中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

心に効く「ツボ」の効果

2024年06月11日 | 情報
NHKスペシャル 東洋医学を“科学”する 
~鍼灸(しんきゅう)・漢方薬の新たな世界~

鍼灸や漢方薬など「東洋医学」のメカニズムの科学的解明が進んでいる。
東洋医学は全身の体調を整えることに主眼が置かれ、深刻な病気になる前=「未病」のときに取り入れることで、
健康維持につながると西洋医学の世界でも期待を集める
モデル・冨永愛さんが専門家に体調や体質を見てもらいながら東洋医学を体感。
世界の最新研究や臨床現場のドキュメントから、西洋医学と東洋医学の融合で広がる新たな医療の可能性に迫っていく。

出演 冨永愛
語り  小田切千 、合原明子
2024年5月19日放送 (C)NHK


〇鍼灸によるうつ病の治療 心に効く「ツボ」の効果とは
更新日2022年5月1日

なんだか気分が晴れない。病気ほどではないけど、体調がすぐれない。
そんな人たちの悩みを解消する手段として、東洋医学が注目を集めています。イギリスでは、うつ病治療の選択肢として、薬が効かない患者への効果が確認され、
日本の研究からは、「脳活動の活性化」が期待される結果も出てきました。
心に効くツボとは?研究の最前線と、セルフケアをご紹介します。

世界で普及が進む 鍼灸治療
日本に鍼灸(しんきゅう)院がどれくらいあるかはご存じですか?
なんと6万軒以上。実は、コンビニエンスストアの数を上回ります。
読者の皆さんの中には、一度は鍼灸を経験した方も多いのかもしれません。
実は、イギリスも、鍼灸大国の一つ。
大学で、鍼灸学の学位を取ることができるのはもちろん、がんの緩和ケアなどで人気に火がつき、
イギリスの皆さんにとっても、「身近な」存在のようです。
町ゆく皆さんに聞いても、「もちろん行ったことがある」「もう30年も通っている」など、
私たちの予想以上に、鍼灸が浸透していて驚きました。

うつ病治療の選択肢となりつつある 鍼灸
そんなイギリスで、今、注目を集めているのが「うつ病」に対する、鍼治療です。
うつ病患者の3割は薬が合わずにやめてしまう他、使用しても効果が認められないケースがあるといいます。
そのような中、イギリスで行われた大規模研究に注目が集まりました。
うつ病患者755人に対して、「カウンセリング」と「鍼灸治療」の効果を比較したところ、同等の効果が確かめられたというものです。
研究を率いた、ヨーク大学のヒュー・マクファーソン教授は「鍼灸がうつ病治療の新たな選択肢になる」と考えています。

実際に治療を受けた患者も取材することができました。
鍼灸治療を受けて3か月という、コリン・マシューズさん(48歳)は、
最初、「鍼が薬の代わりになるなんてばかげている」と感じていたそうです。
ただ、薬の副作用がつらく、他にやることもなかったため、試しに鍼灸をやってみたところ、その効果はてき面だったといいます。

『初めて鍼治療を受けた後、頭の中が前向きな考えで満たされ、とてもリラックスできていたんです』。
家族も、この変化には驚いていました。
妻のジェマさんによると、以前は、テレビを見たり読書したりするのもままならなかったのに、
すっかり落ち着きを取り戻し、家族の事も考えられるようになったそうです。

鍼でなぜ、うつ病の症状が改善するのか
詳しいメカニズムはまだ研究途上ですが、鍼によって、脳にも変化が起きることが、最新の研究でわかりつつあります。
鍼治療の前後で、脳の血流量を見たところ、特に、前頭葉で大きく改善。
脳活動が活発に炎症物質を減らしたことが、脳の神経細胞の活動を活性化し、
その結果、うつ病の症状が改善したのではないか?
今、検証が進められています。

心に効くツボとは?
うつ病治療に使われるツボは、実は、健康な人たちに対しても、「脳の活性化」につながることも、最近わかって来ました。
つまり、心をすっきりさせることが期待できるのです。

そこで、簡単にできる「心に効くツボ」を2つご紹介します。
一つ目は「合谷(ごうこく)」。手の親指と人差し指の間くらいにあります。
もう一つが、「百会(ひゃくえ)」。いわゆる頭のてっぺんにあるツボで、押すとちょっと、他の場所よりやわらかく感じやすい場所です。
基本的なツボの押し方は、①指で3秒~5秒押す。②指を離し、同じ時間休む。
③5回ほど繰り返す。
ポイントとして、ツボを押す強さはハンコを押す程度。くれぐれも、押しすぎには注意してください。


〇神奈川県立精神医療センター
〒233-0006 神奈川県横浜市港南区芹が谷2-5-1
TEL:045-822-0241(代) FAX:045-822 -0242

鍼灸の概要
抗うつ薬の目覚ましい普及にも関わらず、うつ病患者が増え続けている状況の中で、
アメリカや中国など鍼灸は気分障害における代替医療として注目されており、
世界保健機関(WHO)もうつ病や神経症に鍼灸が有効である可能性を支持しています。
中国医学では「心身一如」というように、心と身体は一体不可分のものとして捉えられています。
を病めば即ち心を病むことであり、心を病めば即ち身体を病むということであると考えられています。
東洋医学では、身体状態を改善することが精神の健康にも役立つという考えが根本にあると言えます。
鍼灸はその方法論が多様であり、その抗うつ効果を客観的・定量的に検証することは容易ではありません。
特に日本鍼灸では「百人の鍼灸師がいれば、百通りの鍼灸がある」と言われるように、
体系化された手法が確立されておらず、個人の経験則に頼りすぎている側面も指摘されています。
また、これまでに海外で報告された鍼灸のうつ病に対する無作為化対照比較試験(RCT)では、
試験デザインの不備やプラセボ群との差が出にくい傾向が指摘されています(文献1,2)。
静かな環境において臥位をとり、触診や刺鍼で肌を触れながら、傾聴スタイルの患者治療者関係において、
鍼灸の施術行為自体がうつ症状に対してプラセボ効果を持ちうるという指摘もあります。
このためにシャム対照群の設定が難しいという側面もあり、純粋な鍼灸効果のエビデンスを検証するには多くの工夫が必要になります。
最近ではシャム対照群を設定せずに、抗うつ薬に鍼灸を付加する研究デザインも採用され、一定の結果が得られています(文献3)が、
上記の理由から鍼灸の効果のみを反映しているかどうかの検証は容易ではありません。

参考文献
Smith CA, Hay PP, Macpherson H. Acupuncture for depression. Cochrane Database Syst Rev. 2010(1):CD004046.
Leo RJ, Ligot JS, Jr. A systematic review of randomized controlled trials of acupuncture in the treatment of depression. J Affect Disord. 2007;97(1-3):13-22.
Qu SS, Huang Y, Zhang ZJ, Chen JQ, Lin RY, Wang CQ, et al. A 6-week randomized controlled trial with 4-week follow-up of acupuncture combined with paroxetine in patients with major depressive disorder. Journal of psychiatric research. 2013;47(6):726-32.
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