ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

男の約束

2011-02-08 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
同じ“境遇”の言葉の意味が聞きたいのか、身の上の話が聞きたいのか分からなかったから、
与一「似たもん同士だ」と答えた。
義隆「あ…あの…似たもんって…?」
与一「…。俺は11人兄弟の末っ子で上の兄貴9人は平家、俺含めて下2人は母方源氏…兄弟紅白に分かれて戦っていた」
義隆「分かれて…。…あのさっ」と拳をギュッと握り、勇気を振絞って「ねぇちゃんを、絶対!幸せにしてあげてっ!」とピッとちっこい小指を突き出した。
与一「…。それは出来ない約束だな」と小指を絡ませて、
義隆「え?」
与一「俺が幸せにしてもらってる方なんで、ね」と小指にギュッと力を込めた。
義隆「ぃ、テッ!」
与一「大きくなったら、幸せにしてくれそうないい女…見つけろ」と指切り拳万して、
義隆「分かった!」と大きく腕を振って「指切った!」
与一「…。おやすみ…」
義隆「おやすみなさい」と目を瞑った。
与一「…」暗くなった部屋の、見えもしないある一点を見つめ、目を閉じた。そして、乙和に告げられた“戦線離脱”という言葉を反芻していた。
料亭の離れで、密かに取り交わされた男二人の約束…そんなこと露とも知らない大酒飲み野郎どもは明け方近くまで大いに盛り上がった。それは、鳥海山荘前の洞窟居酒屋「ムジナ」も同じだった。
ムジナの暖簾を掛けて、己の頬を打り、気合を入れて厨房に戻ろうとした義経は薄暗い裏に回って、ドテッ(スッテンコロリン)「ギャン!」と尻餅付いた。ケツにも気合を入れられ、
義経「んだぁ!こんなとこに!」と怒りに任せて竹筒をブン投げようかと思った瞬間、
他の物に壊し、弁償事になったら…とフッと冷静に金銭的なことが頭に過ぎり、グッと堪えた。そして、転んだ事を誰にも悟られないように凛と澄ました顔で厨房に戻った。ら!?
基治さん「足元注意。こけたら仕舞い」と伊達御所用模造甲冑で卵を撹拌、カステラ作りに奮闘中だった。
義経「あ…、あぁ。折角の料理がお釈迦だ」って。ちなみに戦国武将たちの甲冑って総重量30~50Kgあるんだが、これ着て料理する奴はいない。両腕プロテクター付きで、すばやく手が動かせないので、攪拌が大変だ…と思い、さっき、けつまづいた竹筒をキレイに洗い、