午前5時半。消防機庫集合。
暗闇の中、消防車のヘッドライトの灯りを頼りに、大会前最後の練習をしました。
まだ動作に機敏さが足りず、足並みが乱れる場面がいくつかありました・・・
不安を抱えたまま大会会場に向かいました。
開会式。吐く息は白く、寒風が容赦なく団員の横っ面を吹き抜けていきます。
11部あるうち、我々第9部の出番は2番目でした。
私の隣りでまだ若い部長が心細げに
「緊張してきました・・・」
「大丈夫。みんなを信じて、でっけー声で号令かけてくりぃ!」
背中をポンと1つ。
点検長が所定の位置に立たれ、いよいよ訓練開始。
頭の先から指の先まで力みに力み、手をあげる角度、一歩一歩の歩幅、視線の置き所そして全体の統制。審査対象となる動作すべてに最新の注意と最高の集中力を持って、訓練は進みました。
所要時間は10分あまりです。
たかが10分。されど10分。
特に部長は、号令の一つ一つが結果に直結するというプレッシャーと闘いながら、声を張り上げます。
「そのまま右向け、右!目標、ポンプの位置。駆け足、進め!」
最後の部長の号令が発せられ、我々が右足を踏み出したところで、訓練終了。
会場からは温かい拍手をいただきました。
私は確信を持って
「本番が今までで一番いかった!いかった!!」
部長や後輩団員を労いました。
上位3位まで発表される表彰式で、第9部は!呼ばれませんでしたが、団員の心が一つになることを体験できた、素晴らしい出初め式でした。
式の中で撥水訓練もありました。
放たれた水は、消防団員の志の如く、高く高く空に突き上げられました。
そしてこの度、団員や家族の支えのおかげで、団員歴15年を数えることができました。
表彰状を手渡され、体の続く限り、住民の生命と財産を守る使命を全うしようと、凛とした気持ちになりました。