ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

一緒に、生きましょう

2011-12-19 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
斎藤「そこの僕ちゃん、何とかしたら?」ピッと黒玉を投げて、部屋を出た。
能子「うッ!?」ツ…、胸に黒玉が当たって、コロコロ、床に転がった。
義隆「し…死ぬ…死んだ、母上…死んじゃった…あぁー」
能子「よ…義隆…」
義隆「うあぁ…死んじゃう」しがみ付いて、
能子「あ…」昔…の事を思い出した。私も、
“兄様ぁ、死なないでぇ!”
「大丈夫。私、こんな事で死なないわ」
義隆「う、うぇ…うえぇーん」
能子「ほら、」義隆を包み込んで、抱き締めて「私、生きてるわ」
こんな…義隆を見て、分かった。死を見るのは、自分の死よりも辛く悲しく、そして、怖い。
私は、その恐怖から逃れたいと、死を代わりたいと、救ってもらった命を投げ出そうとした。
生から逃れて、死を追い掛けた。苦しみ生きる事から、逃げた。
逃げたら治せない。兄貴も、与一さんも、あなたの傷も
分かってる。しっかり生きないと、この傷…治さないと、これからも死から目を背け、逃げて生きる事になってしまう。逃げてはいけない。自分に言い聞かせるように、義隆を抱いた。
両親の死に堪える子供が、私の目の前にいる。
新しい命を授かり、私と同じように生き残った美様がいる。
私に“幸せになれ”と、生かしてくれた兄がいる。
「心配してくれて、ありがと…義隆」
抱き締めた義隆が温かかった。これが、生という温もりなのだと思った。そして、
この温かさを、守る、そういう強さが欲しいと心の底から思った。
「皆の所に、一緒に…」床に転がる黒玉を拾って、ギュッ、と彼の手を握り「生きましょう」
…きぃ…と、紐を引っ張り、階段を降ろした。
わぁーい、と子供たちが一斉に出て、継たちが親元に返しに行って、
義経「おい…」周りを見渡し「ヤツはどこだ?」
松殿「ふ…」と、折り紙を見せた。
匠「辞表…?」を受け取り、裏返して「退職願…」を読み上げた。
[このたび、婚活上の都合で…云々…退職したく、ここにお願い申し上げます…斎藤 利祐]
義経「は?」


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