hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

植松三十里『おばさん四十八歳小説家になりました』を読む

2014年02月20日 | 読書2
植松三十里(みどり)著『おばさん四十八歳小説家になりました』(2013年2月東京堂出版発行)を読んだ。

42歳で作家修業をはじめ、48歳で小説家デビューした、おばさんの奮闘記。

新人賞に44回も応募した6年間。デビュー後も2冊目がなかなか出ない。書き上げた小説を編集者からダメ出しされ、何回もやりとりし、300枚の作品を思い切って捨て、別の作品を書き始める。・・・

一説に、文学賞を取ってから、小説家としてやっていかれるのは、二十人にひとりという。

中高一貫の女子高出身者というのは、ある種の共通性がある。まず、気取り屋が少ない。六年もの間、女ばかりの環境にいると、たかいに遠慮がなくなり、あっけらかんとした人間関係になる。女性は裏を読むのが得意だから、気取っていても、化けの皮を六年間もキープできないのだ。


ファッション雑誌の編集をして、寿退社で渡米。可愛い2人の娘に恵まれて、帰国後はアートっぽい建築事務所へ勤務。そして元イケメン亭主は大学教授、と勝ち組人生に、突然、娘の登校拒否・・・。 

小説家と呼べるようになってからも、心労、不安は続く。
新田次郎文学賞受賞後、やっとのたどり着いた場所も、忘れ去られずに次の小説を出版してもらうために、立ち止まることが出来ない不安定な場所。しかし、やっと小説家になれたおばさん小説家は毎日書く。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

テーマが一貫していないので、印象が散漫になる。
中年になってからデビューするまでの話、デビュー後、なかなか編集者に受け入れてもらえない話、勝ち組だったのに娘で苦労させられた私生活、何冊も本を出してからも毎回苦労する話、そしてこれらの間に、出版済の小説の解説、執筆意図・経過などが挟まる。

確かに、歴史小説は取材準備・調査が大変であることは分かった。



植松 三十里さん (うえまつ みどり) さん プロフィール
1954年生まれ。静岡県出身。 東京女子大学史学科卒業後、婦人画報社入社。1980年、退社。
7年間の在米生活、建築都市デザイン事務所勤務などを経て、歴史時代小説家に。
2003年、『桑港(サンフランシスコ)にて』で第27回歴史文学賞受賞。
2009年、『群青 日本海軍の礎を築いた男』で第28回新田次郎文学賞受賞。
その他、『辛夷開花』『唐人さんがやって来る』『黒鉄の志士たち』など

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