を浪費した。記事は、中国の捜索活動自体が「中国政府の決断力と技術力を国内の聴衆に示す絶好の機会だった」として、中国当局のスタンドプレーに厳しい視線を投げかけた。
  産経新聞は16日付米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)の記事を紹介。「海巡01が、探知情報を周囲で捜索中の他国の艦船や航空機ではなく、約8000キロも離れた北京に報告していたことを疑問視する「西側の軍高官」の話を伝えている。この記事は、北京のマレーシア大使館へのデモで、乗客の家族が説明に現れた大使を罵倒したり、ひざまずいて謝罪するよう怒鳴ったりするのを、同行した中国の警察官が黙認していた様子を批判的に取り上げた。中国側のマレーシア当局に対する批判は、3月8日の行方不明直後から続き、今月12日には、5月末の両国の国交樹立40周年を記念するパンダの貸与が延期されたことが報じられた。
  また中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)は10日、「マレーシア航空機報道、西側メディアは自国の利益のために尽力」とする社説を掲載。「ある西側の在中国大使館が、意図的にメディアに中国人家族の状況を報道するよう仕向けているとの情報がある」と“陰謀論”を展開し、事件を機に中国とマレーシアの関係が悪化すれば「フィリピンと日本が大喜びすることは言を俟(ま)たず、戦略的再均衡に尽力する米国もひそかに喜ぶだろう」と述べた。中国人の「権謀術数思考」は健在であり、面目躍如である。「法の精神」の欠片もなく、中国の歴史そのままの姿だ。
  中国は世界を「力関係」でしか見ず、法の統治をこれからも軽視するだろう。米国が法の支配を中国に訴えても、これに応えることはない。オバマ大統領は24日の日米首脳会談後の記者会見で、日中対立について安倍晋三首相に首脳会談で「エスカレートし続けるのは正しくない。信頼醸成措置を講じるべきだ」と注文を付けたことを明らかにした。オバマ大統領はまだ中国人の国民性について十分理解していないようだ。
  日米は中国人に対して粘り強く「法の支配」の利点を説き、国際秩序に組み入れていく努力をしていくと同時に、同盟を強化していくべきだ。そのなかで安倍首相に限らず、右派だけでなく日本人全体もプラグマティックに動き、現実主義者たるべきである。