中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

休職復職Q&Aシリーズ⑨

2022年08月23日 | 情報

Q;従業員150人規模の製造業で、人事労務課長をしています。
精神疾患が理由で休職している従業員についてお尋ねします。
休職中にアルバイトをしている情報があり、事実を確認しました。対処方法のアドバイスをお願いします。

A;傷病により休職している場合、会社には、安全配慮義務、休職者には療養専念義務があるとされています。
ただし、メンタル不調の場合、病状がある程度改善した段階になると、散歩、スポーツや買い物を奨励しています。
ですから、「専念」をどう解釈するということになります。
これらのことを就業規則に規定しておけばよいのですが、中小規模の企業にはなかなか望めないでしょう。

ご質問に「アルバイト」という表現がありましたが、そうすると、これは労働であって報酬も得ていると推測できます。
ということは、傷病手当金の受給の可否の問題もでてきます。
傷病手当金の減額または辞退で問題の解消は可能ですが、
会社側が実態を知らないまま、当該休職者に代わって傷病手当金の受給手続きを継続していたことになり、問題になります。

繰り返しになりますが、散歩、スポーツや買い物等は、職場復帰に向けてのリハビリの一環に止めておくことが大切で、
報酬を伴うアルバイトは避けるよう指導するようにしてください。
休職中は、一切干渉しない、放任するという姿勢に問題の根っこがあります。
休職中は、当該休職者に労働者性はありませんが、雇用契約は継続していますから、
いったん、問題が起きると、会社側に安全配慮義務の不履行を追及されます。
難しい匙加減ですが、従来から申し上げているように「つかず離れず」という「間合い」が求められます。

 

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