hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

酒井順子『負け犬の遠吠え』を読む

2012年09月30日 | 読書2


酒井順子著『負け犬の遠吠え』2003年10月講談社発行、を読んだ。

未婚、子ナシ、30代以上を「負け犬」と定義し、論争を巻き起こし、世の中に「負け犬」という言葉を定着させ、そして、酒井さんを一躍有名にした9年前の本。講談社文庫化されている。

「いやー仕事がたのしくって」などと言うと、相手は心底可哀想という顔をして、「まあ、仕事もいいけど・・・」と言います。・・・その場を丸く収めるコツは、「本当に、これでいいのかって感じですよねぇ。親も可哀想だから安心させてあげたいんですけどねぇアッハッハ」と、負け犬に徹することです。



美人でオシャレな負け犬をなぜ男性は敬遠するのか。日本男性は、学歴も年収も身長も自分より低い女性を望んでいる(低方婚)。服装もダサいくらいの女性の方が安心する。

まず思い浮かぶのは、もちろん「独居老人腐乱死体」。そうなる可能性は非常に高いわけですが、独居老人腐乱死体になるような死に方というのは、長患いによるものではなく、ポックリ系なのではないか。ある意味幸せな死に方と言えなくもないわけで、「腐乱も辞さず」の覚悟は、やはり決めておかなくてはなるまい。



巻末に、「・・・っすよ」と言わない、腕を組まないなど「負け犬にならないための十ヵ条」、がある。
さらに「負け犬になってしまってからの十ヵ条」があって、その8条には、男性から「酒井!」などと名字で呼ばれてはいけないとある。「私のことは順子って呼んで下さい」と言うくらい厚顔でないとだめだ。勝ち犬は「順子ね、お腹すいちゃったの」という芸を持っているのだから。確かに、「・・・ならないための十ヵ条」の7条は、同性に嫌われることを恐れないだった。

本書は、「IN☆POCKET」2002年1月号~2003年2月号連載に加筆訂正、書下ろし追加したもの。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

今頃なんなのだが、これほど有名になった本を読んでいない人がいれば(それは私でした)、お勧めだ。負け惜しみで言えば、論争が冷め、ますます未婚、婚活が話題になる現時点で読むのもまた良い。

未婚、子ナシ、30代以上でも、低収入・低学歴・モテない負け組である女性は「負け犬」とは呼ばない。実質勝ち組である女性が、余裕を持ってユーモアたっぷりに、自虐ネタで負けて見せているのがこの『負け犬の遠吠え』だ。

佐藤可士和さんによる表紙の美しく知的で勝気そうな女性の絵がすっきりと印象的だ。



酒井順子の略歴と既読本リスト


コメント
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