ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

兄の影

2011-02-26 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「賀茂女、何か悪ぃもん食ったのか?」と問い掛けに、
河合「いや…」と困った顔をして「腹痛の薬、飲ませたんだが…」
義経「ふぅん…」兎に角、休ませようと鳥海山荘に入ろうとしたら、
ヒュー…ンと何か飛んできて、コツン!
匠「アテッ」と頭に大当たり。ポトッと紙包みが落ちた「なんだ、これ?」と拾い上げてみると「芍薬(しゃくやく)!?」の根の乾燥粉だった。
河合「鎮痛剤ッ!ありがてぇ。早速、煎じて…」と投げられた方に向いたが誰もいなかった。
その薬のパッケージに見覚えあり「ハッ!?」とした匠「賀茂女ちゃんに飲ませてあげて…」と河合に薬を渡し、その姿を走って追った。
海尊「おい、匠!?」
義経「海尊!賀茂女を部屋に運べ。冷!牛に頼んで診てもらえ」と命じて、匠を追い掛けた。
兄の影を追い、匠「兄貴ぃ!」と呼び掛けるが、返事は無かった。
さらに奥の藪の中へ進もうとしたから、
義経「タクッ!」と呼び止め「それ以上行くと…迷子になる」とムジナまで連れ戻したら、
佐藤 継「こんのぉ、ヒステリーがっ!」バーン!とムジナの戸を豪快に開けて出て来た。
義経「おっ、鞘に納まりきらんのか?」と匠をしょっ引いていたから、
佐藤 継「ん?」と匠の顔をじっと見つめて、まじまじとガン見して…
匠「?」
そこへ、佐藤 忠「そこっ、片付けとけ!」と言い放ち、忠信も外に出て来た。
義経「なんだ、亭主関白に納まったか?」
佐藤 忠「酒臭くてお話になりませんって。酒抜いてから話付けようや!ってさっ」
義経「…くの一姉妹って結構な恐妻家だな。あ…それより、こいつは佐伯の…志鷹 匠…くんで、新しい弟分だ」と簡単に紹介した。
佐藤 忠「た く み…くぅん??」
匠「はい!タクッて、呼んで下さい!」とにっこり笑った。
佐藤兄弟「あ゛!?」と気が付いたらしい…、
義経「ま、というわけだ。よろしく頼む」と二人に言ったら、河合が走って来た。
河合「おーい!松尾さんに聞いたら、香月さん…酒田の患者、診に入っちまったってよ」
義経「酒田…。俺たちもそこ行くんだっけ。じゃ、しばらく休ませたら酒田に診せに行くか」皆に出発の支度をするように言って「1時間後、ここに集合、なっ」と風呂に向かった。