hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』を読む

2012年01月01日 | 読書2

川上未映子著『すべて真夜中の恋人たち』2011年10月講談社発行、を読んだ。

講談社のBOOK倶楽部」より(未映子さんの可愛い写真があります)

入江冬子、34歳はフリー校閲者。人づきあいが苦手で孤独を当たり前のように生きてきた彼女の唯一といっていい趣味は、誕生日に真夜中のまちを散歩すること。友人といえるのは、仕事でつきあいのある大手出版社社員で校閲局勤務の石川聖。ふたりの共通点は、おない年で出身県が一緒であること。ただ、それだけ。冬子は、ある日カルチャーセンターで初老の男性と知り合う。高校の物理教師という、その男性の「今度は、光の話をしましょう」という言葉に惹かれ、冬子は彼がときを過ごす喫茶店へ向かうようになる。少しずつ、少しずつ、ふたりの距離は縮まってゆくかにみえた。彼に触れたいという思いが高まる冬子には、高校時代に刻みつけられたある身体の記憶があった――。

 

いつか消えてしまうけれど、でも今は、ここに確かにあると信じられるもの、信じたいもの。
 淋しさや感情や記憶や、わたしたちのあいだにある、見えるもの、見えないもの。それらについて、どうしても書きたかった恋愛小説です。
 まるで人生にちりばめられた、儚いけれどそれだけがあれば生きていける光のようなもののことをずっと想って、それだけを想って書きました。読んでくださったあなたのなかの、どこかが、誰にもわからなくても、ほんの一瞬でも、そっと発光してくれますように。そしてそれがちからになりますように。それだけを祈るような気持ちで願っています。
                               川上未映子




私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

川上さんの感性溢れる詩的な描写が好きな私的には四つ星だが、多くの人には三つ星以下だろう。登場人物はほぼ3名だけだし、筋は単純で出来事も少ない。ただ傷つきやすく高校生のときのトラウマを抱える主人公の引っ込み思案がだらだら続くだけだ。

しかし、冒頭の真夜中の光の描写、光に触れることができるかというp276からの描写は、はやり詩人未映子さんのものだと思った。
もちろん、メインとなる引きこもりの冬子の気持ちはよく書けている。

筋立てに関しては、感心するところはないが、あえて言うと、無視される冬子と叩かれ嫌われる聖の女性同士の友情に好感がもてる。



川上未映子の略歴と既読本リスト






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