中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

夏バテ 脳の疲れも原因の一つ

2022年08月04日 | 情報

夏バテ 脳の疲れも原因の一つ
元気の処方箋(神田東クリニック院長 高野知樹さん)
2022年7月18日 日経

記録的な猛暑日が続き、だるくて疲れやすい人、めまいを起こしたり、おなかの調子が悪かったりする人も多いだろう。
熱中症には至らなくてもいわゆる「夏バテ」に陥る人は少なくない。夏バテは脳と自律神経による体温調節の働きが深く関わっている。

脳の温度は高温の夏も寒い冬もおよそ37度前後に保たれている。
外の環境変化に対して、体の内部環境を一定に保とうとする仕組みを「ホメオスタシス」と呼ぶ。この仕組みを支えるのが自律神経だ。

「自律」は「自動」という意味でもあり、例えば食べるとき、食べ物をかんで飲み込むのは自分の意思だが、
その後の胃液の分泌など消化・吸収は自動的に行われる。

その自律神経を管理しているのは脳。夏の体温調節のため、脳は多くのエネルギーを使って自律神経を働かせる。
だが、脳の仕事は体温調節以外にもたくさんある。体温調節の仕事が多いと脳の余力が減る。
すると微妙な体の調節が下手になり、目まいや胃腸の不調などが起きやすくなる。季節の変わり目に風邪をひきやすいのも同じ理由だ。

「うつ病」なども脳の疲弊が招いた状態である。この猛暑で脳の余力が減っている状態では、
ストレス耐性が低くなりメンタル不調にも陥りやすい。単なる夏バテだと考えていたら、実はメンタル不調だったということもある。

対策として大切なのは余力が減った脳をいたわること。まずはエネルギー補給の源である食事。量より質が大事になる。
土用の丑(うし)の日のウナギもいいだろう。

次に睡眠。24時間休みなしの脳にとって一番ゆったりする時間だ。深部体温が少し下がると眠りやすくなる。
多湿で体温調節が難しい時期は扇風機やエアコンをうまく使ったり、熱のこもりにくい寝具を選んだりするのもいい。

脳が喜ぶ楽しいことに関わる時間を意図的につくることを忘れないでほしい。
対策をしても気分の落ち込みなどが改善しない場合は、心の専門家を訪ねていただきたい。

高野知樹さん
1991年産業医科大学医学部卒。専門は精神医学(産業精神医学、児童・思春期精神医学)。
産業医大精神医学教室助手、北九州市立少年相談センター、日立製作所健康管理センター産業精神科主任医長などを経て現職。
労働衛生コンサルタントとしても活動。職場のメンタルヘルスに関する著書多数。

 

 

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うつ状態だったのに

2022年08月04日 | 情報
法律施行以後、安全配慮義務のハードルがどんどん高くなっているとの指摘がありましたが、
最近もその傾向は変わりなく続いているような印象です。
諸外国と比較するとわが国は「異常」との指摘も耳にしています。
今後、どのように対処していけばよいのでしょうか?
裁判例に都度、対応しなければならないのでしょうか?
企業側としては、ここまでやればOKという規範を示してほしいものです。

巡査自殺、うつ状態なのに「拳銃を持たせたため」…県警の違反認め5500万円賠償命令
2022/07/30 読売

神奈川県警泉署(横浜市泉区)で2016年3月、地域課巡査の古関耕成さん(当時25歳)が拳銃自殺したのは、うつ状態だったのに拳銃を持たせたためだとして、遺族が県に損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(小西洋裁判長)は29日、国家賠償法に基づき県に計約5500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

精神に不調がある警察官には、拳銃の携帯義務を免除する国家公安委員会規則があり県警の安全配慮義務違反を認定した。

判決によると、古関さんは15年8月から泉署で勤務。その後「職場でどなられることが嫌だ」「先輩から『一緒に組みたくない』と言われたのはショックだった」と母親に訴えるなど仕事の悩みを抱え、16年3月12日、泉署のトイレ個室内で拳銃自殺した。

小西裁判長は、古関さんが当時、仕事を辞めるかどうかまで追い込まれ、精神に不調があったと認定。泉署の拳銃管理責任者には、古関さんの精神状態を確認する義務を怠る過失があったと指摘した。また、古関さんへの指導について「違法と認められないとしても、精神に不調を来す一因になっていた」とした。

古関さんの両親は判決後の記者会見で「息子の名誉を少しでも取り戻したかった。組織体質の改善につながってほしい」と語った。県警監察官室は「判決内容を十分に検討し、関係部署と協議の上、適切に対応する」とした。

 

巡査自殺、賠償命令 県に5500万円 安全配慮怠る 横浜地裁
毎日新聞 2022/7/30 

神奈川県警泉署の男性巡査(当時25歳)が2016年3月に署内で拳銃自殺したのは不安定な精神状態だったにもかかわらず県警が拳銃を貸与したことが原因だとして、両親が県に対し慰謝料などの損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(小西洋裁判長)は29日、両親の請求通り県に約5500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

亡くなったのは泉署地域課で交番勤務をしていた古関耕成巡査。古関巡査は15年2月に採用され、16年3月12日に署内のトイレで自殺した。

 

(関連)
「県警が自主降任強要」提訴 男性警部補
2022/07/23 読売

警部から警部補への降任を強要されたとして、県警本部に所属する40歳代の男性警部補が県と当時の上司ら4人を相手取り、300万円の損害賠償と警部の地位確認を求めて、静岡地裁に提訴した。

原告の代理人弁護士が22日、記者会見して明らかにした。提訴は13日。訴状によると、男性警部補は、警部だった2019年秋、体調不良による不安定な勤務を理由に、人事担当者や同じ部署の上司の4人から自主的に降任するよう迫られるなどして、苦痛を味わったとしている。警部補は、11年にうつ病と診断され、19年7月に正式に職場復帰したばかりだったという。

県警監察課は「訴状の内容を確認し、適切に対処したい」としている。

 

 

 

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