hiyamizu's blog

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犬塚弘『最後のクレイジー 犬塚弘』を読む

2014年02月06日 | 読書2

犬塚弘・佐藤利明『最後のクレイジー 犬塚弘 ホンダラ一代ここにあり』(2013年6月講談社発行)を読んだ。

1960年代のニッポンで、TV、映画で、世代を超えて、笑いと底抜けの明るさをもたらした“ハナ肇とクレイジー・キャッツ”。一流のジャズバンドで、一流のコミック・バンド。ハチャメチャでおかしかったのだが、今思うとちょっと粋で、どこか上品だった。娯楽映画研究家の佐藤利明氏が、今はその唯一のメンバーとなってしまった84歳の犬塚弘氏へロングインタビューし、この本が生まれた。

本書では昭和20年代のジャズ・ブーム、昭和30年のクレイジー結成、約4年間の質屋通い、TV「おとなの漫画」でブレイクし、伝説の「シャボン玉ホリデー」、これらの舞台裏が語られる。いずれも一流のジャズ・ミュージシャンだったクレイジーのメンバーが、ジャズをコミカルに演奏することから、テレビでコントを演じ、そして迷い、悩みながらもコミック・バンドとして、TVコバラエティの黄金時代を築いていく。1980年代からは、メンバーそれぞれが個別に活動した。各メンバー、そして犬塚氏が縁あった渥美清、三木のり兵、勝新や諸監督について、エピソードとともに実像が語られている。

2013年1月から3月まで、東京新聞夕刊に連載された『この道/犬塚弘 最後のクレイジー』に、大幅に加筆。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

正直言って期待した面白さには程遠い。あのクレイジーキャッツだからと、期待が大きすぎたのかもしれない。やたらとTV番組名、映画タイトル、役者名、簡単な説明がずらずら続く。デープなファンならいざしらず、そういえばよく見たな程度のファンにはもっと話題を絞って、深味をついたエピソードが欲しい。語り口も、犬塚氏の人柄どおりに真面目で盛り上げがない。話す内容が同じでももっと劇的におもろく話す人はいる。

もちろん、読めば、一時代を築いたクレイジーの個性的メンバーが目に浮かび、ちょっとしゃれて、粋なチームだったなと懐かしく思い出す。ハチャメチャをやっていても、メンバー全員が良き家庭人、社会人で、それが限界だったのかもしれないが、好感はもてる。後から出て来たドリフターズよりはかなり上品なグループだった。
犬塚氏の各メンバーの評価は、ほめてばかりで面白くないが、唯一、ハナ肇の強引さに犬塚氏の反感が感じられた。また、谷啓が極端な人見知りだったとは知らなかった。
7人のうちたった一人残った犬塚氏には長く元気でいてほしい。



犬塚弘(いぬづか・ひろし)
1929年東京市大森生まれ。
父親が三井物産で海外赴任していたので、幼少時からジャズ、ハワイアン等の音楽に親しむ。
文化学院卒業後IBMに就職したが、2年半で退社。兄のバンドで背が高かったのでベースを担当。
1955年、ハナ肇の誘いでクレイジー・キャッツの前身のキューバン・キャッツに参加。

佐藤利明(さとう・としあき)
1963年東京出身。娯楽映画研究家。




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