hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

三浦しをん『まほろ駅前狂騒曲』を読む

2014年02月13日 | 読書2

三浦しをん著『まほろ駅前狂騒曲』(2013年10月文藝春秋発行)を読んだ。

まほろ駅前シリーズ、『まほろ駅前多田便利軒』、『まほろ駅前番外地』に次ぐ第三弾。
まほろ市で便利屋を営む多田と、助手で居候の高校の同級生・行天のドタバタととぼけたやり取り。

多田は行天の元妻から夏の間だけ4歳の女の子を預ることになる。無農薬野菜をうたい、まほろ駅前(町田とは書いてない)で活動するあやしげな団体と対決するはめになり、横浜中央交通、略して横中(神奈中とは書いてない)のバスが相変わらず間引きされていると信じ込んでいる偏屈な老人の依頼を受ける。

子供を失い離婚した多田に訪れた久々の恋。かつて虐待されていた行天が係わっていたらしい新興宗教。
心の傷を抱えた多田と行天は、様々な事件と葛藤の中で、他者と関わりつつ再生していく。

「怖いものなんかあるのか?」多田の質問に、行天が答える。「あるよ。記憶」

悩む行天は導きだす。「正しいと感じることをしろ。正しいと感じる自分が正しいのか、いつも疑え」

まだらボケのばあちゃんが聞く。「あの世ってあるんだろうかねえ」
言葉に詰まる多田に代わり行天が言う。「あの世なんてないよ」「でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?」

初出は週刊文春の2010年10月28日号から2011年9月15日号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

大部だが面白く読める。しかし、直木賞受賞作のシリーズ最初の時の衝撃に比べると、どうしても驚きはなく、気楽に読めてしまう。しかし、行天や多田の過去がはっきりするので、前作二冊を読んでいる人には必ず手にとってほしい一冊だ。

あらためて思う。このシリーズの主人公は行天だ。



「注意一秒、怪我一生」という懐かしい交通安全のフレーズが出て来て、ジョークを思い出した。本当は「注意一生、怪我一瞬」だというのだ。もっともだ、もっともだ。

三浦しをんの略歴と既読本リスト







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