帰蝶「し…新吾ぉ…」
私には弟がいた。
ヤスケと同じくらいの歳。
だから、新吾とヤスケが重なって、とても悲しかった。
池田「美濃に弟がいるんですね」
信長「…あぁ」
信長は、よく感じる人だった。
私のこういう姿を見て、また、家臣の小さな呟きや表情を読み、心を汲み取った。
情に篤く、情を犯す者には、とても厳しかった。
帰蝶「うぅ…。し新吾ぉ…新吾…」
それ故に、事件は起きた。
私の弟 新吾、後の斎藤 利治は父 道三死後、信長に仕え、信長嫡男 信忠の家臣となった。
本能寺の変では、離れ 二条新御所で明智軍を迎え撃ち、ヤスケと共に戦った。しかし、負けを悟った信忠が自刃。後を追うように利治 討死。
この時、弟を打ったのが、従兄弟 斎藤利三(春日局の父)で、ヤスケを捕縛 追放したのが、明智 光秀だった。
私は、長良川の戦い…斎藤義龍の謀反を本能寺まで引きずってしまった。
本能寺の変を作ったのは、私だ。
信長「帰蝶…それでは、ヤスケが苦しい」
帰蝶「あ…」
手を緩めて、ヤスケから離れた。
「く、苦しかったな。すまぬ…」
ヤスケが泣いていた。苦しかったか?
ヤスケ「No…No…」
うんうん、首を思いっきり縦に振って、大粒の涙を落とした。
「Maman…、Maman…」
帰蝶「ママン?」
信長「母上だ」
帰蝶「母…か。そうか」
腹を痛めて産んだ子を売らねばならぬ母も、それを見届ける父も、哀れに思うた。
私には弟がいた。
ヤスケと同じくらいの歳。
だから、新吾とヤスケが重なって、とても悲しかった。
池田「美濃に弟がいるんですね」
信長「…あぁ」
信長は、よく感じる人だった。
私のこういう姿を見て、また、家臣の小さな呟きや表情を読み、心を汲み取った。
情に篤く、情を犯す者には、とても厳しかった。
帰蝶「うぅ…。し新吾ぉ…新吾…」
それ故に、事件は起きた。
私の弟 新吾、後の斎藤 利治は父 道三死後、信長に仕え、信長嫡男 信忠の家臣となった。
本能寺の変では、離れ 二条新御所で明智軍を迎え撃ち、ヤスケと共に戦った。しかし、負けを悟った信忠が自刃。後を追うように利治 討死。
この時、弟を打ったのが、従兄弟 斎藤利三(春日局の父)で、ヤスケを捕縛 追放したのが、明智 光秀だった。
私は、長良川の戦い…斎藤義龍の謀反を本能寺まで引きずってしまった。
本能寺の変を作ったのは、私だ。
信長「帰蝶…それでは、ヤスケが苦しい」
帰蝶「あ…」
手を緩めて、ヤスケから離れた。
「く、苦しかったな。すまぬ…」
ヤスケが泣いていた。苦しかったか?
ヤスケ「No…No…」
うんうん、首を思いっきり縦に振って、大粒の涙を落とした。
「Maman…、Maman…」
帰蝶「ママン?」
信長「母上だ」
帰蝶「母…か。そうか」
腹を痛めて産んだ子を売らねばならぬ母も、それを見届ける父も、哀れに思うた。