矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

新型インフルエンザ対策、ワクチンなど

2009-09-05 12:42:08 | Weblog
新型インフルエンザへの対策も、いよいよ本格化です。


新型インフルエンザワクチンは、2回接種が必要です。

新聞報道などのように、確かに、流行のピークにワクチン接種が間に合いかねる状況が懸念されています。

一般市民向けに、症状を自覚すれば外出を控えたり、手洗い、せきエチケットを徹底していただくように、教育・啓発活動をすることが必要でしょう。

また、一般市民が、最寄のかかりつけ医、総合病院などに、Oseltamivir (タミフル)などの抗ウイルス薬の処方を求めて多く受診することにも、対応が必要です。

私見ですが、
既往歴のないかたは、なるべく、自宅療養する、といった教育が必要だと考えます。リスクの低い、既往歴のない患者には、タミフルなどの抗ウイルス薬投与の推奨はありません。WHOのガイドラインにも書かれています。

一方、既往歴がある方は、自己判断せず、早期に受診することが重症化を防ぐためには必要です。

そのような優先順位を明確にした、バランスのとれた診療が大切ではないでしょうか。

毎年の季節性インフルエンザへの対応でも、大半の症例に抗ウイルス薬を投与する診療を見直す機会でもあると感じます。

多くの医療機関が、新型インフルエンザの患者さんのみに対応できないため、一般国民の方の良識的な判断をお願いしなければならないと考えます。



(余談)
2-3日前に米国で診療している日本人の先生が一時帰国されていたので、電話で、米国の新型インフルエンザへの対応を、聞いてみました。

インフルエンザの迅速検査などは、ほとんどしていない
感度も低く、高額の医療費の問題と臨床的な意味が低いため

入院患者では、PCRで確定診断をつける
現場では、このような対応だのことです。

現場では、新型および季節性ワクチンの接種の準備などが開始されている、とのことです。





NYC では、小学生全員に無料新型インフルエンザワクチン接種

2009-09-02 09:29:11 | Weblog
本日のTV報道で、ニューヨーク市長は、同市の小学生に、無料で、新型インフルエンザワクチンの接種を提供する、述べていました。

迅速で、実戦的な対応だと思います。

国内も、厚労省の新型インフルエンザワクチン接種の優先順位が報道されていました。

今年は、医療従事者は、新型インフルエンザ2回、季節性インフルエンザ1回の3回接種が必要です。

接種にあたり、現場での具体的な対応が必要な状況です。

今秋、HPV ワクチンが承認予定だそうです。

2009-09-02 09:17:16 | Weblog
待望のHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが、国内でも承認予定との報道がありました。

子宮頸がんの予防目的で、少なくとも臨床試験でフォローした数年間は100%の効果と報告されています。

今後、性行為を開始した女性の子宮頚がん検診の普及とともに、ワクチン接種の普及が望まれます。

ちなみに、2009年現在、米国の推奨ワクチンでは、11-12歳の女児に3回接種、
それ以上の年齢の女性では、13歳から26歳までの女性にも3回接種が推奨されています。