中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

安全配慮義務の不履行とは

2022年08月29日 | 情報

以下の要件がそろっている場合に安全配慮義務の履行を怠ったと判断されます。
〇その業務により事故や疾病が発生する可能性を予見できた。(予見可能性の存在)
〇危険を予見でき、結果を回避することも可能だったにもかかわらず、その努力を怠った。(結果回避努力の不履行)
それに、結果回避努力の不履行と事故・疾病の発生との間に、社会通念上相当な因果関係が認められる。(相当因果関係の存在)


「この休日出勤認めたくねー」 上司から叱責された社員の自死、パワハラ認めず…遺族側が敗訴
8/22(月)  弁護士ドットコムニュース編集部

上司のパワハラが原因で従業員の男性(当時29歳)が自死したとして、男性の両親が勤務先の日本重化学工業と上司に対して
計約1億円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が8月22日、東京地裁であった。品田幸男裁判長は原告側の請求を棄却した。
男性の父親・山口智さん(70歳)が、代理人の尾崎行正弁護士らと記者会見を開き「不当判決で、がっかりしました。
控訴して再度判断を仰ぎたい」と述べた。

〇自死につながる精神疾患まで認識できない
経理部だった山口さんの長男・天さんは、労働組合の仕事も兼務しており、
2017年ごろから短期間に出張が重なるなど、業務が増えていたという。
原告側は、上司から「この休日出勤認めたくねーんだけど」と言われるなどの叱責を受けて心理的な不調を抱えたとしている。
天さんは2018年11月の日曜日に自宅から飛び降りて亡くなった。
天さんが不調を訴えて、他の複数の上司に対して異動を希望していたにもかかわらず、
休職や部署異動などの対策を取らなかったことが「安全配慮義務違反」に当たると主張していた。
判決は、会社側は「天さんの精神状態になんらかの異変が起こっている可能性」に気づけたとしても、
自死につながる精神疾患までは認識できず、危険は予見できなかったと結論づけた。
また、上司の休日出勤に対する発言は「手続きを遵守するよう念を押す趣旨」で、
叱責等も不法行為とまでは評価できないなどとし、パワハラと認めなかった。

 

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