英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

認知症社会をどう生きるか     われわれ一人一人の問題

2015年04月18日 12時55分29秒 | 時事問題
 4月18日付朝日新聞に載っていた記事「認知症社会」に衝撃を受けた。岡山県内に住む70歳代の妻と80歳代の夫。二人とも認知症だ。現在は落ち着いた生活を老人ホームで送っているが、そこに行きつくまでには波風があったようだ。
 「年金は夫婦で約30万円あり、安心した老後を送れるはずだった」。最初に夫が認知症になり、妻が夫を支えた。しかし、妻が介護疲れから酒を飲むようになった。後年、妻も認知症になり、家が荒れ始めたところ、無職の息子が帰ってきて、同居を始めた。
 息子は独身で借金があり、「夫婦の年金が振り込まれると、決まって20万円が消えていった。夫名義のカードの借り入れも約300万円にのぼった」。
 近所の人々からの通報で異変に気づいた自治体職員が、息子の留守を見計らって夫婦を保護したという。
 朝日新聞によれば、65歳以上の認知症の人は2012年時点で462万人。高齢者の7人に1人になる。
 65歳以上の認知症の人が2025年に約700万人になるという推計を、厚生労働省が試算した。年齢別人口比で一番多い「団塊の世代」が80歳になる頃だ。
 認知症には「アルツハイマー型」「レビー小体型」「脳血管性」「前頭側頭型」などがあるという。
 「アルツハイマー型」では、記憶障害者が多いそうだ。「朝食に何を食べたかを思い出せないのではなく、食べたこと自体を忘れるのが認知症だ」。筆者も65歳を過ぎ、しばしば昨夜食べた夕食のおかずを思い出せないことがある。朝日新聞を読んでちょっとばかりほっとした。
 筆者にとっても認知症は他人事ではない。まだ93歳の母が静岡県浜松市の老人ホームにいる。幸い頭がしっかりしており、認知症ではない。朝日新聞で紹介された岡山県の息子さん同様、母親の資産を管理している。
 幸いにも筆者は年金をいただき、まだ週に2回ほど働いている。母の年金と、亡父が母に残した少々の遺産から引き出す金は、われわれ夫婦の浜松への旅費だ。母親との合意でそうしている。また母が要望するものを買う時も、引き出している。それ以外は厳重に銀行口座を封印し、管理している。
 岡山の息子さんとはまったく異なる環境だ。しかし、息子さんと同じように無職でお金に困っていたら、母親の資産を使い込んでいるかもしれない。岡山の息子さんに説教じみた話をする自信はない。人間は弱い。
 「認知症社会」は母親だけの問題ではない。筆者の問題でもある。筆者には子どもがいない。まだ60歳代だが、70歳、80歳と歳を重ねていけば、痴呆症になるかもしれない。筆者の母親と違って、信頼する、世話をしてくれる人はいない。 
 とにかく死ぬまで元気でいたい。読者の方々もそう思うだろう。それには、頭を使い、適度の運動。何の根拠もないが、頭を使う人は呆けないと信じている。
 歴史家ジェームス・ブライス(1920年ごろ亡くなった)や中曽根元首相も80歳を過ぎても勉強し、呆けなかった。中曽根氏は現在、健在なので、「勉強しているので呆けない」と言うほうが正確だ。
 筆者が本を書いている一つの理由はボケ防止につながるからと独善的に思っているからかもしれない。少子老齢化社会をどう生きるか。痴呆社会をどうしたら乗り越えることができるか。われわれ一人一人の問題だということは明らかだ。ともに生きましょう。