故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

山芋掘り

2016-12-29 10:01:48 | よもやま話

絵にできなくて残念です。
山芋です。


過日、近所の方から山芋掘りに誘われた。
断る理由もないので、ついていくことにした。
道具は、3種類。植木用のはさみ、鍬(厚手の土を寄せる)、ストレートの鍬(柄が150cm)




掘り鍬(ストレート)は、やすりで研いであった。
はさみは、ダイヤモンド粉付き包丁用やすりで研いであった。
どの道具も抜群の切れ具合なので、尋ねたところ、ちゃんと手入れがしてあった。
理由はすぐに判った。

良い山芋は、しの竹のなかにある。しの竹が山芋のつるを風から保護するのだ。
隣人は、事前に山芋のつるを探していたらしい。
山芋のつるの両側に、竹を刺して目印にしていた。
2つは、まがい物。
やっと三つ目にして、本物の山芋らしい。
隣人の掘り方を手本に掘り方を始めた。
出来るだけ小さい穴(直径30cm以下)を山芋のつるに添うように掘り進む。
後に判ったことだが、山芋のひげのような毛根を目印に掘ることで小さい穴掘りで済む。
周りのしの竹をはさみで切る。切れるはさみで、あっという間に動ける広場が出来た。
掘り鍬で、しの竹の根や木の根を切りながら掘っていく。
30cmも掘ったころから土だけになった。
掘り鍬に付いた土を引き上げる。
できるだけ穴の近くに土を捨てる。穴を埋め戻す時の時間短縮のため。
山芋は直径10mm程度。ひたすら土をついては、掘り鍬についた土を引き上げる。
寒風のなか、掘る手は凍えてきた。手を温めながらの作業である。
軍手をはめているのに、どうして凍えるのか。土を軍手をはめた手で掘ったからである。
軍手に付いた土の水分が体温を奪っていく。手で土を引き上げてはいけないことが判る。
50cmも掘った頃、山芋を切ってしまった。採れたものは、15cm程度の山芋が3片。

隣人は、笑っている。切ってしまったら、もう追えない。
山芋が土に隠れてしまった。ジ・エンド。
そうなのか。いろいろなことが判る。

隣人が、さらに山芋のつるを探すこと15分。
今どきの山芋は、完全に枯れており追いかけるのが容易ではないのである。
しの竹にからんだ枯れた山芋のつるを追いかける。
山芋のつるは、20~30cmごとに節があり、切れている。
周囲を探し、土の上を追いかけ、やっと一本の山芋らしきつるが
土の上に出ているのを見つける。そしてその枯れたつるを抜く。
抜けた。これが山芋のつる。
抜けないのはまがいもの。

比較的太いつるであった。

掘り方始め。
今度は、大きな穴を掘ることにした。穴の周囲の広場を3mにする。
私が掘る穴の直径は、プロ(15-20cmの穴を掘る)の4倍はある60cm。
60cmの深さを彫った頃、隣人が来てまた笑う。
山芋を掘るのにそんな大きな穴を掘ったことがないという。
構わず掘り進む。手で土をあげることはもうない。汗が出てくるほどになった。
山芋ではないかもしれないと、
つるの周りの土を掘った穴に落としながら山芋の姿を拝むことができた。
地中30cmまでは、直径15mm。それから下が太くなっているではないか。
山芋の肌は、まだ茶色い。白くなると先端と隣人が言う。

とうことはと、穴に身体ごと入り、2段目の穴を鍬を突きながら掘り進む。
山芋が25mmの径になった。隣人は、5年物だなと嬉しいことをいう。
1m20cm掘った頃、山芋が白くなってきた。
すでに掘り始めて2時間は経過していた。

隣人は、もう一つ道具を出した。懐中電灯である。
穴の中の山芋の色と毛根を見るためである。
山芋掘りは、午前中にやる。午後は、穴の中が暗くなり覗けなくなるから。

慎重に山芋の周りの土を払う。
全長1mの山芋であった。
山芋を丁寧に取り出して、掘った大きな穴を埋め戻す。

これは自慢しなければと、軽トラに一本の山芋を積んで、友人宅に運んだ。
腰を痛めて2か月の友人に惜しげもなくあげた。
原発の影響で掘らなくなった友人は喜んでくれた。

夜に、3片の山芋をすり鉢でこするようにおろした。
ついている皮は、自然にめくれて取れるのである。
おろすのに30分を費やした。

妻がつゆを作ってくれた。
今度は山芋と混ざらない。
スプーンで、おろした山芋を切るように混ぜること10分。
やっと一塊の山芋の料理が完成した。二人でお椀二つに分けてすするように飲んだ。
今まで経験したことがない少し土臭い風味と食感を味わった。

隣人と 山芋掘れて 自慢する

2016年12月29日
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする