hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

庭で野菜つくり (3)

2007年08月23日 | 昔の話
30年ほど前のことだが、三浦半島の先っぽの方に自宅を建てたときに、20平米ほどの畑を作った。今回はその3回目。

潮風
我が家は東京湾を一望する絶景の崖の上にあった。東京にいたときは、海の傍の家などロマンチックだと思っていたが、現実は厳しい。
風向きにより、干してある漁師さんの網の臭いだろうか、魚くさい風が来る。また、潮風が吹き上げ、洗濯物は湿っぽくなるし、ガラス戸に塩がこびり付く。
そして、畑をやっていた10年間で一回だけなのだが、すさまじい台風の夜が明けて、庭を見たとき、唖然とした。畑の作物が、どれもこれも潮風で一夜にして真っ黒になって枯れていた。もちろん、ビニールハウスは飛ばされて跡形もない。

キュウリ
苗は園芸店で購入するのだが、その店は花以外の畑物は、近所の農家向けに売っている店なので、苗の品種を示す名札がない。玄人は見れば、判断がつくのだ。
ある年、キュウリの苗を買い、すくすくと育てた。ついつい収穫が遅れると巨大キュウリになり、後が傷んでしまう。しまったと思い、あわてて収穫し、その場で食べた。カリッと噛んだつもりが、グニャとなる。苦い。全体になんだか柔らかい。ヘチマだった。次々とできるヘチマ。
しかたないので、水につけて腐らせ、筋だけにして、スポンジ代わりのヘチマにした。おふくろは喜んで風呂で使っていたが、10本もあっても困る。おそるおそる近所に持っていったら、いまどき珍しいと喜ばれた。野菜を持っていったときより反応が良かったので、よけいにへこんだ。

ピーマン
ある年、例年のようにピーマンの苗を買い、育てた。収穫時期が近づいたが、なんだかピーマンが細いままだ。間引かずに何房もできているせいと思っていたが、だんだん赤くなる。トーガラシだった。また、苗間違いをやらかした。

しかたないので、収穫して、乾かしてトーガラシとして利用することにした。しばらく経って、乾燥したトーガラシをまな板の上に乗せ、包丁で切ったが、硬くて簡単に切れない。ならばと、すり鉢に入れ、スリコギで強引につぶしにかかった。
なかなかつぶれないが、しばらく続けていると、目がヒリヒリする。そのうち、顔がほてってきて、だんだん痛くなる。顔が腫れ上がり、耐え切れないほど痛くなる。スリコギも放り出して、痛い、痛いと騒いでいるのに、家族は私の腫れ上がった顔を見て笑っている。ぬらしたタオルで顔を冷やす。痛みが収まり、ホットする。助かった。
と思ったら、水が乾いたら、よけい痛くなった。どうやら、毛穴に刺激物が入ったようだ。目をつぶり、口を開けて呼吸し、ただただ時が過ぎるのを待つ。どのくらい時間が経ってからだろうか、ようやく腫れが引いた。
悔しいので、トーガラシは捨てずに、ダンボールの箱に入れて棚の上に置いた。引越しのときに出てきた箱を開けて、思い出し、あわてて捨てた。

10年くらい畑をやって、猫の額ほどもない庭の横浜の家に越してから小さな花壇のみで畑仕事は止めた。
畑仕事は、土つくりが何より大切で、高度なノウハウを必要とする。通常でも多大な手間が必要で、無農薬で広い畑を管理するなど考えられない。予想困難な天候や市場価格のリスクも避けられない。ビジネスとしての畑仕事がいかに大変かを学んだ10年だったともいえる。


コメント
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