中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(プラス情報)アタッチメント “生きづらさ”に悩むあなたへ

2024年06月01日 | 情報
アタッチメント “生きづらさ”に悩むあなたへ
初回放送日:2024年5月4日 NHK

今回のテーマは「アタッチメント」。食欲や睡眠欲と同じように、生まれながらに人間に備わっている本能的な欲求だ。人はみな「不安や恐怖を感じた時に誰かにくっつくことで、安心しようとする」。幼少期にこの「安心感」が満たされることが、子どもの健やかな発達や、大人になってからも人間関係や心身の健康に影響を与えることが分かってきた。アタッチメントを正しく知れば、よりよい人間関係を築くヒントが見えてくる。#君の声

アメリカのZ世代を中心にブームとなっている「アタッチメントスタイル」

アタッチメントとは、「不安や恐怖を感じたとき、特定の誰かにくっついて不安を解消し、安心感を得ようとする欲求や行動」のことですが、そのくっつき方には個人差があります。アタッチメントの個人差は、その人の「人間関係の築き方のクセや行動の傾向」に現れ、それを「アタッチメントタイプ」や「アタッチメントスタイル」と呼んでいます。
不安なときに、安心させてほしいと求めるアタッチメントの対象は、幼少期は主に親などの保護者ですが、成長とともに友人や仲間、恋人やパートナーへと移っていきます。
こうしたアタッチメントの対象となる特定の人とのあいだで繰り返されてきたやりとりは、特定の人との関わりだけでなく、一般的な対人関係におけるひな型となります。
相手の表情や、ことばのとらえ方、距離のとり方など、人との関わり方のクセや傾向として現れます。5/4放送のNHKスペシャル「アタッチメント」では、代表的な3つのタイプを紹介しました。
アメリカの若者たちは、自分や友人、パートナーのタイプを理解することで、人と関わるときの不安がなくなり、無駄な衝突を避けられると言っていました。
人間関係において、「なぜそういう行動をとってしまうのか?」「相手のことが気になりすぎてつらい」といった不安や考え方のクセは、私たちの自覚のない意識下で形作られていると、アタッチメント理論では考えられています。
大人のアタッチメントタイプの最も代表的な測定法は、面接を使った方法です。
専門のトレーニングを受けた監修者によるインタビュー形式で、過去の養育者との関係を1時間ほどの面接の中で聞き、それを元にアタッチメントのタイプを評定します。
 もう一つは、質問紙法です。いくつかの種類がありますが、代表的なものでは、現在の人間関係についての質問項目に答えてもらったものを得点化します。番組では、その得点の大小をもとに、便宜的に3つのタイプに分類しました。出演者の皆さんに、同級生や職場の同僚など、日ごろの人間関係のつくり方をイメージしてもらい、9問の質問に答えてもらいました。
正式には、父親・母親・恋人(配偶者)といった「特定の他者」について、それぞれ9項目の質問に回答してもらい、評定します。
いずれの方法も専門家による監修が必要です。質問紙法について詳しい情報を知りたい方は、こちらの論文を参照してください。

アダルト・アタッチメント・スタイル尺度(ECR-RS)
日本語版の妥当性評価1, 2

愛着(アタッチメント)とは、人や動物が、特定の対象に対して形成する、特別な情緒的結びつきのことを指します。
愛着形成のあり方は、乳幼児の発達はもちろんのこと、青年期や成人期などのその後の人格形成にも大きく影響するものとして非常に重要とされています。
愛着に関する研究はさまざまありますが、ここではその中でも代表的なボウルビィ, J.の愛着理論を紹介します。

ボウルビィは、乳幼児が母親やそれに代わる養育者から母性的な養育を受けられなくなることをマターナル・デプリベーション(母性剥奪)と呼び、良好な母子相互作用を欠いた乳幼児は、その発達において種々の障害を生ずるとしました。
このマターナル・デプリベーションの研究から、ボウルビィは母子相互作用の重要性を説き、愛着形成の理論を構築したのです。

ボウルビィによると、母親や養育者への愛着形成は、次の4つの段階に分けられます。
まず最初に、生後3ヶ月頃まで、人に関心を示すものの人を区別した行動は見られない段階があります。
この時期には、周囲の人に対して無差別に微笑みかけたり、手を伸ばしたりといった行動が見られます。

次に、生後6ヶ月頃までの時期、母親とその他の人物を区別した反応が見られるようになります。
ただし、この段階ではまだ母親の不在に泣くというような行動はまだ見られません。
3つ目の段階は生後2~3歳ごろまでの時期で、明らかに愛着が形成され、接近や接触を求める行動が活発になる段階です。
人見知り不安を示し、母親がいなくなると探し求めるなどといった行動が見られるようになります。

最後に、2~3歳以降の時期、愛着対象との身体的接触を必ずしも必要としない段階があります。
この時期になると、愛着対象との身体的接近を必ずしも必要としなくなり、母親がいなくても情緒的な安定を保つことができるようになります。

以上のような段階は、愛着の発達が順調にいった場合ですが、マターナル・デプリベーションに見られるように、実際にはこうした健全な愛着の発達が阻害される場合もあり、愛着にはさまざまなパターンがあると考えられています。
ボウルビィの研究チームの一員であったエインズワース, M.D.S.は、こうした愛着の質を測定する方法として、ストレンジシチュエーション法を開発し、乳幼児の愛着の発達を類型化しました。
この方法では、愛着のパターンを「安定型」「回避型」「葛藤型」の3つのパターンに分けましたが、こうした愛着のパターンは、乳幼児期を過ぎても、個々の人格形成に持続的に影響を与えるもの考えられています。

ウォッチ・ミー・プレイ!は、養育者が、生後間もない赤ちゃんから、8歳くらいまでの子どもを手助けし、一緒にいることを楽しむというシンプルな方法です。
この方法では、養育者は週に2回、可能であればそれ以上、5分から20分の間、赤ちゃんや子どもの遊びを見守り、その遊びについて一緒に話をします。
遊びは、子どもたちの人生にとってとても大切なものです。
遊びを通して、子どもたちは周りの世界を知り、学校で過ごすようになってから役に立つスキルを練習します。
以下の短いビデオでは、養育者が、遊びを通して赤ちゃんや子どものことをより身近に感じるようになり、より自信を持って関われるようになることがわかります。
子どもの遊び方は年齢によって変わりますが、遊びに関する大切な考え方は、乳幼児であっても年長の子どもであっても同じように役立ちます。以下のような考え方です。

静かな場所、シンプルなおもちゃを用意し、5分から20分の時間遊びましょう

赤ちゃんや子どもと1対1の時間を設けましょう

赤ちゃんや子どもに、どのような遊びをするか選んでもらいましょう

赤ちゃんや子どもの遊びについて、一緒に話をしましょう

このウェブサイトでは、より詳しい情報や、無料の資料をご覧いただけます 。

ウォッチ・ミー・プレイ!ガイダンスは、子どもと家族のための様々な支援の中で、家族や専門家によって開発されました。

地域によっては、子どもや家族のための支援や、幼児教育の現場でトレーニングを受けた「ウォッチ・ミー・プレイ!」の実践者が、養育者と一緒に子どもの遊びを眺めたり話し合ったりして支援することができます。「ウォッチ・ミー・プレイ!」は、ご家庭、児童館、クリニック、オンラインで実施することができます。お住まいの地域で、こうした支援をお探しの方は「リンク」のセクションをご覧ください。


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