中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

自宅で長時間労働

2020年06月29日 | 情報

「死にたくなった」という発言に対しては、敏感に反応してくださいと、専門家はアドバイスしています。

三菱自動車、社員が過労自殺 精神障害で労災認定
2020/6/18 日経

三菱自動車の男性社員(当時47)が昨年2月に自殺したのは、
過重労働により精神障害を発病したのが原因として、
三田労働基準監督署(東京)が労災認定したことが18日までに分かった。
遺族側代理人の川人博弁護士が明らかにした。発病前1カ月の時間外労働は約140時間だった。
認定は今年5月28日付

川人弁護士らによると、男性は1993年に入社。2018年から担当した新車の企画立案の業務で多忙となり、
うつ病などの精神障害を発病し、19年2月に会社の寮の自室で自殺した。
亡くなる数日前、妻や娘(9)との電話で「仕事がきつくてもう会社をやめたい、死にたくなった」と
漏らしていたという。

川人氏は、労基署が帰宅後にパソコンで仕事をした時間の大半を労働時間として認めなかったとし
「コロナ禍でテレワークが推進されており、自宅で長時間労働が発生しないよう
経営者は適正に労務管理すべきだ」と指摘した。〔共同〕


三菱自動車 社員の自殺は労災 残業急増などで精神疾患
2020年6月17日 NHK

三菱自動車工業の47歳の男性社員が、担当する新車の発売直前に自殺したのは残業が急増するなどして
精神疾患を発症したのが原因だったとして、先月労災に認定されていたことが分かりました。

遺族と代理人弁護士によりますと、男性は三菱自動車がほかのメーカーと共同開発した
軽自動車の発売に向け、メーカーとの調整などを行う業務を担当していましたが、
発売直前の去年2月、横浜市にある会社の寮で自殺しました。

遺族から労災の申請を受けて労働基準監督署が調べたところ、
亡くなる直前の1か月の残業時間が139時間あまりにのぼっていたことがわかったということです。

身につけていたスマートウォッチの記録から、睡眠時間が5時間に満たない日が
月の半分以上あった
ということで、監督署は、男性が自殺したのは残業が急増するなどした結果、
精神疾患を発症したのが原因だったとして、先月労災と認定しました。

代理人弁護士によりますと、今回認定された残業時間には帰宅後や休日に行った在宅勤務は
ほとんど含まれていないということで「実際の残業時間はもっと多い。
在宅勤務が推奨される中、法規制が必要だ」と話していました。

男性には9歳の娘がいて、妻は「家族思いで優しく、真面目な性格で何事にも精いっぱい取り組む
自慢の父であり、一家の大黒柱でした。
第2、第3の犠牲者を出さないために、仕事の量に見合う人員の配置や社員を思いやる
管理体制の整備を心から願っています」とコメントしています。

三菱自動車工業は「社員が亡くなったことについて重く受け止めています。
現在詳細を確認しています」としています。


三菱自動車社員自殺、労災と認定 在宅で長時間労働続く
20.6.17 朝日

自動車大手の三菱自動車に勤めていた男性社員(当時47)が昨年2月に自ら命を絶ったのは、
長時間労働による精神疾患が原因だったとして、
三田労働基準監督署(東京都)が労働災害(過労自殺)と認定していたことがわかった。
遺族と代理人弁護士が17日、記者会見して公表した。
新型車発売を控えて仕事が増え、夜間や土日も自宅などで働いていたという。
三菱自動車は「社員が亡くなったことを重く受け止めています」としている。

認定は5月28日付。男性は1993年に入社し、軽自動車の商品企画に携わっていた2019年2月、
精神疾患を発症して自殺した。
労基署は、発症の直前1カ月の時間外労働が139時間に及び、以前と比べて急増したことから
過労による精神疾患だったと認定したという。

遺族側代理人の川人博弁護士によると、男性は長く乗用車の商品開発をしてきたが、
18年から軽乗用車の商品企画を担当。
日産自動車と共同開発した新型軽乗用車の発売を控え、
日産との調整や、販売店への説明会などの業務に追われていた。
単身赴任して暮らしていた社員寮で、平日の夜も会社のパソコンで仕事をしていたほか、
土日に妻と娘がいる自宅に帰った際も、自宅近くの図書館で仕事をしていたという。

川人弁護士は「新型コロナで、テレワークやリモートワークが注目を集めている。
感染を免れるために通勤しないことも大事だが、
自宅で無制限に労働せざるをえないという問題も避けないといけない」と、テレワークの課題を指摘した。

転職話に「ぼくは、残って三菱で働くよ」
亡くなった男性の妻が出したコメント(抜粋)は以下の通り。

以前から、主人がうちの会社はほかの会社と比べて仕事の量に対して、人数が少ないと嘆いていたことがたびたびありました。リコール問題になった時期に、同期の同僚が次々と他社の自動車会社へ転職していったため、私から転職の話をしましたが「ぼくは、このまま残って三菱で働くよ」と主人の会社に対する思いは固いものでした。三菱一筋に25年という長い月日を主人なりに尽くしてきたと思います。

主人は家族思いで優しく、大変まじめな性格で何事にも精いっぱい取り組む自慢の父であり、一家の大黒柱でした。

長年続いた商品開発部では、海外向けの車の担当となっていたこともあり、通勤時間は英語の学習をおこない、また日ごろから肌身離さず手帳をもっており、休日に家族で出かける際にも必ず身につけて、気になることがあるとさっと取りだし、会社のことを書き込んでおりました。主人の足跡が残る大切な宝物でした。会社の寮で亡くなっていたことを知り、現場に駆けつけたときに真っ先に手帳のことが思い浮かびました。きちょうめんな主人が最後に何か書き記していると思ったからです。しかし、訪れた寮の部屋からは見つからず、後日訪れた会社の机の足もとの箱に入っていたと会社の人事部の方から渡されました。残念ながら、主人の最後の思いを知ることはできませんでしたが、亡くなる直前の2月上旬のメモには、新型車について上司がおこなうプレゼン資料を作っていたとみられるメモの記載があり、これまでになく筆圧のないふらふらした文字に、かなり追い込まれていたことを感じ取りました。

主人は、休日は毎週のように子どもと図書館へ通い、会社のパソコンで仕事をし、平日も仕事が終わらないときには、会社のパソコンを寮に持ち帰り、帰ってからも仕事をおこなっていたようです。亡くなったときも、会社のパソコンが寮の机にありました。主人は、スマートウォッチを常につけており、週末子どもと私が主人の携帯で毎日4~5時間の睡眠時間であることを知り、「睡眠時間が少ないから、もっと睡眠をとってね」と話しておりました。

今回、労災の認定を受けることができましたが、かけがえのない大切な家族を失ってしまった私たちの悲しみは癒えることがありません。今後、主人と同じような第2第3の犠牲者がなくなるよう、仕事の量に見合う人員の配置や社員を思いやる会社の管理体制の整備を心から願っております。

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