中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

宣言・研修の成果が生かされていません

2022年02月11日 | 情報

報道からの小職の感想です。
代理人弁護士が「7カ月で業務上認定したことは正当」としたのは、その通りで比較的迅速な決定だと思います。
一方で、「実際の労働時間と比べると過小な認定で、上司からのパワハラなどについて詳しい調査をしなかったことは残念だ」と言っていますね。「1か月の時間外労働は105時間に上るなど、長時間労働と労働時間の急激な増加や13日間の連続勤務が2度にわたって確認」が理由のようですが、ひとは、この程度ならばそう簡単につぶれません(経験をもとにした私見です)。

報道をもとにした小職の推測ですが、当該労働者は大学新卒で、支店の営業グループの責任者になったのは推定48歳です。この辺りに言いにくい理由があったように感じます。
また、小職が学習した限りでは、「精神障害を発症」が「大うつ病」であれば、重大な(今回は、自死)決断をいとも簡単に下してしまうそうですから、周囲もさぞかしびっくりしていることでしょう。「なぜ、気が付かなかったのだろうか」と。

それにしても不思議ですね。当該企業は、「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に認定されたと社告していますす。

https://sfc.jp/information/news/2021/pdf/2021-03-17.pdf

また、住友林業㈱のHPを参照してください。高らかに「健康経営宣言」を表明しています。メンタルヘルスケアを実践しているそうです。
当該企業は、健康経営が目標だったのでしょうか?それとも、「健康経営企業という肩書」が目標だったのでしょうか?
ちょっと、きつかったでしょうかね。

https://sfc.jp/information/society/social/work-life-balance/health-management.html

住友林業グループ健康経営宣言

https://sfc.jp/information/company/keiei_rinen/health-management/

 

住友林業 50代男性社員の自殺 長時間労働が原因の労災と認定
2022年2月9日 NHK

大手住宅メーカー「住友林業」で働いていた50代の男性社員がおととし自殺したのは、長時間労働などが原因だったとして労災と認定されたことが分かりました。

労災と認められたのは、「住友林業」で正社員として働いていた51歳の男性です。

会見した遺族の代理人弁護士によりますと、男性は大学卒業後に入社し、2019年4月から東京都内の支店で、営業グループの責任者として住宅展示場での営業や顧客からのクレーム対応などを担当していました。

しかし、おととし6月ごろから睡眠障害などの症状が出て、その半年後の12月に自殺しました。

労働基準監督署が調べた結果、亡くなる直前に男性が精神障害を発病していたと認められ、その3か月前の1か月の時間外労働は105時間に上るなど、長時間労働と労働時間の急激な増加や13日間の連続勤務が2度にわたって確認されたことなどから去年12月、労災と認定されました。

男性の妻は、弁護士を通じて「夫には休む暇や家族との時間もほとんどありませんでした。命より大事な仕事はありません。働きすぎにより亡くなったり、健康を害してしまったりする人がいなくなる社会になることをせつに願います」とコメントを出しました。

「住友林業」は「労災認定の内容はまだ把握していませんが、亡くなったことについて重く受け止めています。ご冥福とご遺族の皆様へのお悔やみを申し上げます。今後もご遺族に対して真摯(しんし)に対応して参ります」とコメントしています。

住友林業の50代店長が過労自殺 月105時間の残業などで精神障害に、労災認定
2/9(水) 弁護士ドットコムニュース

住友林業(東京都千代田区)に勤務していた当時51歳の男性が2020年12月に自殺したのは、長時間労働などが原因だったとして、新宿労働基準監督署(東京都新宿区)が2021年12月23日付で労災認定した。代理人が2月9日、会見を開いて明らかにした。

遺族は「休日で珍しく家にいる日でも会社から貸与されている携帯電話はいつもなりっぱなしで、夫には休む暇や家族との時間もほとんどありませんでした。当時の上司を含め、住友林業が何も責任を感じていないことに憤りを感じます」とコメントを出した。

  • 顧客や近隣住民からのクレーム対応も担当

代理人弁護士によると、男性は住友林業に営業職として新卒入社し、支店勤務後、2019年4月から東京中央支店(東京都新宿区)営業グループの店長として、新規契約の獲得や敷地調査の立ち合いなどを行っていた。

住宅展示場などさまざまな場所に移動する必要があり、宇都宮や軽井沢、熱海、山中湖などにも自ら運転する自動車で移動していた。ノルマ達成のための部下指導や顧客・近隣住民からのクレーム対応も担当しており、休日もほとんど休める時間はなかったという。

男性は2020年6月ごろから睡眠障害などの症状が現れ始め、体重が減ったり薬を大量に飲み込んだりしていた。

  • 「従業員に過剰な目的達成を強いた会社の責任は重大」

労基署は、男性が2020年12月5日には精神障害を発病していたとし、発病前6カ月の残業時間を51~105時間と認めた。発病4カ月前からの業務量増加や13日間の連続勤務についてそれぞれ心理的な負荷の程度を「中」とし、総合評価を「強」と評価した。

代理人の川人博弁護士は「労災申請から比較的早期の7カ月で業務上認定したことは正当である。ただ、実際の労働時間と比べると過小な認定で、上司からのパワハラなどについて詳しい調査をしなかったことは残念だ」と話した。

また、会社の体制について「コロナ禍でも予算を下げず、従業員に過剰な目的達成を強いた会社の責任は重大。日本の注文住宅業界ではトップレベルの会社において、犠牲者が出たことについて、大変重大であると考えている」と指摘。今後会社と再発防止策などについて交渉を進めるという。

  • 会社側のコメントは

住友林業は弁護士ドットコムニュースの取材に「現時点で労災の内容について把握していないので、詳細については差し控えさせていただくが、労災認定されたことについては承知しています。亡くなったことに対して、当社として重く受け止めており、故人のご冥福をお祈りするとともに、遺族の方へのお悔やみを申し上げます。今後もご遺族に対して弊社としては真摯に対応して参りたい」とコメントした。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 休職復職Q&A⑦ | トップ | 宣言・研修の成果が生かされ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

情報」カテゴリの最新記事