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セブン&ア・・ホールディングスが売却を検討する「百貨店」

2022-02-02 20:16:02 | ビジネス

一昨日ごろから、「セブン&アイ・ホールディングスが、そごう・西武の売却を検討している」という、報道が出ている。
日経新聞:今知りたいセブンと百貨店 そごう・西武売却まとめ

日経新聞が「まとめ」記事を出すほどなので、おそらく売却はほぼ決定なのだろう。
ご存じのようにセブンイレブンは、コンビニエンスストアの雄だ。
出店やフランチャイザーとのトラブルはあるようだが、それでも「コンビニの勝ち組」といわれるほどの売り上げ・収益を上げているということには変わりない。

コンビニ業界全体が急成長を遂げていた頃、セブンイレブンとイトーヨーカ堂が持ち株会社を作った時には「コンビニが大手スーパーを飲みこんだ」といわれた。
当時は、コンビニの売り上げ・収益よりもスーパーのほうが多かったのだ。
その後、経営不振に陥っていた「そごう」と「西武」という2つの百貨店を傘下に置くようになると、「コンビニが百貨店を飲み込んだ」ということになった。
とはいっても「そごう・西武」の場合、ほかの百貨店が持ち株会社を共同で設立するような状況ではなく、バブルの負債が大きかったような記憶がある。

百貨店こそが「小売りの雄」といわれてきた時代が長かったこともあり、これまでの小売りの指標の中心は「百貨店」だった。
ダイエーが小売り売上で日本一になった時でも、小売りの中心は百貨店という意識が、経済界にも生活者にもあったように思う。
何故なら、いくらスーパーが衣料品を扱っていたとしても、それは「日常の服」であり、百貨店で扱うのはTPOを意識した「おしゃれ着」だったからだ。
逆に言えば、長い間スーパーと百貨店との間で「すみ分け」のようなものが、あったような気がしている。
今回のセブンイレブンのようなコンビニであれば、取り扱い商品そのものも大きく違う。
そのため、一部報道では「セブン方式(の流通方式)が、百貨店では通用しなかった」という趣旨の記事もあった。

取り扱う商品が違うのだから、商品流通の方法が違って当然だと思うのだが、今の生活者が「百貨店」に魅力を感じていない、という気持ちのほうが強い。
取り扱い商品が違えば、「すみ分け」ということができたはずだが、百貨店で取り扱っている商品そのものが、デパ地下と呼ばれる食品売り場を除けば、生活必需品ではないということに気付くはずだ。
今のように、経済成長が望めない期間が長引けば長引くほど、生活者は「日々の暮らしに必要なモノ」に買い物の興味が言ってしまう。
そう考えると、そごう・西武に限らず、百貨店すべてが抱えている問題なのかもしれない。

かつて西武百貨店は、「セゾン文化」の象徴のように言われていた。
それは「モノからコトへ消費が、変わる」ということでもあった。
だが、現実はバブル経済が崩壊し、もろく崩れてしまった、というのも事実だろう。
以来「百貨店とは?」という回答を百貨店自体が、見いだせていないような気がしている。

既に三菱地所が、そごう・西武の入札に手を挙げている、という話もある。
購入する企業は、百貨店をどうしていきたいのか?
そして生活者は、どう考えるのか?
雰囲気やおしゃれなキャッチコピーで、生活者に魅力を伝えられない時代だからこそ、「百貨店とは何か?」ということを百貨店自体が考える時代のような気がしている。



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