「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会主催の医療講座に行きました。
講師の山本先生のお話は二回目ですが、盛りだくさんでテンポの速い、そして舞台裏の本音トークが楽しいです。
本当にそうだなぁと思ったのは「よくならない、とまたかかってくれる信頼関係を作りたい」という話でした。
「良くならない」というのは医療の場合、クレームではない、情報である、ということ。
これは、特に小児の一般外来で言えることのように思えます。
小児科にかかる多くの方は自然に治る(つまり、薬を使わなくても)ウイルス性の感染症だからです。
むしろ、薬がきちんと効いて処方が必要ということの場合は少ないかもしれません。
使っても使わなくてもどちらでもいい、使うと楽に治る、程度であり、ビンゴ!ってかんじに効く薬はあまりないのです。
ピタッと治る咳止めなどもないですから。
以前、こんなことがありました。
一か月健診で「顔に湿疹がある」とおっしゃるお母さんがみえました。
すでに二回外来受診されていて、一回目はステロイドでない塗り薬、二回目はステロイドの塗り薬の処方の記録がありました。
よく聞くと、どちらの薬も使っていないということでした。
医者は「薬はなんだか怖くて使えない」という現実は知らないまま、「治らない」という訴えの受診かと考えステロイドの処方をしたのです。
これには、私もびっくりしました。
ここまで、何も訴えることなく受診できるものか、と。それほど、医師には本当のことがいいにくいのか、と。
そして、丁寧に使い方を聞くことは大事だと学びました。
薬を使いたくない気持ちであるというのも一つの情報。
こわくて使えないままで、でもよくならないで困っている、というのも情報。
その上で、なぜ必要かどう使えば副作用は避けられるか、他に大事なことはなにか、などを丁寧に説明するのが医師の仕事だと思います。
どんな名医も病気の最初でそれがどんな病気か、症状はどれほど続くか、いつ治るか、を言い当てる人はいないでしょう。
でも、どうなって治っていくことが多いか、 治らない場合はどうなったら心配か、は言うことができます。
だから単純に「早めに受診、早めに薬」がいいわけではないのです。
それを山本先生は野球の試合のたとえでお話しされます。
ときに腸重積が胃腸炎にひきつづいて起こる場合、痛がり方泣き方が変わるというのもポイントになることもあります。
観察して変化に気づくということも看病している親にしかできないことです。
「治らない」とともに「こう変化していて、いつもと違いおかしい」これは、本当に大事な情報です。
その情報があるから、医師も適切に判断できるのですから。
多くは自然に治る患者でも、中にはときには重症化して夜間に救急外来とか大きな病院→入院ということもあります。
そういうときは私だったら教えてもらえるとありがたいなと思います。
文句みたいに思われて抵抗あると思うかもしれませんが、そんなことはないです。
薬を飲んでいても飲んでいなくても、早めに受診していてもしていなくても、悪くなるときはなるからです。
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