hiyamizu's blog

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小野寺史宣『ひと』を読む

2022年09月01日 | 読書2

 

小野寺史宣著『ひと』(祥伝社文庫お-25-3、2021年4月20日発行)を読んだ。

 

特設ページのあらすじ

母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、
交通事故死した調理師だった父。
女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を
東京の私大に進ませてくれた母。
──その母が急死した。

柏木聖輔(かしわぎせいすけ)は二十歳の秋、たった一人になった。
全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、
大学は中退。
仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。

そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた
商店街の惣菜(そうざい)屋で、買おうとしていた最後に残った
五十円のコロッケを見知らぬお婆(ばあ)さんに譲(ゆず)った。
それが運命を変えるとも知らずに……。

2019年本屋大賞第2位。

 

父母を亡くし、大学をやめて、夫婦でやっている商店街の惣菜屋でアルバイトすることになった聖輔は、鳥取の高校の同級生の青葉と偶然であい、ときどき話すようになる。

やがて、結果的に料理人への道を目指すことになる。料理人だった父の跡をたどり、かって勤めていた料理店の縁故の人を訪ね、住んでいたところを訪ね歩く。

 

 

柏木聖輔:江東区南砂のアパートに一人住む。父・義人は3年前に交通事故で死亡。母・竹代も突然死して、聖輔は法政大学経営学部を退学。

田野倉督次:砂町銀座の「おかずの田野倉」の店主。67歳。妻は65歳の詩子(うたこ)。

稲見映樹(えいき):聖輔の先輩店員。要領がよい。24歳。督次の友人・民樹の息子。彼女は野村杏奈。

芦沢一美(あしざわ・かずみ):シングルマザーの店員。37歳。息子は14歳の準弥。

出島滝子:婦人服「おしゃれ専科」店主。夫は貞秋。

小堀ちさと:義父は「リカーショップコボリ」店主の進作。夫は裕作、娘は3歳のちなっちゃん

 

篠宮(つるぎ):聖輔の大学でのバンド仲間。彼女は成松可乃。ドラマーは川岸清澄、母はいよ子。

船津基志(もとし):母のいとこ。44歳。母の葬式を手伝ってくれた。

井崎青葉:聖輔の高校の同級生。旧名八重樫。は高瀬涼。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

まじめに働き、何事も控え目で、すぐ他人に譲ってしまう聖輔の日本人好みの人柄が、周囲の人の助けを誘うという優しい小説だ。先の見込みもなく、今日の食事を心配する厳しい状況の中で誠実に暮らす態度には好感が持てるが、現実は損ばかりしていては……と、思ってしまう。今の世の中、こんな小説があっても良いのかも。

 

話は平凡で、とくに大きな盛り上がりもなく、さらりと終わってしまう。これが本屋大賞2位?という感じ。

 

 

小野寺史宣(おのでら・ふみのり)

千葉県生まれ。法政大学文学部卒。

2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞
2008年「ROCKER」でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。

著書に『ホケツ!』『家族のシナリオ』(小社刊)『みつばの郵便屋さん』『ひりつく夜の音』『近いはずの人』『リカバリー』『本日も教官なり』『それ自体が奇跡』『夜の側に立つ』など。

 

 

 

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