hiyamizu's blog

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日下圭介「蝶たちは今・・・」を読む

2009年08月29日 | 読書2

日下圭介著「蝶たちは今・・・」講談社文庫、1978年7月第一版発行を読んだ。

この作品は昭和50年度(1975年度)江戸川乱歩賞を受賞した作者のデビュー作だ。

旅先で間違えられたバッグの中には一通の手紙があった。しかし、差出人も受取人も故人。
死者から死者への手紙という不可解さに最初から引き込まれていく。「・・・いた」「・・・見えた」「・・・鳴いた」と、“た”で終わる短いセンテンスが続く。的確な描写と、小気味良いリズムの文章はいかにも新聞記者のものだ。

基本的には、現在成功している者が、過去のことで謎の人物に脅かされるというパターンだ。巻き込まれた学生二人が回り道しながら徐々に核心に迫っていく。その間、32人もの多くの人が入れ替わり立ち代わり登場して彩を添える。
季節と共に移動する種類の蝶がいるらしく、蝶の話が要所、要所でキーとなっている。

34年ほど前のミステリーなので、最近はやりのものとはおそらくだいぶずれているのだろうが、ミステリーをほとんど読んだことがない私には今でも楽しく読めた。



日下圭介(くさか けいすけ)(1940年1月 - 2006年2月)は、東京生まれ、和歌山県育ち。1962年早稲田大学商学部を卒業、朝日新聞社入社し、地方記者を経験。1975年、本書「蝶たちは今…」で江戸川乱歩賞、1982年「木に登る犬」、「鶯を呼ぶ少年」が日本推理作家協会短編賞を受賞。1984年退社し専業作家となる。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)



昨年のマンションへの引越しに伴い、まだ読んでない本と、これぞという数冊の本だけ残し、大方の本は整理した。一つだけ残した隙間本箱の奥に残っていたこの本を先日見つけ、捨てる前に読んでみた。

かなりな数の人が出てくるのだが、最初から怪しげな人はわかるし、トリックもすっきりこない。しかし、話の展開は小気味良いし、ベタベタしない文章も私好みだ。それにしても、名前が出てくる人だけで32人は多すぎる。名前と関連のメモを残しながら読まないと年寄りにはキツイ。一人当たりじっくり描かれていないので、魅力的な人物は登場しないので、小説としてものたりない。




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