ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

徹底した自然美

2012-06-22 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「はい」
お干菓子を干菓子盆にのせて回した。
和田「蝶…」
池田「今回のお干菓子、蕨に蝶…」
偶然か、天の悪戯か。
白糖をあしらった揚羽蝶と芽吹いた春の蕨がモチーフの干菓子で、
松殿「まるで、蕨姫と、廊御方殿だ」
和田「?」
その理由を問うような視線を感じて、
池田「蕨は側室 繭子様の異名で、蝶は義経さんの妹君 能子様のお印です」と答えた。
和田「あぁ、能子殿の…」
松殿「蝶を食うに忍びないが…」お干菓子の蝶を手に持ち、繁々と見つめて、一口で食べた。
「程よく甘く、口に優しく残る」
池田「…。では、お薄差し上げます」
主と客の間合いをこれでもかという域まで縮め、
耳を澄ませば、相手の息遣いまで聴こえる静寂。
竹茶杓に抹茶を取り、
カツン…
碗を打って、落とした。
湯をそろそろと注ぎ、
シャカシャカシャカ…
茶筌で抹茶と油を攪拌し、茶を点てた。
薄茶をお出しして、
松殿「なんだ?この器は…」
池田「井戸茶碗 信長※です。薄茶色の大地に緑がよく映えます」※信長様所持した茶碗です。
徹底した、究極の自然美だった。和田殿にも茶をお出しして、
和田「これは?」
池田「高麗茶碗 斗々屋(ととや)※です」※千利休が、魚屋の棚から見出した茶碗。
井戸、熊川(こもがい)、斗々屋など高麗茶碗は、朝鮮半島で作られた茶碗で、雑器でありながら無心の創意があると、侘茶の心に通じると茶碗の中では最も貴ばれ、好まれた。


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