中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

自殺率は失業率とリンク

2020年06月17日 | 情報

「自殺率は失業率とリンク」 いのちの電話、現場の懸念

朝日 20.5.14

 

自殺を防ぐための電話相談「いのちの電話」に、新型コロナウイルスに関連した相談が多く寄せられている。
一方、相談員の安全確保のために人数を減らしたり、休止したりするところも。
社会の不安が募る中、必要とする人に十分応えられていないのではないか。現場にはジレンマもある。

「日本いのちの電話連盟」(東京)によると、13日現在で群馬、東京多摩、横浜、山梨、静岡、浜松、
岐阜、名古屋、三重、滋賀、神戸の各センターが休止している。
非常事態宣言が解除された場合、一部で再開する可能性があるという。

(途中、三事例省略)

赤星敦事務局長によると、一般の相談よりも自殺をほのめかす割合が高いという。
自殺率は失業率とリンクしているので、今後も相談が増える可能性がある」とし、
「普段は悩みを聞くことがメインだが、自治体などの支援窓口の情報も伝えられるようにしたい。
コロナ特有の相談を分析して、相談員のスキルアップもしていきたい」と話す。

(途中、三事例省略)

 

「電話を受け切れていないのでは」
「いのちの電話につながりにくい」といった声も寄せられている。
事務局長の川尻正之さん(75)は「電話を受け切れていないのでは」と懸念する。
一方、10年前までは200人前後いた相談員は昨年は137人。
新型コロナへの社会不安が長期化し、相談員が疲弊することも心配だ。

2011年の東日本大震災後、被災者らのために特設された電話で相談員を務めた川尻さん。
震災から数カ月が経ってから、相談内容が深刻になったことを覚えている。
避難所から仮設住宅などに移って生活が落ち着いた頃に、寂しさやむなしさを自覚し始めた被災者が
増えたのではないかという。
「新型コロナも落ち着いたころに、悩みを深める人が増えるのでは」(吉田啓、伊藤繭莉)

 

(参考)

不況・失業と自殺の関係についての一考察(日本労働研究雑誌 No. 598/May 2010

澤田康幸(東京大学准教授)

崔允禎(慶熙大學校国際大学副教授)

菅野早紀(東京大学大学院・日本学術振興会特別研究員)

 

Ⅲ 日本の自殺と失業の特徴

日本における高失業率と高自殺率の正の相関関係については,
男性について, 完全失業率の1%ポイントの上昇が10 万人当たり約25 人の自殺者数増加と
統計的に有意な相関関係
を持っている。
女性の場合には, この関係は統計的に有意ではないものの, 男性の場合には,
特に65 歳以上の高齢者の場合にはこの失業率の係数は39 人となっており, より強く見られる。

(略)

さらに, 日本においては女性の就業率と自殺率には正の相関関係があり,
特に高齢男性と若年女性(2544 ) においてその傾向が強く見られる。

 

Ⅴ おわりに
(略)

日本では自殺者一人当たり5人弱の遺族が存在しており,
親を自殺で失った未成年者である「自死遺児」の総数はおよそ9万人,
自死遺族全体の数は約300 万人にも上ることが分かっている。
したがって, 現在の日本では約40 人に一人が自死者遺族であると言うことに

なる。自死遺族はしばしば極度の心理的ストレスにさらされており,
さまざまな法的・経済的な負担を背負いながら, しかし孤立を強いられているケースも多い

自殺にかかわる, こうした社会的なコスト, つまり「負の外部性」の存在は,
自殺を食い止めるために政府が積極的に介入することを正当化するものであろう。

(後段略)

 

 

 

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