ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~母性と偏愛~

2012-08-04 | 散華の如く~天下出世の蝶~
こんな事、あってはならぬ。
こんな時代、変えねば成らぬとそう思った。
親が子をその手で育てられる時代にしたい。
帰蝶「ヤスケを、養子には出来ませぬか?」
いずれ家臣に、と考えるなら養子にしておけば…、
誰も何も言えまいとそう安易に考えた。
「私たちのお子になさってはいけませぬか?」
信長「気持ちは分かる…」
池田「それ、マズいでしょ」
帰蝶「え?」
池田「当然、もめますよ。嫡男と養子で、」
信長「…」細い目を、いっそう細めて私を見た。
帰蝶「そ、そうか…」
嫡男…妻として勤めを忘れる所だった。
いずれ、私も正妻として、信長の子を産み、
家督を継ぐに相応しい子を育てねばならない。
「…すまぬ、その…」
初夜の非礼を恥じて、小さく侘びた。
その侘びが通じたか否か分からぬが、
信長「帰蝶、そなたは良き母に成る」と笑っていた。
池田「良かったですね」
帰蝶「?」
どうやら、私は信長に気に入られたようだ。
彼は、女性を敬うに“母性”が基準になっていて、
それには、信長の実母 土田御前(どたごぜん)が関わっていた。
幼少より奇抜で横暴な信長は実母から疎ましく思われ、逆に礼儀正しい弟 信行を溺愛した。
この偏愛が骨肉の争いを生んだのだが、揉め事の原因を作った実母は生かされ、弟は誅殺。
こんな理不尽な結果に、彼は苦しんだ。
そして、母の母らしからぬ振舞や、女の偏愛を特に嫌い、牙を剥いた。
彼は女性に優しいようで、実は、厳しい目で判断していたのだ。


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