中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

小さい喜びをシャワーのように浴びるのがよい

2020年06月01日 | 情報

認知療法の日本における第一人者である、大野先生によるカウンセリングです。

こころの健康学小さい喜び 何ができるか  
2020/5/18日本経済新聞 

先週、緊急事態宣言の解除が始まった。だがその前に延長が発表されたときに公園や図書館、
博物館等は制限を緩和する方向だと聞いて少しホッとした。
4月に宣言が出されたころに、公園の遊具にテープを巻いている職員に対して、
子どもが不満を口にしているテレビのニュースを見て複雑な気持ちになったからだ。

感染を防ぎたい職員の気持ちも、遊びたい子どもの気持ちもわかる。
制限緩和は、問題は公園で遊ぶことではなく、
接近や接触に気をつけることが大事だというメッセージだと思った。

子どもに限らず、大人でも、やりがいや楽しみを感じられる体験が減ると、こころの元気が失われてくる。
気力や意欲は、脳の報酬系と呼ばれる神経系が刺激されて生まれてくる。
「やってよかった」「楽しかった」と思うから、またやってみたいという気持ちになるのだ。
うつ病の治療でも、やりがいや楽しみを感じられる活動を無理なく増やしていくことで
こころが元気になることがわかっている。

ある看護師が、「小さい喜びをシャワーのように浴びるのがよい」と説明していたが、まさにその通りだ。
日ごろ体験しないような特別な喜びである必要はない。
家のなかでの家族との会話でも、親しい人とのソーシャルメディアを通した交流でもよい。

きちんと感染対策をとったうえで、外に出て日の光を浴びながら歩くのもよいだろう。
公園や美術館で楽しい時間を過ごしてもこころは元気になる。
何をしてはいけないかではなく、何が安全にできるかを考えていくことが大切だ。

認知行動療法研修開発センター 大野裕氏

1950年、愛媛県生まれ。1978年、慶應義塾大学医学部卒業と同時に、同大学の精神神経学教室に入室。その後、コーネル大学医学部、ペンシルバニア大学医学部への留学を経て、慶應義塾大学教授(保健管理センター)を務めた後、2011年6月より、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長に就任、現在顧問。現在、一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。
近年、精神医療の現場で注目されている認知療法の日本における第一人者で、国際的な学術団体Academy of Cognititive Therapyの設立フェローで公認スーパーバイザーであり、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、日本ストレス学会理事長、日本ポジティブサイコロジー医学会理事長など、諸学会の要職を務める。
https://www.cbtjp.net/profile/

 

 

 

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