中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

宣言・研修の成果が生かされていません(続編)

2022年02月14日 | 情報

なぜ、このようなことが起きるのか、 繰り返されるのか?

トヨタ自動車、三菱電機、住友林業など、「健康経営優良法人 ホワイト500」を取得している大企業が、
なぜ新聞報道されるほどのトラブルを続けざまに惹起しているのか?
その原因は、健康経営優良法人の認定制度にあります。
申請書の書式を見れば、一目瞭然です。事務局は申請書をもとに、書類審査をするだけです(多分)。
申請書をもとに、事務局が実地調査に入ることはありません(多分)。
ですから、これだけの健康経営優良法人が誕生しているのです。公表数字を確認してください。

だからといって、健康経営を軽んじてはいけません。健康経営優良法人の資格を取得するには、
健康経営を推進している事実を積み重ねている必要があるからです。
しかし、健康経営優良法人の認証を取得したからといって、これで安心というわけではないのです。
外形的には、体裁を整えてあっても、実態が伴わないのであれば、従業員ファーストの経営にはなりません。
前回にも申し上げましたが、「健康経営を実践するのか」それとも「健康経営の資格所得」を目的とするのかの違いです。

例えば、メンタルヘルス対策をみてみましょう。
下記の質問票があります。申請者が「イエス」と答えれば、結果まで「イエス」で通ってしまうのです。
通底するのは、申請者の「善意主義」です。

経済産業省 令和3年度 健康経営度調査(従業員の健康に関する取り組みについての調査)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/R3_kenkokeieidochosa_sample.pdf

⑭メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み Q56

◎ Q56.メンタルヘルス不調の予防や不調者への復職支援、就業と治療の両立支援として、
どのような取り組みを行っていますか。(いくつでも)
◆ストレスチェックに関する取り組みや研修・情報提供に関する取り組みは除きます。
◆メンタルヘルス不調に特化しない私病等への対応は除きます。Q45でお答えください。
1 メンタルヘルスについての相談窓口の設置および周知を行っている
2 ハラスメント相談窓口・内部通報窓口の設置および周知を行っている
3 ウェアラブルデバイスにより従業員自身のセルフチェック等を支援している
4 マインドフルネス等の実践支援を行っている(実施場所や実施時間の確保等)
5 従業員にとって安心かつ快適な職場環境の整備について管理職を評価・教育する仕組みがある(部下による360度評価制度等)
6 不調者に対して外部EAP(従業員支援プログラム)機関等と連携した復職サポート体制を構築している
7 不調者に対してリワークプログラム(認知行動療法等)の(社外での)提供を行っている
8 その他
9 特に行っていない ⇒不適合

健康経営優良法人(中小規模法人部門) 認定申請書

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/jisedai_healthcare/kenkou_toushi_wg/pdf/012_s03_00.pdf

誓約書(別添3)

日本健康会議 健康経営優良法人認定委員会 宛て
誓 約 書
健康経営優良法人(中小規模法人部門)に対する申請にあたり、下記の事項を遵守します。

1.申請日から過去3年以内に以下の事実がないこと。
(1) 労働基準法、労働安全衛生法等の従業員の健康管理に関する法令に係る違反により、送検されている、行政機関により法人名が公表されている又は是正勧告を受けたが是正措置を講じていないこと。
(2) 労働安全衛生法 78 条又は 79 条に基づき安全衛生管理特別指導事業場に指定されていること。
2.申請内容に虚偽がないこと。また、認定審査に際し、貴委員会から追加的な確認が求められた場合には誠実に対応すること。
3.過去、現在及び将来にわたって、暴力団等の反社会的勢力に所属せず、これらのものと関係を有していないこと。
4.健康経営優良法人に認定されたときには、以下の事項を遵守すること。
(1) 申請書に記載し、認定の根拠となった事実・取組については、定期的・継続的に法人内の状況を適切に把握し、申請時点の取組状況を維持又は向上させるよう努めること。
なお、取組等の状況確認のため、貴委員会において調査が必要と認めた場合は、これに協力し誠実に対応すること。
(2) 健康経営優良法人のロゴマークは、「健康経営優良法人ロゴマーク使用規約」に従い、かつ、認定有効期間内に限り使用すること。
(3) 申請時点での法人の名称や所在地、連絡先に変更が生じた場合は、速やかに変更事項報告書により報告すること。
(4) 申請時点で記載した事実・取組状況に変更が生じ、その結果、認定基準を満たさなくなった場合は、速やかに認定書返納届とともに認定書を返納すること。
(5) 認定基準又はこの誓約の内容に反する事実が明らかになり、これに基づいて認定が取消され、その事実が公表されることに伴い、不利益を被ることとなっても、異議は一切申し立てないこと。
(6) 認定書を返納した場合又は認定が取り消された場合に、健康経営優良法人としての自称及びロゴマークの使用を速やかに取りやめること。
平成 年 月 日
(申請者)
所在地
法人名
代表者名 印

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