中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

うつ病の「引き金」物質

2020年06月16日 | 情報

うつ病の発症 ウイルスが持つ遺伝子が関与している可能性

2020611日 NHK

 

うつ病の発症に、多くの人が幼い頃に感染する「ヘルペスウイルス」が関係している可能性があるとする
研究成果を東京慈恵会医科大学のグループが発表し、
うつ病発症のメカニズムや治療薬の開発などに役立つと期待されています。
この研究を行ったのは、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授らのグループです。

 

グループでは、多くの人が子どもの頃に感染する「ヒトヘルペスウイルス6」というウイルスが
脳の一部に感染すると、ウイルスが持つ「SITHー1」という遺伝子が強く働くことを突き止めました。

そこで、マウスの脳でこの遺伝子を人為的に働かせたところ、
マウスの行動が変化し、うつによく似た症状がみられることが確認されたということです。

さらにグループが、うつ病の患者84人と健康な人82人の血液を調べたところ、
うつ病の患者では79.8%の人でこの遺伝子が強く働いている反応があったのに対し、
健康な人では24.4%だったということです。

このためグループでは、このウイルスの遺伝子が強く働くことが、
うつ病の発症に関係している可能性があるとしています。

近藤教授は「これまで、うつ病の原因は、はっきりとは特定されていなかったが、
ウイルスが関与している可能性が分かった

さらに研究が進み、発症の詳しいメカニズムが解明できれば、
新たな治療薬の開発などにつながるはずだ」と話しています。

 

うつ病の「引き金」物質、確認 疲労でウイルス覚醒→SITH1作る 東京慈恵医大

20.6.14 朝日

 

過労や強いストレスが、なぜうつ病を引き起こすのか
この謎の鍵を握るたんぱく質を、東京慈恵会医大が確認した。
このたんぱく質の存在が確認された人は、そうでない人に比べ12・2倍うつ病になりやすかった。
研究チームはうつ病の血液検査法の開発や発症の仕組みを調べる手がかりになると期待している。

 

慈恵医大の近藤一博教授(ウイルス学)らは長年、疲労とウイルスの関係を調べ、
疲労が蓄積すると唾液(だえき)中に「ヒトヘルペスウイルス(HHV)6」が
急増することを突き止めていた。

HHV6は、赤ちゃんの病気である突発性発疹の原因で、
ほぼ全ての人が乳幼児期に感染し、以降ずっと体内に潜伏感染している。
普段は休眠しているが、体が疲れると、HHV6は目覚め唾液中に出てくる。
その一部が口から鼻へ逆流する形で、においを感じる脳の中枢「嗅球(きゅうきゅう)」に到達し、
再感染を起こしていた。

近藤教授らは、再感染すると、嗅球で「SITH1(シスワン)」というたんぱく質が作られ、
この働きで脳細胞にカルシウムが過剰に流れ込み、死んでいくことを培養細胞やマウスの実験で突き止めた。
さらに、嗅球の細胞死によって、記憶をつかさどる海馬での神経再生が抑制されていた。

ストレス状態に置かれたマウスが、逃げる行動をあきらめるまでの時間を計る
「うつ状態モデル」とされる実験では、嗅球でこのたんぱく質が作られるようにしたマウスは
通常のマウスより早くあきらめ、抗うつ剤を与えると、通常マウス並みに戻った。

また、計166人の血液で、このたんぱく質があることの証明になる
「抗体」を調べるとうつ病患者の8割で確認され、量も健常人に比べ、うつ病患者で極めて多かった

成果は米科学誌「アイサイエンス」で11日公表された。

 

「アイサイエンス」誌

https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(20)30372-2

 

 

 

 

 

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