ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~因果応報~

2012-08-03 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「し…新吾ぉ…」
私には弟がいた。
ヤスケと同じくらいの歳。
だから、新吾とヤスケが重なって、とても悲しかった。
池田「美濃に弟がいるんですね」
信長「…あぁ」
信長は、よく感じる人だった。
私のこういう姿を見て、また、家臣の小さな呟きや表情を読み、心を汲み取った。
情に篤く、情を犯す者には、とても厳しかった。
帰蝶「うぅ…。し新吾ぉ…新吾…」
それ故に、事件は起きた。
私の弟 新吾、後の斎藤 利治は父 道三死後、信長に仕え、信長嫡男 信忠の家臣となった。
本能寺の変では、離れ 二条新御所で明智軍を迎え撃ち、ヤスケと共に戦った。しかし、負けを悟った信忠が自刃。後を追うように利治 討死。
この時、弟を打ったのが、従兄弟 斎藤利三(春日局の父)で、ヤスケを捕縛 追放したのが、明智 光秀だった。
私は、長良川の戦い…斎藤義龍の謀反を本能寺まで引きずってしまった。
本能寺の変を作ったのは、私だ。
信長「帰蝶…それでは、ヤスケが苦しい」
帰蝶「あ…」
手を緩めて、ヤスケから離れた。
「く、苦しかったな。すまぬ…」
ヤスケが泣いていた。苦しかったか?
ヤスケ「No…No…」
うんうん、首を思いっきり縦に振って、大粒の涙を落とした。
「Maman…、Maman…」
帰蝶「ママン?」
信長「母上だ」
帰蝶「母…か。そうか」
腹を痛めて産んだ子を売らねばならぬ母も、それを見届ける父も、哀れに思うた。


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