乃木坂46は、フロント常連メンバーであった橋本奈々未の卒業・引退発表を機に大きな変革期に入りつつある。
デビュー5年を迎えるアイドルグループとして、円熟期に入ろうとしているが、妹分・欅坂46の快進撃、公式ライバルAKB48グループの退潮、
追っていたものに近づきながら、いつの間にか追われる立場にもなろうとしている。
特に最近は、握手会でアンダーメンバーの完売数が増加し、選抜だけでなく乃木坂46全体に注目が集まっている。
12月のクリスマスライブも選抜、アンダーライブとも盛況のうちに閉幕したが、
アンダーライブについては今回ネットニュースやtwitterを見る限り、最少の16名というメンバーながら、工夫された演出と考え抜かれたセットリスト、
アンダーセンター寺田蘭世の成長、乃木坂史上初めての乃木團バンドをバックにしたパフォーマンスでファンの評価も高い。
選抜は一人一曲プロデュースコーナーで、松村沙友里が「無口なライオン」をギター弾き語りのソロでパフォーマンスしたことが話題になった。
失礼ながら決して歌唱が得意なメンバーではなく、ギターもおそらく初心者同然だった筈なのだが、ときどき音程を外しつつも本人の気持ちが溢れたパフォーマンスは、会場のファンを感動させたらしい。
歌の上手い下手ではなく、いかに気持ちが歌に表現できるか。一番原初的なライブの良さを思い起こさせるものだったようだ。
4日間のクリスマスライブの翌日に3期生のお披露目会となんと武道館5DAYSという豪華さ。
新メンバーが乃木坂のシングル表題曲から3曲カバーしたようなのだが、そのパフォーマンスについてネット上では期待以上の出来だったようで、
武道館を埋めることが出来るアンダーメンバーの層が更に厚くなることになりそうだ。
3期生の活動開始により一番焦りが出るのは2期生の選抜未経験者である寺田蘭世、伊藤純奈、佐々木琴子、鈴木綾音、渡辺みり愛等であろうと予想されるのだが、
1,2期生の若手たちも学業との両立という難題をこなしながら、それぞれで個性を発揮し始めている。
アンダーライブという武器を発掘するまでの、乃木坂運営のアンダーメンバーに対する積極的な活動を与えられなかった無策の期間はあるものの、
これまでの活動キャリアは本人たちが思うよりとても大きく、そう簡単に3期生には追いつけない力となっている筈で、今後より大きく成長できるように頑張ってほしい。
妹分の欅坂では、シングル3作目までセンターは不動ながら、フロントメンバーを慎重且つ大胆に変更し、全員にポジションごとの経験を積ませようとしている。
乃木坂においても、選抜については握手会人気だけではなく、パフォーマンスもしっかり考慮した編成にトライしてほしい。歌唱力に長ける川村真洋、伊藤純奈、ダンスに長ける中田花奈らを
もっと前面に出して売り込んでいただきたい。
蛇足ながら、メンバーの年齢を良く見てみると、ロケットスタートのデビューイヤーとなった欅坂46は デビュー時の平均年齢が2011年デビュー時の乃木坂46に比べて約2歳高い。
坂道シリーズとしてのフォーマットがあり、且つ年齢からくる活動に対する意識の高さを考えれば、手探りだった乃木坂よりも欅坂がスタートしやすい条件であったといえる。
もちろんメンバーのビジュアルを含めた才能が一番ではあるが。
ただ、デビュー5年を迎え、3期生という新たな力を加えた乃木坂に比べ、欅坂は今の主力メンバーが抜けていく時期が乃木坂よりも早く、早すぎる紅白出場を含めグループとしてどこまで頑張っていけるだろうか、
と余計な心配がよぎる。