武蔵野市民文化会館での藤原真理のチェロ・リサイタルを聴いた。
毎度お金の話で恐縮だが、1700円の絵本付きで、藤原真理のリサイタルが会員価格1900円とは破格の低料金だ。しかも、前から2列目で、美人の誉れ高い藤原さんを間近で拝めた。
いただいたのは、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」と佐藤国男の版画が一体化した(株)さんこう社発行の絵本だ。
一曲目は「セロ弾きのゴーシュ」。この曲は、宮沢賢治生誕100年(1996年)記念で林光さんがオーケストラ版を作曲し、その後オペラとして創り、サントリー音楽賞を受賞した。その序奏をチェロの独奏で演奏した。
藤原さんが、文を数行読み上げ、その後、チェロを弾く。
藤原さんが楽しそうに、幾分恥ずかしそうに宮沢賢治の一節を読み上げるのが微笑ましい。
そして、あらためてチェロの音は深い響きだと思う。まさに哲学的だ。
林光さんは、「コンサート自由の風の歌」に行ったときに演奏を聴いたことがある作曲家で、有名な方だ。日本のうたごえ運動の創成期の頃から活躍されている方で、うたごえ運動では、林さん作曲の歌が多く歌われていた。サントリー音楽賞受賞のオペラ「セロ弾きのゴーシュ」、モスクワ音楽祭・作曲賞受賞の映画音楽「裸の島」や、合唱組曲「原爆小景」が有名で、著書も多い。
休憩をはさんで、フランクの「ヴァイオリン・ソナタ イ長調(チェロ編曲版)」。ピアノは倉戸テル。フランクの曲の中では、一番有名な曲だそうだが、私はオルガニストじゃなかったかという記憶だけで、フランク自体をよく知らない。あまりに美しく、哲学的な音にこっくり、こっくりしてしまった。
次は、グリーグ作曲(寺嶋陸也編曲)の「ペール・ギュント第2組曲より『ソルヴェイグの歌』。良く聞く美しいメロディーに思わず身体が揺れる。
最後は、ファリャの「7つのスペイン民謡から『ムーア人の織物』『ナナ』『ホタ』を勢力的に弾く。
アンコールは、まだ東京は桜には少し早いがと言いながら、グリーク?の「桜」を演奏し、鳴り止まない拍手に早めに応えて、サン・サーンス組曲「動物の謝肉祭」から「白鳥」で最後となった。
廊下には、CDを買って藤原真理さんにサインを貰おうと並ぶ人の列がずらり。相変わらずの人気だ。
藤原真理(チェロ)
1949年大阪生まれ。1959年に桐朋学園「子供のための音楽教室」に入学し、以後15年間、斎藤秀雄に師事する。
1971年日本音楽コンクール・チェロ部門第1位および大賞受賞。
1975年デビュー・リサイタルで芸術選奨文部大臣新人賞受賞。
1978年チャイコフスキー国際コンクール第2位。
以後、ベートーヴェン・チェロソナタ全曲演奏会、バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会、など日本を代表するチェリストとして国内外で活躍。
特にDENONレーベルで多数リリースしたアルバムは、無伴奏作品やソナタ集はもちろん、
最新CDは、2008年4月「ベートーヴェン『街の歌』~クラリネット・チェロ・ピアノで奏でる5つの詩~」(オクタヴィア・レコード/OVCX-00042)をリリース。