hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

今年も「コンサート・自由な風の歌」を聴く

2017年08月02日 | 趣味

 

2017年7月23日、セシオン杉並で開かれた「コンサート・自由な風の歌」を聴いた。

このコンサートは、卒業式などでの国家斉唱のとき起立しなかったり、ピアノの伴奏をしなかったため処分された教職員の裁判を支援するために始まり(*1)、今年12回目になるが、現在、収益の一部は、東日本大震災で被災した子ども達への支援などにも使われている。

私は 2009年から連続 8回参加で、このブログでも、2009年2010年2013年と既に 3回報告している。
    


今回のプログラム

1.チェロ 三宅進  (「裸の島」の主題によるパラフレーズ」林光)
 
  チェロの音は、静かで、考え深そうで心に沁みる。曲は新藤兼人監督「裸の島」のための曲。


2.ピアノ崔善愛/クラリネット ダヴィト・ヤジンスキー/チェロ 三宅進(ピアノ三重奏曲 第4番「街の歌」変ロ長調 作品11 ベートーヴェン)

  クラリネットとピアノ、チェロ、街の雑踏のようにそれぞれ別に主張しているように聞こえた。


3.ピアノ 崔善愛(バラード第一番 ト短調 作品23 ショパン)

  情熱的で激しい演奏。シューマンは「ショパンの音楽は花々の中に隠された大砲のようだ」と評したという(パンフレットより)。


4.クラリネット ダヴィト・ヤジンスキー(鳥たちの深淵 メシアン)

  現代音楽はどうしてもなじめない。この曲、鳥類学者でもあるメシアンがドイツ軍の収容所内で作曲したという。「私たちは戦争し、鳥たちは歌う」


5.画 壷井明/ピアノ 崔善愛(絵画「連作祭壇画 無生物」から、ピアノ・ソナタ バルトーク)
  
  スクリーンの映し出される福島原発事故の傷の諸相を描いた作品群とピアノ演奏。こんな組合せもありかな。


6.自由な風の歌12合唱団 合唱指揮&バリトン 飯村孝夫

  原爆の歌や日本国憲法の歌は、音楽として楽しむには少々無理があると感じた。毎回演奏される「鳥の歌」(カタルーニャ民謡 カザルス編曲 北川フラム訳詞/林光編曲)はなじんだせいか、イメージが湧き上がる。

 

心を静めるチェロ、私にわずかに残る情熱を呼び起こす激しいピアノの音。やはり、もう一つ身体を震わせるヴァイオリンが欲しい。


崔善愛さんが、こんなことを話した。
オーケストラの演奏が始まる前に、オーボエがラの音を鳴らし、それに各楽器が合わせるのが伝統的方法だ。なぜオーボエなのかというと、オーボエは音程が不安定で、簡単にその場でチューニングできないからだという。
不安定なオーボエに、オーケストラ全体が合わせる、なんとなくいい話に思えると崔善愛さんは語った。

 


*1:私は、かったるい君が代も、血の色に思える日の丸も好きでないが、国歌と決められているので、いろいろあっても、歌われるときには起立すればいいじゃないかと思う。しかし、どうしても起立したくない人に、強制し、処分までするのは、そういう人を排除したいからで、そのための踏み絵として神聖な国歌を利用しているのだ。


崔善愛(チェ ソンエ)は、愛知県立芸術大学&大学院修士課程修了後に米国インディアナ大学大学院留学。ピアニストとしての演奏活動のかたわら、「平和と人権」をテーマに講演をおこなっている。今回の企画・構成も担当。
著書に「自分の国を問いつづけて―ある指紋押捺拒否の波紋」

三宅進は、桐朋学園、インディアナ大学で学ぶ。群馬交響楽団首席チェロ奏者を経て、ながくフリーで活躍したが、現在、仙台フィルのチェロ首席奏者。

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