英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

格差社会で閣僚は飲み食いに大金はたく 政治資金収支報告書は何を語るか 

2019年11月30日 22時28分56秒 | 日本の政治
    どうも安倍政権の閣僚の多くは高級店で会合を開いていることが、総務省が29日公表した2018年分の資金管理団体などの政治資金収支報告書で明らかになった。
   高級フランス店、老舗日本料理店、一流ホテルで会合を開いている。どこから資金が出ているか明確ではないが、2018年分の同報告書によると、1千万円以上の政治資金パーティを、当時の安倍首相と閣僚9人が開いていた。高級店での会合と政治資金パーティーの因果関係は分からないが、それにしても筆者の心は晴れない。
   まあ、高級店で会合するなとは言わぬが、1回の会合で数十万の支出をした団体は多数に上る、と共同通信社は報じている。年間数千万円のケースもありという。
   会合だけではないだろう。閣僚らが会合の名目で高級店で飲食しているケースが浮き彫りになった。庶民感覚との乖離(かいり)が目立つ。
   共同通信社が栃木県の下野新聞に配信した記事を引用する。「毎年のように数千万円を飲食関連で支出する麻生太郎副総理兼財務相の「素淮会(そわいかい)」は今年も194県、計約2460万円計上した。一流ホテルやふぐ料理店、銀座のすし店などで1回当たり数十万円の支出が多かった。茂木敏充外務相の『茂木敏充政策研究会』は「会合費」として161件、計約1440万円。高級すし店などを頻繁に利用している」
   たまに高級料理屋にいって”会合”するのはかまわないが、昨今の所得格差の増大と貧困家庭や母子家庭の現状を垣間見れば、国民のために政(まつりごと)をしている政治家は中堅クラスの料理屋で我慢するべきだろう。
   現在の自民党や野党の政治家の多くが政治を「生業」にしているのがよくわかる。20世紀初頭のドイツの社会学者マックス・ウェーバーの著書「職業としての政治」で「政治家」と「政治屋」の定義を明確にしている。この著書をいっそう理解できる麻生や茂木の振る舞いである。「職業としての政治」を理解する実例を提供している両大臣に感謝申し上げたい。
   今から1世紀前には、崇高な理想を抱いて政治家になろうとする子どもを、「家を潰す気か」と怒鳴って諫めた父親の姿は現在、どこにもいない。
   政治家になれば貧乏になる。事実、60~70年前まで、藤山愛一郎(元外相)のように、政界に入るときは大金持ちで、死ぬときは小さなアパートの一室で亡くなったような政治家がまだいた。
   時の流れと言えば、それまでだが、現在のような小粒でどうでもよい政治屋が幅を利かせている現状から、この現象は理解できる。ただ将来の日本の運命は暗澹たるものがあることだけは明らかだ。

(写真)写真と記事とは関連はありません。この写真は2018年ではなく、それ以前の
記事です。

中国共産党は決して独裁権力を捨てない  区議選での香港・民主派の勝利に思う

2019年11月26日 20時11分12秒 | 中国政治
  香港民主派の選挙勝利は中国・共産党の圧政をさらに強める可能性を秘めている。香港の自治を認めた「一国二制度」はこれから、ますます形骸化するだろう。しかし香港の民主派の抵抗はやまず、彼らを引き裂いたとしても、そのブーメランは中国共産党を逆襲し、共産党はこの世から、いつの日か消えるだろう。
  中国共産党は官制メディアを総動員して「香港の混乱は海外勢力に操られた一部の過激派が起こした」といった宣伝工作を展開している。
  古希を過ぎた私には、この類いの「宣伝」は聞き飽きている。共産党の常套句だからだ。中国共産党だけでなく、1991年に地球上からいなくなった旧ソ連の指導者がよく使っていた。
  24日に投票が行われた香港の区議会(地方議会)議員選挙は、民主派候補の圧倒的勝利に終わり、数カ月前から続く民主化デモを香港の有権者が支持していることを証明した。中国政府寄りの香港政府の対応を拒否する民意を映した格好だ。
  公式結果によれば、民主派は452議席中85%の議席を獲得。前回2015年の選挙では、民主派の獲得議席は約4分の1だった。政府寄りの親中派陣営が獲得した議席の割合は4年前の65%から今回は約13%に低下した。投票者数は294万人余りと、有権者の約71%に上り、前回15年のほぼ2倍となった。
  中国共産党は今後、ますます香港の「一国二制度」を形骸化し、香港市民を中国国内並みの厳しい統制下に置くように画策するだろう。また、台湾を脅かし、形骸化した「一国二制度」を押しつけてくるだろう。
  香港と台湾の若者は中国共産党の真意を見抜いている。私は先日、台湾で働いている在日韓国人の医師に会い、台湾の若者の考えについて聴いた。
  台湾での国民党の蒋介石・独裁体制を知らずに民主主義社会に生きてきた台湾の若者は、反中国の蔡英文総統を支持するようになってきた。蔡英文総統は最近まで若者に不人気だったという。しかし台湾の若者の危機意識が高まりを見せ、来年の台湾総統選挙を見据えて民主主義擁護と反中国を鮮明に出してきている。在日韓国人の親友はこう語っている。
  中国共産党がマルクス・レーニン主義を掲げていた半世紀前には、それがいかに暴力的な理念であろうが、理想があった。中国共産党員はそれを正しいと信じて行動した。しかし、共産党が資本主義を経済理念とし、「中国に適合した社会主義」と唱え始めたとき、中国共産党は単なる独裁政権に墜落してしまった。自らの既得権を必死に守る政党にばけてしまった。
  中国共産党はチベットで、新疆ウィグル自治区で、香港で、自らの既得権を守るために圧政を強めてきたし、これからますます強めてくるだろう。台湾を”解放”するとの旗印を掲げて武力侵攻をする日が到来するかのしれない。
  共産主義者や独裁政権の最大の欠点は情報を遮断することだ。現在で言えば、インターネットやスマートフォンによる外国(民主主義国)からのショート・メッセージ・サービス(SMS)を遮断することだ。
  中国共産党は自らに不利な情報を国民に流さないことが政権の安泰につながると確信している。しかし、それはとんでもない勘違いだ。
  自由な情報の往来を許してこそ、国民の団結と共産党への信頼が深まる。戦国時代、徳川家康に最も恐れられた小藩の武将、立花宗茂はどんなことでも隠さず、足軽までの末端の部下にまで話した。そうすることで宗茂の考えを共有し、一致団結し、「殿様のためなら死をいとわない」という気持ちにさせたという。それが九州一の最強の軍団を築き上げた。
  明らかに、中国共産党は歴史の歯車を逆行した政策を実施している。だが、その末路は哀れになるにちがいない。時の流れは中国共産党に味方していない。
  習近平指導部と中国共産党に忠告する。民主主義は必ず勝利する。ドイツの哲学者ヘーゲルは大衆による政治が政治体制の最後の姿だと予言した。それをレーニンは利用して労働者階級の勝利こそヘーゲルの思想の具現化だと唱えた。しかしヘーゲルは民主主義制度の勝利を予言していたのは明らかだ。
   民主主義の危機が何度か訪れたが、その制度は生き延びた。圧倒的多数のドイツ人から支持されたアドルフ・ヒトラーとナチ党の独裁体制でさえ、民主主義の軍門に下った。それは歴史の流れに逆行したからだ。古希を迎えた私は中国共産党が滅びるまでは中国を訪れないと決めている。私の死までには滅びないかもしれないが、中国共産党はナチ党同様、必ず滅びると確信する。

(写真)香港の区議会選の勝利を喜ぶ民主派  
  

忍びよる経済破たんなどどこ吹く風  散りゆく桜(国家)を見て何を思う安倍首相ら

2019年11月13日 14時32分28秒 | 経済・財政

    公的行事「桜を見る会」を組み込んだ観光ツアーへの参加を、安倍晋三首相事務所が地元の有権者に案内したメディア報道は、忍びよる日本の経済破たんに無頓着な政治家の無能を国民の前にさらけ出している。
  税金をつぎ込んでいる「桜を見る会」に、国に貢献した各界の有識者だけでなく、安倍首相の選挙区の有権者も招待しているという。借金まみれの国家財政を顧みず、自らの選挙のために貴重な税金をつぎ込むと疑われている安倍首相。首相はどんな言い訳をするのだろうか。
  首相だけではない。「自分第一」しか考えていない多くの与野党政治家や地方議員も首相と同罪ではないのか。自民党の二階俊博幹事長は12日に記者会見で「桜を見る会」に政治家が後援会関係者を招いたとしても「選挙区のみなさんに呼びかけて、ご参加に配慮するのは当然ではないか」(11月13日付朝日新聞2面)と述べた。
  招待を受けた地元の政治家らはどんな行動をとったか?安倍内閣の閣僚に「桜を見る会」で会ったことをブログに載せていたが、何を思ったのか削除している。メディアから叩かれるまで、「まずい」と思わなかったのか。もしそうなら、政治家資質を疑われてしまう。否、こんな政治家が多数を占める社会では、30年前には「道義上問題」と思われていたことが、ごく普通のことになってしまうのかもしれない。
  こんな「不思議な」政治家の多くは、政治スローガンとしての「反緊縮」を支持している。格差縮小や貧困対策のために、「いくら財政赤字を出してもかまわない」と主張する。それに見合うだけの歳入を確保する目途もないのに有権者に迎合する。それは取りも直さず、自らの政治利権を確保することだけに狂奔していることを意味する。
  約70年前の名古屋市助役の田淵寿郎のような明治生まれの気骨ある政治家はもはや日本にはいないのだろうか。田淵は太平洋戦争で焼け野原になった名古屋市の未来のために、大多数の市民と政治家の反対を押し切って戦災復興計画を立案。幅100メートルの道路を建設した。当時の名古屋市民は「飛行場をつくるつもりか」と批判したが、今日の市民は彼の英断を賞賛し、尊敬している。名古屋市の小中学校では、彼の生き方が道徳の教材に使われている。
  田淵のような政治家は40~50年前にはいたが、現在はいるのだろうか?日本の財政危機を前に、国民や有権者に迎合し、メディアから叩かれれば、ブログを削除する。「桜を見る会」に自らの考えで参加したのなら説明すればよいではないか。政治信念も資質もないことを白日にさらしていると言ってよいだろう。
  国際通貨基金(IMF)のデータでは、日本政府の債務は国内総生産(GDP)の237%で、財政健全度ランキングでは188カ国・地域で188位だ。つまり最下位に堂々とランクされている。
  「日本は金持ちで政府資産は巨大。だから問題はない」と「反緊縮」の政治家はいうが、残念ながら政府の金融資産を除いた純債務でも、日本は世界最下位だ。
  「桜を見る会」に地元の後援者を招待する安倍首相。その招待を「税金」でまかなっていると知りながら参加する地元後援会の政治家。国が滅び、国民が塗炭の苦しみに喘ぐときは、いつの時代も、こんな政治家や権力者が国家を支配したときである。
  1997年に韓国を襲った通貨危機が到来する前、韓国の上層部や政治家は国民に隠蔽と国家破たんの先送りを決め込んだ。19世紀の終わりから20世紀の初めには、南米のアルゼンチンは世界有数の経済大国だったが、今日、その面影は見る影もなく、貧困国家に転落している。
  韓国の経済破たんは突然に到来した。実態のない好景気にわいていた韓国社会は突然の危機勃発でパニックに陥った。
  日本の安っぽい政治家と取り巻き連中は最近、財政赤字をいくら積み上げても自国通貨を発行できる国家は経済破たんしないと主張する。何も知らない「ノー天気な」者か、国家破たんの先送りをしている者か。いずれんせよ、国家と国民への反逆である。
  年給開始年齢の大幅引き上げ、介護医療の大幅削減、生活保護の廃止などがまず始まるだろう。それこそが経済破たんの一種である。そこから日本は貧乏国家の坂道を転げ落ち、半世紀後にはアルゼンチンと同じ境遇に至るかもしれない。このまま行けば、確実にそうなるだろう。
  税金を使って「桜を見る会」への招待に悦にいっている政治家が多数を占める今日の日本にとって、それは遠い将来の話ではない。

日本人の新天皇皇后陛下への温かい気持ち知る 即位を祝うパレードを見て 

2019年11月11日 09時13分52秒 | 皇室
    天皇陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」に約12万人の人々が集まり、温かい祝福を送った。その群衆の中に、多くの外国人の姿もテレビで見受けられた。パレードを見た外国人は日本人をどう感じたのだろうか。
   私は多くの外国人がこの光景を見て皇室に対する日本人の心のひだを垣間見ただろう。それは皇室と新天皇への好奇心と目新しい珍しさの入り交じった親しみと尊崇の念ではないのだろうかと推察した。
   天皇皇后両陛下を乗せたオープンカーは皇宮警察の側車隊などに守られ、およそ4.6kmメートルのコースを時速10キロのスピードで進んだ。両陛下は集まった約11万9,000人の歓声に応え、笑顔で手を振られた。皇后さまがそっとハンカチで涙を拭かれている場面もあった。
   病気がちだった皇后陛下は何に涙したのだろうか。私は推測の域を出ないので、ここに記すのは控えるが、元気はつらつのようにお見受けした。彼女が皇后になれて以降、得意の英語をいかしてトランプ大統領夫妻をはじめとする外国の賓客をもてなし、内外のメディアから賞賛と好意的な報道を受けている。人間は一つの明確な目的を見いだして邁進し、それが多くに人々から評価されると、心の充足を満たす。雅子様も例外ではない。
   このパレードを見た人は「(見ることできました?)できました。感激して涙が出ました」と話し、見られなかった人は「同じ空間に一緒にいさせていただいたところがよかった」と感激する。小学生や幼児、そして年配の人々、老若男女が異口同音に新しい天皇皇后両陛下への温かい気持ちをマイクから発する。それは平均的な日本人の心なのだろう。理屈では理解できない日本人のオーラなのだろう。
   最近、韓国の国会議長が上皇様を戦犯(昭和天皇)の息子だと公言し、多くの日本人が反感を抱いた。国会議長は来日し、事実上の陳謝に追い込まれた。
   外国人は日本の文化や伝統を深く理解すべきだと思う。もし理解しなければ、日本人から反感を買うことになるだろう。だからと言って、日本の右翼のように、われわれは天皇を殊の外に尊崇し、ひいては政治利用すべきではない。それは、はなはだ危険だ。
   天皇陛下は日本国の象徴として日本国民の心に拠り所であれば十分だと思う。千年以上にわたり時代を越え、その歳月の中で天皇の立場に紆余曲折があったにせよ、上皇様が示した象徴としての天皇像を日本国民が共有することが大切ではないのだろか。即位を祝うパレードを見守りながら、そんな感慨を抱いた。

トランプ米大統領は「阿呆」なのか?  米国のパリ協定離脱通告に思う

2019年11月06日 22時22分29秒 | 地球環境・人口問題
  世界一「阿呆」な政治家は誰か。米国のドナルド・トランプ大統領だと私は思う。私は名誉毀損と思える言葉をリードにあえて置いた。それは私の嘆きであるばかりか、世界の人々の慟哭である。
  トランプ政権は4日、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」からの脱退を国連に通告し、正式に手続きを開始した。
  パリ協定は、温暖化に向かっている気候変動に歯止めをかけるため、長期目標として今世紀末までに、国連加盟国に気温の上昇幅を2℃未満、できれば1.5℃以内に収めるよう求める。そのため、22世紀の夜明けまでに人為的な温室効果ガス排出量を実質ゼロにまで減らすことを規定する。
  トランプ大統領の脱退への思惑は明確だ。彼は3年前の大統領選期間中、気候変動は「でっち上げ」だと主張し、炭鉱労働者に媚びを売った。来年の大統領選挙に勝つために、石炭や鉄鋼などの重厚長大産業の労働者の支持を得たい気持ちは4年前と変らない。
  今までアメリカの主要なエネルギー供給源だった石炭産業界や、経済成長を支えてきた重工業産業は米国のパリ協定からの離脱を歓迎している。
  朝日新聞の報道によれば、ポンペオ米国務長官は「(パリ協定が)米国の労働者、ビジネス、納税者に経済的な重荷を課している」と、脱退理由を説明した。パリ協定に基づいて、米国が拠出(一部は拠出済み)する30億ドルを、ポンペオ国務長官は「重荷」と述べたが、はたいしてそうなのか。それは「重荷」ではなく、「貢献」だ。
  今まで米国産業を支えてきた石炭労働者や鉄鋼労働者は、イギリス産業革命(18世紀後半から19世紀前半)当時の英労働者と同じ心理だ。そして、目の前の現象(来年の大統領選)にのみとらわれ、長期的な展望を描く能力が全くないトランプが彼らの票を求める構図だ。
  産業革命当時、英労働者は、さっそうと登場した蒸気機関などの「新兵器」を打ち壊して、自分らの仕事を守ろうとあがいた。しかし、時の流れは彼らを押し流した。トランプと石炭労働者も、パリ協定に反対しても、石炭や鉄鋼産業を押しつぶす元凶であるIT革命に飲み込まれよう。時の流れの変化に対抗する者は必ず滅びる。IT革命はパリ協定を背後から後押ししているように見える。
  歴史は将来、トランプという史上最悪の指導者を正しく評価するだろう。それは必然の歴史の法則だと思う。この男の判断尺度はすべて「金」である。環境問題だけでなく、安保もしかり。政治家にとって致命的な欠陥だ。
   米国での山火事の多発、アマゾン流域の山火事による広大な森林焼失面積、台風によって一度に多数の河川が氾濫した今年の日本。どれをとっても温暖化現象の証拠にほかならない。
  米国のビル・クリントン元大統領はツイッターで「パリ協定に背を向けることは大きな間違いだ。気候変動は現実だ。子供達にもっといい未来を。未来を保証することによってもっと仕事が生まれる」と書き込んだ。それは歴史の流れを正確に捉えている。

(写真)パリ協定からの離脱を発表するトランプ米大統領