岡田尊司著『夫婦という病 夫を愛せない妻たち』(2016年1月30日河出書房新社発行)を読む
宣伝文句
修復か、ピリオドか――。長年「家族」を見つめてきた精神科医が最前線の治療現場から贈る、結婚を人生の墓場にしないための、傷んだ愛の処方箋。きっとあなたにもあてはまる21のケースと有効な対処法!
いくつか抜粋
夫婦の絆自体が間違いなく脆くなっている。離婚率は、婚姻率の三分の一を超え、・・・。
愛着とは、・・・オキシトシンというホルモンによって司られている・・・。
愛することはコントロールすることではなく、ありのままに受け入れること。
回避型は、誰に対しても親密な愛着というものが築かれにくい。心を閉ざすことで自分を守っていて、・・・厄介なことを避けようとする。・・・最近の大学生を対象とした調査では、三割以上にも達する。
不安型は、濃厚でべたべたしたかかわりを求める・・・少しでも放っておかれると、寂しさに耐えられず、別の人を求めてしまう・・・。
つい相手を責めてしまう状況が続くとき、このまま、その人を失うところまで行きつくことを自分が望んでいるのか、それとも、もっと相手の協力や思いやりがほしいだけで、失いたいわけでないのか、・・・自分自身の胸によく尋ねてみることだ。
妻は夫に失望し、夫を責め、責めたてられた夫は逆ギレして、妻に暴力をふるうこともある。ぶつかり合いを避けるために、互いに無関心になり、情緒的なかかわりから手を引いていく。
相手のせいにだけしていたのでは、一向に問題は解決しない。なぜなら優しさとは、どちらか一方が与えるものではなく、与え合うことで増えていくという性質をもっているからだ。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
21のケースとあるが、大部分は回避型の夫と不安型の妻のケースであり、くり返しが多い。人の気持ちを汲み取るのが苦手で面倒な問題は避けてしまう回避型の夫と、人一倍心配性で、常に支えや承認を必要とする不安型の妻との間の乖離が、負荷のかかった状況になって、余計に強まってしまった例ばかりだ。
しかも、挙げられている例は性格、態度が極端で、「そこまでやるか?」と思ってしまう。実際には互いに不満を内在させ、心が離れていき、そのまま過ごしていく場合が多いのではないだろうか。
岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。医学博士。
東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。京都大学大学院医学研究科修了。
長年京都医療少年院に勤務した後、2013年に岡田クリニック開業。現在、同病院院長。
著書『母という病』『愛着障害』