今や、文具店はもちろん、バラエティーショップや100円ショップにまで置いてある商品の一つと言えば「マスキングテープ」だろう。
可愛らしい絵柄から、モダンでポップな絵柄、和風の絵柄など、様々な絵柄のマスキングテープが販売されている。
その「マスキングテープ」を創り出した企業の創業時は、まったく違う商品を作っていたという記事が、朝日新聞に掲載されていた。
朝日新聞:マスキングテープ、原点はハエ取り紙 業務用から変身
有料会員記事なので、全文を読むことはできないのだが、マスキングテープを作っている企業の創業が、ハエ取り紙を作っていたとは知らなかった。
今では、ほとんど見ることが無い(と思われる)ハエ取り紙だが、私が子供の頃は鮮魚店や八百屋さんなどの店先には、ハエ取り紙が天井からぶら下がっていたりした。
田舎の祖父母の家でも、ハエ取り紙が天井からぶら下がっていた様な記憶がある。
それが、殺虫剤の普及で姿を消したのは、時代の変化だろう。
しかし、そのハエ取り紙を作っていた企業は、ハエ取り紙の技術を使って、養生テープの一つである「業務用のマスキングテープ」を製造していたという。
確かに養生用のテープというのは、貼った後剥がすことが目的で使われるテープだ。
ハエ取りとしての接着力(もちろん、ハエを呼ぶ為の香なども必要だと思われるが)は必要だが、人にペタリと張り付いては問題がある。
定期的に取り替えるときにも、薬剤が手にベッタリとつくのも困る。
そこそこの粘着力は必要だが、剥がしやすさも重要なポイント、ということになるだろう。
(その点では、3Mの「ポストイット」と同じかもしれない)。
その技術があったからこそ、ハエ取り紙から業務用のマスキングテープへと作るものを変えることができたのだと思う。
とはいうものの、業務用だけでは市場が拡がらない。
そこで、テープそのものに絵柄を印刷し、業務用ではない市場を創り出したのが、今若い女性を中心に人気となっている「マスキングテープ」ということになる。
今、日本の中小零細企業の多くが、廃業の危機にさらされている、といわれている。
後継者不足という問題も大きいのだが、後継者を育てる過程で「事業の強み」という分析など、大企業が当たり前にやっている(はず)のことが、できていないのでは?という、気がすることがある。
「マスキングテープ」は、偶然のヒットのように見えるかもしれないが、ヒットするような工夫があってのヒットなのだと思う。
その工夫ができたのは、自社製品の強みが分かっていたからではないだろうか?
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