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かつて「マスクは黒」が主流だった?!

2021-03-26 20:11:24 | 徒然

毎日新聞のWEVBサイトを見てたら、「いつの時代のマスク?」という雰囲気のマスクの写真があった。
毎日新聞:明治の「呼吸器」から「アベノマスク」まで 世相を映すマスクの歩み

写真を見ると「呼吸器」と呼ばれていたのは、「スペイン風邪」が流行した頃らしい。
表地は黒で、口が当たるところは金網のようなものが付いている。
形状そのものは、今のガーゼマスクと変わらないようだが、口が当たる部分に金網のようなものが付いているため、付け心地はさほど良くなかったのでは?と想像できる。

それから時代が変化するにつれ、今のウレタンマスクとよく似た形状へと変化していく。
使われる素材もシルクやベルベット、皮革など随分おしゃれというか、マスクが衛生用品ではなく「ファッションアイティム」として、使われていたのでは?と、感じさせる。
「呼吸器」と呼ばれていた時代の金網のような素材から、メッシュ素材のようなモノへと変化をしている。
とはいえ、マスクそのものの色は「黒(や茶色)」のような色が主流だったようだ。

それが第2次世界大戦がはじまり、物資が不足するようになると、おなじみの(?)白いガーゼマスクが登場する。
おそらく、それまでのような「おしゃれマスク」は、「華美である」という理由でつけられなくなったのだろう。
もちろん、メッシュの素材となっていたものが金網のようなものであったら尚更、マスクに使用されることはなくなっていたはずだし、シルクやベルベット、皮革という素材自体も手に入れることが難しくなっていただろう。

第2次世界大戦で一般的になった「白いガーゼマスク」が、50年以上「マスクのスタンダード」になる。
「衛生用品」という視点で考えれば、「白」という色は、汚れが目立つという利点がある。
それは今でも「マスク」のスタンダード色が、「白」という意味と同じだろう。
もう一つは「ガーゼ」という素材が、包帯などに使われていたことも、大きく影響しているのではないだろうか?
「富山の薬売り」と呼ばれる行商の人たちが、戦後全国津々浦々「家庭薬」を販売していたことも、「白いガーゼマスク」が一般的になった要因かもしれない。
今一般的に使われている「不織布マスク」は、ここ20年くらいの間で一般的になってきたというのもなのだ、ということもわかる。

このように「マスクと時代」という視点で見ると、今現在主流となっている「流線形(というのだろうか?)」という形状のマスクは、案外新しいデザインではない、ということがわかる。
何より、戦前まではマスクの主流となっていた色は「黒」であった、ということだ。
第二次世界大戦という「物資不足」が、「白のガーゼマスクとその形状」を定着させ、スタンダードにしたということだろう。
それから70年以上の年月を経て「新型コロナ」という新たな感染症の流行により、かつて流行していたような形状のマスクが一般的になり、そして色も「黒」が復活すると同時に、「ファッションの一部としてのマスク」というアプローチも復活し、世界的に拡がっていった。

ただどんな時代になろうとも、「マスクは息苦しい」ものであり、何とか「呼吸しやすいように工夫を凝らしている」ということは変わらないようだ。

「時代は繰り返す」とは言うが、マスクにも意外な変遷があり、それは生活者の変化に影響されている、という点は変わらないようだ。



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