矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

9月15日付け、日本感染症学会の新型インフルエンザガイドラインにつきまして

2009-09-17 18:48:41 | Weblog
昨日、メディア報道された日本感染症学会の新型インフルエンザガイドラインにつきまして(下記)

http://www.kansensho.or.jp/news/pdf/influenza_guideline.pdf

私自身は、新型インフルエンザの治療に関しまして、国内で、インフルエンザ患者の全症例に抗ウイルス薬oseltamivir投与という点につきまして、異なる見解を持ちます。

現場では、既往歴のない方などは、自宅療養し、外出を控えていただくほうが
はるかに感染の蔓延を防止できるのではないでしょうか?

一方で、WHOがハイリスク患者と定義しているような方は、自己判断せず、早期の受診が望ましい、と考えます。

インフルエンザ様症状の患者が、大人数で一般病院などへ殺到し、タミフル処方を受ける状況は、避けるべき事態だと考えております。

相対的に若い年齢層で世界で死亡例、重症例があることは十分認識しておりますが、全例に投与という学会の方針自体は、現場での状況にさらなる混乱を招く可能性があると危惧いたします。

また、来るべきH5N1に対して、抗ウイルス薬の備蓄が減少するという懸念はないのでしょうか。

国内だけで世界の大半のoseltamivir消費という状況は、改善すべき状況ではないのでしょうか。国際的な非難が起こっていないのが不思議に感じたりいたします。

現場での良識的な判断と、的確で明確な国民教育が必須です。

上記の旨で当該学会に質問しております。