日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

同じニュースなのに、見出しの違いで印象が変わる

2016-10-17 20:09:02 | アラカルト

朝日新聞と中日新聞(東京では「東京新聞」になるのだが)が同じ内容の「液体ミルク」についての記事を掲載しているのだが、見出しが違うと随分違った印象を受けるのだな~と、改めて感じた。
朝日新聞:乳児用液体ミルク解禁へ検討 菅氏「男性の育児に有効」
中日新聞:乳児液体ミルク解禁へ 政府検討、災害断水時に利点

両方の記事を読むと、内容はほとんど変わらない(という印象がある)。
ただ、見出しだけを読むと朝日のほうは、液体ミルクが解禁されると男性が育児に参加しやすくなる、という趣旨のように思える。
しかも発言の主は、菅官房長官だ。
まるで「液体ミルクが解禁されると、男性の育児参加が増える(というか、積極的になる)ことを政府が期待している」というニュアンスのような印象を受ける。

おそらくこの見出しを見た女性は「液体ミルクが解禁された程度で、育児に積極的になる男性なんていない」と、思うのではないだろうか?
確かに「液体ミルク」が解禁されるコトで、「父親が赤ちゃんにミルクを飲ませやすくなる」という環境はできると思う。が、「ミルクを飲ませやすい環境が整った=育児参加がしやすい」とは、ならないはずだ。
なぜなら、育児はミルクを飲ませるだけではなく、おむつを替えたり、むずがる赤ちゃんをあやして寝かしつけたりと、様々なことがあるからだ。
「ミルクが飲ませやすい環境が整った」というのは、あくまでも男性が育児参加の切っ掛けづくりであって「男性育児に有効」というほどの事ではないと思うのだ。

一方、中日新聞の見出しは現実的な気がするし、実際熊本(と大分の)大震災では、スエーデンからの救援物資として提供をされ、有効性が発揮されたという事実がある。
このコトを切っ掛けに、日本での液体ミルク承認の動きが一機に広がり、今回の検討へと結びついているはずだ。

災害時、どうしても乳児の食事というのは、おざなりにならざる得ない。
避難所では人目が気になり、母乳の授乳がしにくい、という環境に陥りやすいだろうし、生活環境の変化で母乳そのものが出にくくなってしまうお母さんもいらっしゃるだろう。

それだけではなく、「液体ミルク」そのものはお母さんたちに対してのメリットのほうが高いのでは?と、感じている。
例えば、お盆やお正月の帰省ラッシュ。新幹線などで乳児を抱いているお母さんたちの姿をよく見かける。
そのような時、お母さん方は決まって水筒に熱いお湯とキューブ状の粉ミルク、そして哺乳瓶を持ち歩いている。
赤ちゃんがミルクを欲しがると、揺れる車内で哺乳瓶に粉ミルクと熱いお湯を入れ、適温に冷まして赤ちゃんに飲ませている姿を何度も見かけた。
それだけの荷物と労力が、軽減され安心して赤ちゃんにミルクを飲ませることができる、というのはメリットだと思う。

同じ内容の記事なのに、見出しが違うことで「発想」の変わってしまう、という一例だと思う。



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