重点措置を解除 油断せず感染防止策を
2022年3月18日 中日新聞
新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が、約二カ月半ぶりに全面解除される。しかし、このまま感染収束に至るのかは分からない。油断せず、感染対策に継続して取り組みたい。
政府は、首都圏や愛知県など十八都道府県に適用している重点措置を、期限の二十一日で解除することを決めた。重点措置適用の基準を緩和し、新規感染者が微増または高止まりしていても、医療に対する負荷が下がると見込めれば解除できることにした。
軽症者が多いオミクロン株には社会全体の規制は緩め、重症者を確実に医療につなげる態勢を確保して対応しようとの考えだ。
重点措置の適用地域では、飲食店が時短営業などを強いられるだけではなく、教育現場での行事中止や授業の短縮など子どもたちの学ぶ機会も制限されてきた。
岸田文雄首相は記者会見で、今後は「日常生活を取り戻す期間」と強調した。重点措置の全面解除で、社会経済活動を活発にする方向にかじを切ったといえる。
しかし、厚生労働省の専門家会議は、感染力がさらに強いとされる別系統のオミクロン株への置き換わりが進み、今週末の三連休や春休み、花見、年度替わりの時期には、感染が再び拡大する懸念があるとも指摘している。
新たな変異株の発生や流行にも警戒する必要があり、対策の手を緩めるわけにはいかない。
特に重症化しやすい高齢者が入る施設での感染対策は徹底したい。入所者や職員の検査を徹底し、病院や施設で早期に治療を受けられる態勢を整えることが必要だ。
首相は、医療機関に対する経済支援の継続や四回目の接種に備えたワクチンと治療薬のさらなる確保などを表明した。今回の「第六波」では、ワクチン確保や接種の迅速さに欠け、治療薬や検査キットも十分に配分できなかった。対応を検証し、教訓とすべきだ。
「第六波」では感染症病床は確保できたものの、一般医療や救急医療が制限され、十分な治療を受けられない患者もいた。医療資源をどう配分するかは倫理問題も絡む難題だ。政府が中心となって検討する必要があるだろう。
私たち自身も、体調が少しでも悪ければ学校や仕事を休み、受診することを心掛けたい。学校や職場では、それが感染対策に欠かせない対応だとの理解を広げたい。
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