ストレスチェックでは問題なかったのに、メンタル不調になりました。
このような現象は多いようです。その理由ですが、
推測.1
ストレスチェック制度は、7年目に入りました。即ち、労働者のみなさんは、毎年同じチェックシートに記入するわけですから、
どのように回答すればどのような結果が返ってくるのか、おおよそ見当がついていることでしょう。
労働者は、所謂「忖度」に走るのです。
推測.2
ストレスチェック表に正直に回答して、担当の医師が面接が必要と判断しても、
当該労働者が医師との面談に応じなければ、問題が表面化しないわけです。
もちろん、このことは会社側には伝わりません。
それに対して、ストレスチェックにもメリットはあります。
それは、毎年1回自分の心理状況を自らが振り返るチャンスであるということでしょう。
まさに、一次予防の効果なのですが、意外とこのことが強調されていない状況にあるのです。
なぜでしょう。
一次予防効果がストレートに表れるデータとして、厚労省が実施する患者調査があるのですが、
先日公表された結果からは、小職の頭脳では読み取ることができませんでした。
繰り返し申し上げますが、ストレスチェックが一次予防に有効である、というエビデンスは、
ストレスチェック制度導入時にはありませんでした。
厚労省は、この患者調査結果を以て、「ほらストレスチェックの一予防効果証明されたでしょ」と強調するはずなのですが、
今日にいたるまで何の反応もありません。
ですから、「ストレスチェックが一次予防に有効である」という仮説を、
全国の50人以上の事業場が自らの費用(一説には、全企業合計で100億円)で検証している状況が継続中ということなのです。
ストレスチェックの実施を義務付けられている対象企業は、費用対効果を注視しながら、
多くのメリットを得られるように推進していかなければなりません。