中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
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(参考)脳にも飛び火

2022年03月15日 | 情報

コロナ症状、脳にも飛び火 うつ発症の一因も
隣のウイルス③波紋 2022年2月26日 日経

新型コロナウイルスは、高熱や息苦しさのほかにも様々な症状を引き起こす。感染の影響は、波紋が広がるように脳まで及ぶとの見方も出てきた。感染の足がかりになる鼻や喉から離れたところに飛び火するのはなぜか。ウイルスの策略をも感じさせる謎の解明に研究者が挑んでいる。

新型コロナウイルスが増えるのは鼻の中や喉、肺だが、記憶障害やうつ症状に悩む人がいる。東京慈恵会医科大学の近藤一博教授には思い当たる節があった。

近藤教授は以前、うつ病の発症は子どもの頃に感染するヒトヘルペスウイルス6が原因だとする研究成果を公表している。

このウイルスはほとんどの人が感染し、体内に潜伏する。疲労などで免疫力が下がると唾液中に現れ、脳の「嗅球」に再感染する。このときにできる「シス1」というたんぱく質は、マウスの実験で脳の働きを衰えさせた。ヒトでは、うつ病の発症リスクが12倍に高まっていたという。

シス1たんぱく質の特殊性は際立つ。近藤教授は「このたんぱく質はヒトにストレスを与え、免疫力を下げる。そうすると、ウイルスが生き残りやすくなる」と話す。ウイルスは、遠回しに自分の立場を有利にする手立てを備えていた。

新型コロナウイルスの感染でも、シス1に似た働きをするたんぱく質を見つけたという。マウスの実験では、このたんぱく質が存在すると、ウイルスが感染していない脳の働きまでもが乱れ、うつ病や倦怠(けんたい)感のような症状が出た。

ヒトヘルペスウイルス6はたんぱく質を介し、低下した免疫力を味方につけた。新型コロナウイルスによる脳への影響も、免疫の防御を崩す策略ではないか。証拠はないと近藤教授はいうが、因果関係の解明が必要だ。

新型コロナウイルスの長引く症状を巡っては、ウイルスが体内に潜んでいるという見方や、免疫の過剰反応が体の変調を招くといった考えなど諸説あるが、詳しくはわかっていない。

ウイルス自体が手を下していないのに体のあちこちが不調に陥る――。異変はすべて免疫の不具合が原因だと決めつけるわけにはいかない。ウイルスがつくったたんぱく質が病気を招く例が他にもあるからだ。

例えば、レトロウイルスがもたらすたんぱく質や、ヒトパピローマウイルスの「E6」や「E7」というたんぱく質はヒトの体の中でがんの発生を促す。

細胞ががんになると、代謝が活発になってウイルスの揺りかごとなる。がんで侵された体は、ウイルスが増えるのにうってつけだ。

新型コロナウイルスは呼吸器の不調に加え、一定の割合で後遺症が生じる。人々の精神や体をむしばめば免疫を含むあらゆる感染対策が後手に回ると新型コロナウイルスが考えているわけではないだろうが、ウイルスの意図していない影響でも結果としてウイルスの生き残りにつながっている可能性はある。

近藤教授は「軽症でも後遺症は生じる。オミクロン型でも高頻度で起きる」と指摘する。

ウイルスの中には、ウイルス本体が潜伏する例もある。潜伏期間と聞くと感染してから発症するまでの期間に目を奪われがちだが、症状が収まった後も油断できないウイルスも多い。

代表格は、水痘・帯状疱疹(ほうしん)のウイルスだ。子どもの頃に水ぼうそうを起こして治った後も、遺伝情報を記したDNAのまま神経細胞にとどまる。免疫力が下がると暴れ、帯状疱疹が出る。

一度かかると免疫が長期にわたって続くとされる麻疹は、麻疹ウイルス自体が脳や神経に居座るともいわれる。

阪大微生物病研究会の山西弘一理事長は「その証拠に麻疹ウイルスが5~10年の潜伏を経て、
亜急性硬化性全脳炎という神経の病気を起こすことがある」と話す。

ウイルスとは別に免疫細胞の働きを刺激する抗原たんぱく質が残り、後から悪さをする場合もあるといわれる。

新型コロナウイルスでは、潜伏期間が武漢型は約1週間だったが、オミクロン型は2~3日とインフルエンザウイルス並みに短いとされる。

山西理事長は「ウイルスが鼻や喉の奥で早く増えるようになり、潜伏期間が短くなった」と話す。

だが、強い疲労感などが出るタイプの後遺症では、去ったはずの新型コロナウイルスの影がちらつく。もしも「潜伏」があるとしたら、影響は長引く。

生物とともに長い歴史を歩んできたウイルスは、感染者をうまく利用して増えるように進化した。感染や増殖を邪魔するワクチンや治療薬が普及すれば、そのときは新型コロナウイルスの側も賢くなったヒトの対応にあらがって自らを変えていかないと繁栄できない。これまでとは違った変化を見せていないか警戒が必要だ。

 

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