英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

インドネシアの森林火災に気づいて 英紙が呼びかけ

2015年11月14日 12時38分29秒 | 地球環境・人口問題
 筆者は数日前、インドネシアの森林火災について記した。英紙「ガーディアン」は再びキャンペーンを張り、世界中の人々がこの森林火災に気づいてほしいと呼びかけている。
 筆者はこの火災について正確に把握していなかった。インドネシアの森林火災は、毎年行われる野焼きが原因だという。ヤシ油や紙製品用のプランテーションをつくるために無秩序に行われる野焼き。最初は野焼きのつもりでも、消化できずに大火災になってしまう。
 森林火災は今年7月以来燃え続けている。特に南ボルネオ(カリマンタン)と西スマトラの被害が大きく、乾季と、日本にも大きな影響をもたらしているエルニーニョ現象が火災の拡大に拍車をかけている。
 鼻に刺すような煙の臭いがインドネシア住民だけでなく、シンガポールやマレーシアの国民、ひいてはタイまで届いているという。
 「最も大きな被害はもちろんインドネシアの森林地帯だ。この森林地帯は地球上で最も多種多様な動植物が生息している。何十年も続いている野焼きが動植物に追い打ちをかけ、オランウータンのような絶滅危惧種は存亡の危機を迎えている」。ガーディアンはこう報じている。
 森林火災で、19人がすでに死亡、約50万以上の気道障害が報告されている。また10万人が間接的な形で煙害により早死にしているという。さらにインドネシア経済に大きな打撃を与えている。
 インドネシアの環境保護団体「WWF(世界自然保護基金)インドネシア」は「森林火災は企業、小自作農、政府が一体となって予防措置を講じなかった結果だ」と批判し、大部分の火災原因はヤシ油生産業者らの人為的な原因によるものだと強調している。
 森林火災の解決策は、森林破壊ゼロを求めて、政府、企業が相互に協力し、森林を管理しながらプランテーション経営を進めていく以外に道はない、と専門家は話す。
 人間はとかく自らに降りかかってこない事柄に無関心だ。現在、影響しなくても、将来影響するかもしれないのに、それが理解できないのだ。
 今日、地球上の一部で起こった出来事はいずれそのほかの地域に波及する。地球温暖化もその一つ。森林火災がもたらす地球温暖化現象はわれわれ日本人にも大きな影響をもたらす。インドネシアの森林火災を他人事とせずに関心を持つことが大切だと思う。

インドネシアの森林焼き、地球の環境破壊に貢献   健康被害をもたらす

2015年11月11日 12時44分25秒 | 地球環境・人口問題
 『人類は「2010年4~10月のメキシコ湾での」ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)の原油流出事故以来最大の人災をインドネシアで目撃している。それは森林焼きであり、企業がむやみやたらに燃やしている。原因は森林を焼いて平地にし、ヤシ油と紙製品をつくりだすプランテーション産業を創設することにある。他の方法よりも75%安くつくという」
 英紙「ガーディアン」がこう報じ、気候変動枠組条約締約国会議が間もなくパリで開かれるに際し、英米が関心を寄せるよう呼びかけている。しかし、日本の大手紙は、筆者の知るかぎりでは、この問題を大きく報じていない。
 多国籍企業や地元企業による野焼きがスマトラやボルネオの一部で行われており、深刻な煙害をインドネシアのカリマンタン(スマトラやボルネオの一部)、隣国マレーシアやシンガポールにもたらしている。さらにはタイやフィリピンまで煙が達している。学校は閉鎖され、インドネシアの6県は非常事態令を宣告した。
 インドネシア国民のうち4千万人が煙害の被害を受けており、19人が死亡。東南アジアでは、煙害による健康被害が50万件に上っている。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の森林火災をモニターしている「グローバル・フォレスト・ウォッチ」によれば、今年だけでインドネシアでは12万7千件の森林焼きが行われた。1997年以来最悪の状況だという。
 自然発生の森林火災と違って野焼きには、泥炭などの有害物質が使用されているため、自然発生の森林火災より200倍もの温暖化効果をもたらす、と地球環境保護団体が警告している。
 カリマンタンなどでは健康被害が深刻で、マスクは住民にかかせない必需品になっているという。カリマンタン島中部カリマンタン州のパランカラヤ市が最も深刻な煙害被害を受けており、「企業の貪欲な利益追求がインドネシア国民の健康をむしばんでいる」。
 インドネシア当局は不法な森林焼きをした会社の幹部を逮捕しており、その中には森林伐採会社大手「アジア・パルプ・ペーパー」も含まれる。
 インドネシア民間機関の調査によれば、今年だけで16億2000万メトリックトンのCO2が輩出されており、この4カ月間だけのCO2排出量が、世界のインドネシアCO2排出量ランクを第6位から4位に押し上げた。ちなみに1位は中国だ。
 10月26日現在、過去56日間のうち38日間に排出したインドネシアのCO2排出量は、同期間の米国の排出量を上回っている。
 地球温暖化現象をもたらした大部分の責任は人類にある。人間の物欲などの欲が地球の環境を悪化させているのは間違いない。人間は、目の前に何らかのネガティブな事実が現れるまで、他人事だと考える習性がある。
 それが人間の本質だと言えばそのとおりだが、それを言っては身もふたもない。日本の新聞各紙がインドネシアの煙害被害を取り上げていないのは、日本の読者にとりニュース価値がないと見ているからだろう。
 他人事だと思っているうちに、インドネシアの煙害が日本列島まで届くようなことにでもなれば、中国での都市部の工場煙害とのダブルパンチを受ける。もはや世界は1世紀前のように、他人事を許さない。
 きれいな地球環境の維持について、われわれ一人一人がもっと関心を示し、もっと大きな声を世界に上げなければ、遅かれ早かれ、人類は滅亡するだろう。世界中の民族や人々は同じ船(地球)に乗っていると自覚すべきだ。インドネシアの煙害がこのことを教えている。

写真 衛星写真 左下がシンガポール、マレー半島。右がボルネオやスマトラ

中国共産党の未来は明るいのか

2015年11月06日 16時40分08秒 | 中国政治
 筆者のブログにこのところ中国問題について持論を展開する回数が多い。できるだけ資料に基づいて客観的に書いているが、主観的な思いを書いた部分もある。
 読者に申し上げたいことがある。このブログに述べたことはあくまで私の見解であり持論だ。筆者と見解が違う読者もいるだろう。当然である。最も重要なことは、各自が、私のブログを含めた多くの人々の見解を読み分析し、それらに基づいて自分の意見を構築することだと思う。
 筆者は民主主義者だと自認しており、あらゆる独裁制度や権威主義制度に反対の立場をとる。もちろん、中国国民に何らの敵愾心を抱いてはいないが、中国共産党と共産党が敷く独裁体制に反対する。
 中国国民が共産党のくびきから解き放され、中国共産党に支配されているウィグル人やチベット人がいつの日か自由で、自らの運命を切り開く権利が持てるようになることを願っている。
 人間はある意味で愚かである。自ら手に入れた権利をなかなか手放さそうとしない。手放すことが自らの生存を保障するのにもかかわらず、目先のことだけから判断して既得権を手放さない。既得権を手放すには相当の勇気がいる。
 中国共産党と歴代の指導部が糾弾している日本軍国主義者、特に中国東北部(旧満州)を支配した関東軍は、時(歴史)が変化しているのにもかかわらず、日露戦争で獲得した権利を手放そうとしなかった。それどころか、その権利を拡大しようとして亡びた。
 中国共産党は東条英機元首相(陸軍大将)をはじめとする日本の軍国主義者を糾弾し、靖国神社に参拝する日本の政治家を非難するが、彼ら自身の行動様式は日本の旧軍部と変わらない。つまり、時を無視して、既得権を守ろうとしている。
 毛沢東主席が率いる共産党が地主や都市のブルジアジーを倒し、皆が平等に暮らせる社会を夢見て新中国を建設した。いつの時代も、革命は革命でしかなく、理想の実現は夢のまた夢である。毛沢東の夢も例外ではなかった。
 中国社会は現在、官僚の腐敗が目を覆いたくなるほど深刻だが、民主主義制度の萌芽を促す中産階級が育ってきている。「爆買い」のため日本を訪れる中国人観光客は年々増えている。
 中国共産党が唱える「中国の一部である台湾」では、国民党を率い、日本軍と戦った蒋介石総統の独裁を知らない台湾人が多数を占めるようになった。特に台湾の若者は生まれた時から自由と民主主義の権利を享受している。それを捨ててまで、台湾が権威主義的な独裁体制が敷かれている中国大陸に統合されるのを支持するとは思わない。
 1949年に中国と台湾が分断して以降、初めての中国共産党と国民党の首脳会談がシンガポールで11月7日に始まる。中国の習近平国家主席は台湾をつなぎとめ、中国の統一を実現しようと必死だ。だが、時は中国共産党に不利だ。時が流れていけばいくほど、中国本土を知らない台湾人が増え、中国本土より台湾への愛着心とアイデンティティーを抱くようになるだろう。なによりも民主主義制度を護ろうとするだろう。
 中国共産党は、日本の関東軍と同じように、既得権を死守するためになりふり構わぬ行動に出ている。また共産党崩壊の危機意識を抱いている。それを一番抱いているのは共産党員自身だ。さらに中国共産党のヒエラルキーの上部ほどその意識はますます強いと思われる。
 習主席が現在展開している反腐敗闘争も党内の権力闘争と深く結びつき、それは習自身の共産党崩壊への危機意識の表れだ。南シナ海問題も、共産党の権力維持と深く結びついているのかもしれない。
 中国共産党指導部にとり、強い中国、世界に影響力を与える中国、偉大な中国の復興、反腐敗闘争などは共産党の永続に欠かせないものにちがいない。
 それでも中国内外の識者から「中国共産党が崩壊する日時は言えないが、中国共産党はその終焉に入った」という声が漏れてくる。
 中国型の民主主義はどのような道をたどるのか。韓国型かロシア型か、東欧型か。旧ソ連のゴルバチョフのようない強いリーダーが民主主義を実現する起爆剤になるのか、それとも資本主義経済から生まれた中産階級が独裁体制を打倒するのか。
 中国専門家で、早稲田大学現代中国研究所長の天児慧教授は次のような条件で、中国が漸進的民主化の可能性が十分にあると考えている。その条件は①中国経済が急激に悪化しない②党の政治指導体制が公平さや透明性などを着実に強化していくこと③習近平自身が「紅二代」の利益代表者だけでなく、様々な難題に真に取り組む改革者であることーだという。
 「紅二代」とは、中国共産党の元高級幹部の子弟で構成されるグループ「太子党」のうち、1949年の新中国成立の前に共産革命に参加し、日中戦争や中国国民党との内戦で貢献した幹部たちの子女の呼称である。
 天児教授が挙げた条件を、中国共産党が満たすのは容易ではないと思う。その条件を満たすのを阻害している最大の要因は、中国が法治社会ではないということである。権力者であろうがなかろうが万人に等しく適用される法律が中国にはいまだかつて存在しない。コネが社会を動かしており、権力者により法律がいかようにも運用される社会。権力者の権力維持のために利用される法律がまかり通る社会になっている。
 日本の鎌倉幕府の執権、北条泰時公のような権力者が中国に出てこなかった。泰時公は1232年に御成敗式目を制定し、自ら率先してその法律に従った。武家の最高権力者といえども法を守る規範を大衆に示した。
 中国では古今を問わず、最高権力者は法律の枠外に置かれる。法律を統治するための道具に使う。人治の国の中国では、真の法律が制定され、民主主義と自由が根付くには相当の年月を要するだろう。
 漸進的民主主義の構築のほかに、中国がとり得る道は、長期にわたる非民主主義政治体制が続くか、劇的に共産主義体制が崩壊し、中国社会が政治的、社会的に混乱かのどちらかだろう。
 このいずれの場合も隣国の日本に大きな影響を及ぼす。中国共産党独裁の継続は、中国と東アジア諸国間の、中米間の摩擦を助長するだろう。一方、共産党体制の崩壊は、経済上の大混乱をもたらし、日本経済に計り知れない打撃を与えるにちがいない。そして中国社会の混乱は、亡命や難民を生み、日本社会にマイナスの波を波及させるだろう。
 われわれ日本人とり中国問題は、好むと好まずとにかかわらず、自らの問題として捉えていく必要がある。何度も申し上げるが、中国人や中国への感情的な反応は観察の窓を曇らせ、客観的な判断ができなくなる恐れがある。
 「南シナ海問題」「靖国神社参拝」「中国人や政府の反日」などに対して中国の指導者と政府はこれからも、しばしば外交カードとして使う。中国政府の行動に対して、日本人が冷静な姿勢を貫けば貫くほど、日本の独立と領土保全が保障され、自由で民主的な国家が続くと思う。そうあってほしい。
  自由と民主主義制度は最高の制度ではない。しかし100%完全な制度などこの世の中に未来永劫出現しない。この制度は他の制度と比べて優れている。その制度の恩恵を享受して晩年を迎えた筆者は、あと数十年でこの世を去る。子どもや孫の世代もこの制度の恩恵を受けることを願う。それは一愛国者の思いでもある。

◎写真:対中警戒を露わにする台湾学生の「ヒマワリ運動」


ラグビーやサッカーは、なぜ弱いのか?  ジョーンズHCの退任会見に思う

2015年11月01日 12時39分17秒 | 国民性
 日本人は勤勉、従順、正直、規則遵守、強い責任感、協力の精神などたくさんの美徳を持った素晴らしい民族(大和、琉球、アイヌ、在日韓国人)だが、横並び意識が強く、多様な意見を容認しない空気がある。
 1日のTBS番組「サンデーモーニング」の「風を読む」やラグビー日本代表のエディー・ジョーンズ元ヘッドコーチ(HC)の退任会見から、あらためて日本人の長所と短所を認識した。
 ワールドカップ(W杯)で史上初の3勝を挙げた、豪州出身のジョーンズ氏は退任会見で、日本を指揮した4年間を振り返り、「出る杭は打たれる、という言葉が日本のスポーツを表している」と話した。換言すれば、彼は選手から日本の国民性を感じた。
 拙書「歴史の視力」でも記したが、日本人は「横並び」を重視する国民である。ジョーンズ元ヘッドコーチが発言した「出る杭は打たれる」と「横並び意識の国民」とは同義語である。この国民性を別の形で言えば、TBS番組が取り上げた「風を読む」の主題「物言えぬ空気」につながる。
 この空気が学校や社会で、異見を封じる「いじめ」を生む。突出した“おかしな異見”を嘲り、嘲らないまでも、多数の意見や行動と違った“おかしな”ことをした人間をいじめる。
 ジョーンズ氏は就任当初をふり返り、選手は質問されないようミーティングで下を向いていたが、次第に顔を上げてHCを見るようになり、議論をするようになったと語っている。
 議論は当然「あつれき」を生む。異なった議論がぶつかり合い、激しい論争になることもある。しかし、相手の意見を尊重しながら、自らの意見を述べ、相互がその精神で議論するかぎり、譲歩が生まれ、新しい、個性ある結論が導かれる可能性がある。
 ジョーンズ氏は「あつれき」が「想像力を生む」として「この部分で成長したのが五郎丸。自分が考える作戦、意見を言えるようになった」と語った。
 「ラグビーは自分の個性をしっかり出さないといけない」。ジョーズ氏はこう述べ、「史上最大の番狂わせ」につながったと話した。
 「史上最大の番狂わせ」と言われた南アフリカ戦では、最後のプレーで逆転トライを狙わず、同点のペナルティーゴールを狙うよう無線を通じて指示した、とジョーンズ氏は明かした。「選手たちは幸運にも聞き入れなかった。(トライで逆転勝利を狙った)主将のリーチマイケルは素晴らしい。彼がチームの思いを体現した」とキャプテンの判断をたたえた。
 ニュージーランド出身の日本人であるリーチマイケル主将は“前線司令官”として、参謀本部の“総参謀長”ジョーンズ氏の指令を無視し、勝利につなげた。一歩間違えば批判を受けたのは間違いなかった。
 ジョーンズ氏は「幸運にも」という言葉を使って、批判を受ける可能性もあったことを示唆した。その批判を覚悟で「勇気」を出して勝利への可能性を信じ、主将に率いられた日本チームは前進し、ついに敵陣を突破した。主将の意見に賛同したほかの選手にも自立心と思考力をジョーンズHCから学んだといえる。
 リーチマイケル主将は無謀な作戦を採用してはいなかったが、失敗するリスクは十分にあった。100%の成功を確信してはいなかったと思う。それでもその場の状況を的確に観察し、そして決断して勝利に賭けた。そこに「勇気」があった。だからこそ、そのような資質を具えているアングロサクソン人(英国人)は感動し、日本チームの勝利と勇気を称えたのである。
 ジョーンズHCは「他のどのチームのコピーをしない」とも語っている。つまり「独創力を持て」と話しているのだ。
 英国の大学では、先生の授業を聞いて、その話を中心に据えて小論文を書いても良い点は取れない。「私の授業を真面目に聞いてくれてありがとう。しかし、これは私の意見だ。この小論文のどこに君の見解があるのかね。君の見解を私の講義を下敷きにして書きなさい」と担当教授やリーダー(准教授)から言われるぐらいが関の山だろう。先生は授業で、生徒に論文を書く材料を提供しているにすぎない。
 先生は生徒が自分と違った見解を小論文で述べても、論旨が明確であれば、間違いなく良い点を与える。「独創力と発想力」を重視しているからだ。これに対して、日本の大学では、教授や准教授の講義を真面目に聞いて、それを答案に反映させれば良い点をくれる。独創的な考え方を述べても、「可」であり、せいぜい「良」だろう。40年前はそうだった。10年前に当時の学生に尋ねた時も変わっていなかった。現在は知らないが想像がつく。
 筆者は日本人には「独創力」があまりないと考える。独創力は、「もの言えぬ社会」「空気を読む社会」からは生まれない。社会の空気を読んで、人々が自己規制する社会からは生まれない。
 「サンデーモーニング」の放送中、出演者の一人で、政治学者の姜 尚中(カン サンジュン)さんは「日本もひどいが、韓国はさらにひどい。中国もそうだ。三国の国民は対立しているが、根は同じ性格の国民だ」と話していた。つまり「空気を読む」と言うことだろう。それは「二分論社会」だという言い方もできる。自分の意見が絶対に正しいと思いこみ、異見を封じる。
  安全保障関連法案反対のデモ活動を行う学生団体「SEALDs(シールズ)」の中核メンバーである奥田愛基氏宅に脅迫メールが送られてきて、そのメールに「お前と家族を殺す。(この脅迫)を公表すればなおさらだ」と書かれていたという。
 その脅迫文は「二分論社会」を象徴している。異見を封じる社会だ。このような社会では、議論は人間同士の仲たがいに発展する可能性を秘めている。そこまででなくても、後味が悪くなる。
 筆者は青年時、英国に滞在して英国の人々と巡り合い、「独創力」「議論の仕方」「民主主義制度」を学んだ。その窓から日本人を見た景色は、ジョーンズ氏や姜さんの言葉の中にある。
 ジョーンズ氏は日本の選手に「独創力」「想像力」「発想力」「議論力」「自立心」「協力」を求めていた。そして、別れに際し、選手にそれを引き続き磨くように求めた。ラグビーやサッカーの発祥地は英国。40年前に英国に滞在中、英国人の識者や先生方が筆者に求めたことである。
 サッカーやラグビーのW杯で日本チームが予選リーグを突破し、決勝トーナメントで準決勝や決勝まで進むには、ジョーンズHCの発言に耳を傾ける必要があると思う。それは国民性の一部を変え、このスポーツに適合する選手を育てることだと強く思う。


◎写真はジョーンズHCの退任会見(日本記者クラブ)

PR:チャーチルの人生観や生き方をエピソードを交えながら記した「人間チャーチルからのメッセージ」をご一読ください。アマゾンなどで販売しています。また左端に内容を記した案内があります。