安保法案「だからNO」30日に10万人抗議行動(2015年8月28日中日新聞)

2015-08-28 08:17:15 | 桜ヶ丘9条の会
安保法案「だからNO」 30日に10万人抗議行動 

2015/8/28 中日新聞

OLDsの森田萌さん
 安全保障関連法案に反対する市民団体などが三十日午後二時から、国会周辺で大規模な集会を開く。十万人で国会を包囲し、廃案を訴えようという大抗議行動だ。当日は、全国各地でデモや集会が予定されており、主催者側は「百万人規模にしたい」と意気込む。高齢者、教員、学者、学生、母親…。さまざまな人たちが抗議行動に参加を決めている。彼ら、彼女らを突き動かすものは、何なのか。

◆黙れば認めたことに

 「飲み屋でくだをまいているだけでは、意味がない」。二十五日夜、六十~七十代を中心に集まる「OLDs(オールズ)」に入ったばかりという森田萌(もゆる)さん(68)は、安保法案に反対する署名を集めるため東京・新宿駅西口に立っていた。オールズは「Otoshiyori for Liberal Democracy(自由な民主主義のためのお年寄り)」の略称だ。

 友人に誘われて参加。「このまましおれるのではなく、ダメなものはダメと言わなくては」。本格的にデモに参加するのは、一九七〇年安保闘争以来という。「半世紀ぶり」と懐かしむ。メンバーは、JR巣鴨駅前などでビラ配りや署名集めに奔走する。

 若い世代が声を上げ始めたことが刺激になっている。「どうせ何やっても無駄という考えが世の中に広がっているのが気になっていた」という。「ごまめの歯ぎしりだとしてもまとまれば威力があるということを見せたい」との思いで三十日に臨む。

 東京都内の教員らでつくる「TOLDs(トールズ)」。「東京のリベラルでデモクラティックな先生たち」の略だという。

 呼び掛け人で都立高教諭の岡田明さん(53)の背中を押しているのも若い世代の動きだ。「本来先頭に立つべきなのは自分たち教員なのに、教え子の立場の人たちに声を上げさせてしまっている」。後悔にも似た思いがよぎる。「以前だったら団塊世代が声を上げていた。教育現場から団塊世代がいなくなった今、その役目は自分たちにあるのでは」と立ち上がった。

 「戦前の教育現場は愛国心を唱え、戦争への心構えを説いた。教育が果たした責任は大きい。平和のためには、武力によらない解決もあるはず。またかつてと同じことを繰り返すのではないかと不安だ」と話す。

 トールズでは、結成当初、政治的中立も意識し、思いを共有することを優先。デモの参加までは考えていなかった。しかし、三十日の行動に参加して「数で示す」ことにした。「このまま何も言わなければ認めたことになる。十万人が集まれば何かが変わるはず」

 三十日は、中年世代でつくる「MIDDLEs(ミドルズ)」のメンバーも参加する予定だ。

◆学生、戦場に送らない

 二十六日、全国の大学教員ら二百数十人が集まり、「安全保障関連法案に反対する学者の会」の記者会見を開いた。

 「戦時中、大学はたくさんの学生を戦場に送ってしまった。この痛恨を二度と繰り返さないためにも、法案は廃案にしなければならない」。同会の高木恒一・立教大教授(51)=都市社会学=は声を張り上げた。

 平和は次世代にも引き継がれなくてはならないという思いから、「立教人の会」として法案に反対する声明を出した。賛同者は教職員、学生、卒業生ら計千百人以上。「学生たちを、殺したり殺されたりする環境に置かせるわけにはいかない」と力を込めた。「数十万人で訴えれば政府を動かせる」と信じる。

 さまざまな世代に刺激を与えているのが、大学生らのグループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」だ。

 シールズに参加する国際基督教大四年の元山仁士郎さん(23)は、辺野古への移設問題で揺れる米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市出身。「安保法案が成立すれば、米軍と一体化し、沖縄の負担はより増える。絶対に阻止しないと」と話す。

 実家は飛行場から歩いて十分の距離。米軍のヘリが上空を飛ぶたび、テレビの音が聞こえなくなるほどの騒音に見舞われた。かつてはそれが日常と受け止めていた。上京すると、本土の人間はそんな沖縄の置かれた不条理と無関係に暮らしていた。「なぜ沖縄だけが」と疑問に思うようになり、シールズの活動につながった。

 「昔からの友達の中に自衛隊員もいる。彼が誰かを殺したり、殺されたりする可能性が高まると思うだけで、すごく嫌な気持ちになる。三十日は一緒に声を上げる人たちに、沖縄の現状も伝えたい」

◆名古屋でもアピール

 中部地方でも、さまざまな集会が30日に計画されている。名古屋市の名古屋駅東口では午後2時から、「安保関連法案に反対するママの会@愛知」などがアピールする。

 小六の女児と小三の男児がいるネットショップ経営宮崎里香さん(43)=愛知県あま市=が呼び掛けた。政治にはあまり関心がなかったが、二〇一一年の東京電力福島第一原発事故をきっかけに疑問を持ち始めた。だが、フェイスブックに政治のことを書いても反応はなかった。

 「ことしの春から風向きが変わった。今では安保法案のニュースに意見を書いて発信すると、多い時に百件ほどの『いいね』が返ってくる。コメントもたくさん入る。母親の危機意識は強い」と語る。近所の人との会話でも安保法案が話題に上るようになったという。

 当日はプラカードを持って訴え、通行人に安倍政権への思いを書いてもらうつもりだ。「自分の子どもはもちろん、若者を戦争に関わらせたくない」と思いを口にした。

 (木村留美、池田悌一)

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