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数字合わせの政策では・・・

2015-06-17 20:17:54 | 老親介護

昨日の朝日新聞に、「病床10年後に1割削減可能 政府目標、介護に重点」という見出しの記事が掲載されていた。
朝日新聞:病床「10年後に1割削減可能」政府目標、介護に重点

この記事に掲載されている地図をご覧になって、ある点に気付かれた方はいらっしゃるだろうか?
先日「日本創成会議」で、「高齢者の移住」を提言で示された「急性期病院(高度な治療を必要とする入院施設のある病院)」が(人口に対して)多い地域と、重なるのだ。
日本創成会議:東京圏高齢化危機回避戦略図表15 (注意:PDFファイル)

おそらく「10年後病床数を減らす」という考えは、2025年をにらんでのことだと思うが、その減らす対象地域は、先日、日本創成会議が発表したデータを基にしているのでは?という気がする。

確かに、首都圏での高齢者対策というのは、人口規模から考えても必要なことだと思う。
だからと言って、地方の人口減少が始まっている地域を減らせ!というのは、いかがなモノだろう。
ご存じのとおり、今現在「人口に対して病院が多い地域」というのは、東京よりも高齢化が進んでいる地域だ。
高齢化が進んでいる=現役の働く世代が少ない(あるいは減少している)地域と、考えてもよいのでは?
言い換えるなら、「介護職」に就いている現役世代が都市部と比べて少ない、あるいは人口的にはほぼ同等数ということも考えられる。
何より「地方だから病院が少なくても大丈夫」というのは、高齢者の現実を見ていないような気がするのだ。
というのも、今年1月突然独居の父が心筋梗塞で緊急入院をした。
60代であれば、3週間ほどで退院できたと思うのだが、父の場合、高齢ということもあり丸1か月の入院になった。
容体が変わりやすく、重篤化しやすい高齢患者の入院は、長くなる傾向にあるのでは?と考えるからだ。

そもそもこの「病床数削減」の基となる考えには、「在宅もしくは、在宅に準ずるような生活環境での介護」による「病床数の削減」なのだ。
「在宅介護」を基本として考えるなら、独居高齢者が多い地域ではいったい誰が「介護をするのか?」という点が、とても重要になってくるはずだ。
そのバランスが取れた状態で「(医療費削減のために)病床数を減らす」という考えにならなければ、都市部でも地方でも、単に「病床数が減ったが、介護難民の増加」になってしまう。

2025年の問題の根本は、「都市部・地方関係なく増加するであろう介護難民対策」なのでは?
日本創成会議で提案された「都市部高齢者の地方転居」にしても、今回の厚労省の政策にしても、なんとなく「都市部の都合のよい、数字合わせの政策」のように思えてくる。



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