中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(ストレスチェック・シリーズ③)ストレスチェック制度の見直し議論

2024年08月08日 | 情報
〇ストレスチェック制度は、2015年12月1日の改正安衛法の施行により創設されました。

〇ストレスチェック制度を法制化した時の、改正安衛法において
「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、改正後の労働安全衛生法の施行の状況について検討を加え、
必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされていました。

〇そして、24.3.29の第1回「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を皮切りに、
すでに5回にわたって検討会が開催されています。

おもな論点は、現在努力義務となっている50人未満の事業場へのストレスチェックの導入です。
制度導入以降も、精神障害の労災認定件数は右肩上がりとなっています。
2022年度には710件と過去最高を記録しています。
議事録によると、労働者側が、50人未満の事業場にも義務化を求めたのに対して、
使用者側は、依然として精神障害の労災認定件数が減少しないことから、「義務化が最適な手段とは云えない」と難色を示しています。

加えて、同じく努力義務となっている、「集団分析・職場環境改善」義務化も議論されました。

(参照)
〇ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 第1回資料
1 目的 
事業場におけるメンタルヘルス対策については、
メンタルヘルス不調の未然防止である一次予防の強化等の観点で、
平成 27 年 12 月にストレスチェック制度が導入され、
当該制度の推進等を通じて、取組は進んできている。 
一方で、精神障害の労災支給決定件数は、700 件超(令和4年度)と過去最も多くなっている。
また、「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者がいる事業場割合は、
この3年間、約1割で推移しており、
労働者数 50 人未満の小規模事業場においては、
メンタルヘルス対策に取り組む割合が30~49人の事業場で73.1%、10~29 人で 55.7%(50 人以上の事業場においては91.1%)であり、
未だ取組が低調である。 
こうした中、「経済財政運営と改革の基本方針 2023(骨太の方針 2023)」(令和5年6月 16 日閣議決定)では、
「メンタルヘルス対策の強化等の働き方改革を一層進め」ることとされたところである。 
また、労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成 26 年法律第 82 号)の附則第7条において
「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、改正後の労働安全衛生法の施行の状況について検討を加え、
必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされており、
平成 26 年改正労働安全衛生法の施行状況について議論された第 134 回労働政策審議会安全衛生分科会において、
今後、ストレスチェック制度について効果検証を行い検討していくべきであると指摘されている。 
これらのことを踏まえて、ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策について、
実施状況等を踏まえながら検証するとともに、検証の結果必要なものについて対応を検討することとする。 

2 検討内容 
(1)ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検証等について 
(2)事業場におけるメンタルヘルス対策について 
(3)その他関連する事項について

〇厚労省;ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会/資料>

(参考)
〇厚労省;ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて 令和4年3月


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